マクロが「セキュリティリスク」で止まるのはなぜ?MOTWの印を外す手順と、社内共有で止めない開き方
マクロが「セキュリティリスク」の帯で止まるのは、インターネットから来た印(MOTW、ZoneId 3)が付いたファイルのマクロを、Officeが既定でブロックするためです。Current Channelでは2022年7月27日から、帯に「コンテンツの有効化」のボタンは出ません。1つのファイルならプロパティの「許可する」で動き、社内の共有はIPアドレスでなくサーバー名で開くか、信頼済みサイトに入れます。入手・保存の経路9通りのうち、既定で止まるのは4通りです(2026年10月時点)。
読み解きから直す・置き換えるまでの流れと費用はExcelマクロの引き継ぎのページにまとめています。
要点
- インターネットから来た印(MOTW、ZoneId 3)が付くと、Officeは既定でマクロを止めます。
- Current Channelは2022年7月27日から、帯に「コンテンツの有効化」のボタンを出しません。
- 入手・保存の経路9通りを判定の順に当てはめると、ZoneId 3・4になる4通りが止まります。印を変えた6つを Excel で開くと、3と4だけがボタンのない赤い帯になりました。
- 1つなら「許可する」、社内共有はIPでなくサーバー名で開くか信頼済みサイトに入れます。
目次
なぜマクロが「セキュリティリスク」で止まるのですか?
インターネットから来た印(MOTW:Mark of the Web)が付くと、Officeが既定でマクロをブロックします。メールの添付やブラウザでの保存で受け取ったファイルに、Windowsがこの印を付けます。
印が付いたブックを開くと、赤い帯で「セキュリティリスク」と出ます。以前のような「コンテンツの有効化」のボタンは出ません。この既定が入ったのは、Current ChannelではVersion 2206(2022年7月27日)からです。
止めるかどうかは、Excelが上から順に見て決めます。見るのは次の4つです。信頼できる場所(Trusted Location)にあるか。信頼された発行元の署名があるか。グループポリシーで許可されているか。以前に有効化した信頼済みドキュメントか。どれにも当てはまらないときにブロックされます。この順番と、作った人がいないマクロ全体の読み解き方はExcelマクロの引き継ぎにまとめています。
印(Zone.Identifier)の中の数字ZoneIdが3か4のとき、マクロは既定で止まります。ZoneIdの意味の一覧はMark of the Webとはにまとめています。この記事は、止まったマクロを動かす手順と、手元のExcelで確かめた結果に絞ります。
入手・保存の経路9通りのうち、どれが止まりますか?
経路ごとに付く印(ZoneId)を図1の判定の順に当てはめると、9通りのうちZoneId 3・4になる4通りが既定で止まります。印はファイルの中身と関係なく付くので、マクロ付きかどうかでは変わりません。判定は図1の順番に当てはめて決めています。
9通りの表は、Microsoftの判定の順に当てはめたものです。このうち印(ZoneId)だけで決まる6通りは、このPCのデスクトップ版Excelで本物の .xlsmを開いて確かめました。ExcelはMicrosoft 365の16.0(64bit)です。
マクロ入りのブックを1つ作り、Workbook_Openで印のファイルを書くようにしました。印なし、ZoneId 1・2・3・4、ZoneId 3を「許可する」で外したものの6つを、ダブルクリックと同じ形(EXCEL.EXE /x)で開き、出た帯の文面を記録しました。手順は scripts/figs/motw_excel_open.py で再現できます。
印なしとZoneId 1・2では、黄色の「セキュリティの警告」帯に「マクロが無効にされました。」と「コンテンツの有効化」のボタンが出ました。このPCのマクロの設定が「通知して無効」なので、押すまでマクロは動きません。印のせいで止まっているのではありません。
ZoneId 3・4では、まず「保護ビュー」の帯が出ます。「編集を有効にする」を押すと赤い「セキュリティ リスク」の帯に変わり、「このファイルのソースが信頼できないため、Microsoftによりマクロの実行がブロックされました。」と出ます。「コンテンツの有効化」のボタンはなく、マクロは動きませんでした。
ZoneId 3を「許可する」で外したあとは、印なしと同じ黄色の帯とボタンに戻りました。
試していないのは、UNCやIPアドレスの共有、OneDriveの同期フォルダ、信頼できる場所、実際のメール添付とブラウザのダウンロード、USBメモリです。これらは、印が付くかどうかをMicrosoftの説明に当てはめた結果です。印はNTFSのファイルにだけ付き、FAT32のUSBメモリなどでは付きません。
止まった1つのファイルを動かすには?
そのファイルを右クリックしてプロパティを開き、[全般]タブの「許可する」にチェックを入れます。これで印(MOTW)が外れ、次からは止まりません。複数のファイルをまとめて外すなら、PowerShellでUnblock-Fileを使います。出どころが分かっていて、自分が受け取ったファイルだけに行います。アドイン(.xlam)は、印が付いていると署名があっても動かないため、印を外すか信頼できる場所に置きます(Microsoft Learn)。
OneDriveやSharePointに置いたファイルは、一覧から「デスクトップアプリで開く」で開くと印が付きません。同期クライアントがPCに落としたファイルにも付きません。クラウドに置いて同期で配ると、ダウンロードのたびに印が付く状態を避けられます。マクロの守りでも、何度も使うブックはこのどちらかに寄せています。
社内の共有フォルダのマクロが止まるのはなぜですか?
共有をIPアドレスのUNC(\\192.0.2.10\...)で開くと、ローカルイントラネットと判定されないことがあるからです。インターネット扱いになり、既定でブロックされます。同じ共有でも、サーバー名(\\NAME\...)で開けばイントラネットと見なされやすく、止まりにくくなります。まず開き方を、IPでなく名前にそろえます。
それでも止まる共有は、その場所をWindowsの「ローカルイントラネット」か「信頼済みサイト」に登録します。ここに入れた共有から来たファイルはZoneId 1か2になり、既定ではブロックされません。
ネットワーク上の場所を信頼できる場所(Trusted Location)に登録するのは、Microsoftが勧めていません。どの共有を名前で開き、どれを信頼済みサイトに入れたかは、引き継ぎ書に残すと、PCを入れ替えても再現できます。
どのExcelとOSで、この既定のブロックが起きますか?
WindowsのOfficeのExcel・Word・PowerPoint・Access・Visioなどで起きます。Mac・Android・iOS・ブラウザ版(Office on the web)では、この既定のブロックはかかりません。社内でWindowsとMacが混在していると、同じファイルが片方だけ止まって見えることがあります。
入った時期はチャネルで違います。Current Channelは2022年7月27日(Version 2206)からです。Semi-Annual Enterprise Channelは2023年1月10日(Version 2208)からです。
古いバージョンを使い続けている社内では、まだこの帯が出ていないこともあります。更新で急に止まったように見えたら、まずこの既定を疑います。
社内のマクロ付きファイルが何本あり、どれがメールやダウンロードで配られているかは、マクロの棚卸しで先に数えておくと、止まる前に手を打てます。
このサイトで相談するには?
受け取ったマクロが「セキュリティリスク」で止まり、業務が動かないときもご相談ください。どの経路で来たファイルかと直し方を一緒に見ます。何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。
準備は要りません。無料で相談するからお送りください。返信は最短当日です。
よくある質問
- 「コンテンツの有効化」のボタンが出ないのは壊れたからですか?
- いいえ、既定の動きです。インターネットから来た印が付いたファイルは、ボタンのない赤い帯でブロックされます。印を外すか、信頼できる場所で開きます。
- MacやブラウザのExcelでも同じように止まりますか?
- いいえ、この既定のブロックはWindowsのOfficeだけです。Mac・Android・iOS・ブラウザ版(Office on the web)は対象外です。
- USBメモリで渡されたファイルにも印は付きますか?
- ファイルシステム次第です。NTFSには印が付き、FAT32など NTFS 以外には付きません。付かなければ既定ではブロックされません。
- 「許可する」を押せば、次からも毎回聞かれませんか?
- そのファイルは印が外れるので、次からは止まりません。別の経路でもう一度ダウンロードすると、印が付き直してまた止まります。
この記事の実験・計算の条件
入手・保存の経路9通りを判定の順に当てはめ、印を変えたファイル6通りを手元の Windows の Excel で開いて確認。2026年10月16日。