結論:Excel マクロの移行先は5つのどれを選ぶか?
PC のフォルダ・印刷・Outlook を触る処理が多ければ VBA のまま直すか Power Automate for desktop か Web アプリへ、シートの中で完結するなら Office Scripts か GAS が候補です。
| 方式 | 変わること | PC のフォルダ・印刷・Outlook を触る処理 | 初期費用の例 | 月額の例 | 導入期間 | 向く会社 | 向かない会社 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| VBA のまま直す | 処理の図と引き継ぎ書を作り、不具合と直書きを直す | そのまま動く | 導入例(イメージ)では30万円〜 | 都度の対応なら月0円、保守契約(任意)は月1万円〜 | 試作は最短当日、使い始めは最短その週から | PC のフォルダ・印刷・Outlook を触る処理が多い会社 | ブラウザ版の Excel で共同編集したい会社 |
| Office Scripts+Power Automate | シートの処理をスクリプトにし、定期の実行は Power Automate で | 一部だけ移せる | 作る量による | 法人向け Microsoft 365 の範囲で追加なし(Excel Online (Business) コネクタは Standard。Premium はプレミアムコネクタを使うときだけ) | 処理の数による | Microsoft 365 を全社で使い、処理がシートの中で完結する会社 | 印刷や PC のフォルダを触る処理が多い会社 |
| Power Automate for desktop | フォルダ・Excel・デスクトップのアプリの操作を、PC の上で動くフローに作り直す | 一部だけ移せる | 作る量による | Microsoft アカウントでのサインインは追加の費用なし。クラウドのフローからの定期起動は有料のアカウント | 処理の数による | 1台の PC の上でファイルやアプリの操作が中心の会社 | 何人もが同時に書く表や、ブラウザだけで使いたい会社 |
| GAS(Google スプレッドシート) | シートとスクリプトを Google に移す | 一部だけ移せる | 作る量による | Workspace Business Starter は1人月800円(税別、月単位の請求) | 処理の数による | Google Workspace を使い、通知や集計が中心の会社 | 社外と Excel のファイルのままやり取りする会社 |
| Web アプリ+自動処理 | 入力と集計を Web アプリに、定期の処理はサーバーで | 別の形で作り直す | 導入例(イメージ)では80万円〜 | 御社のアカウントのクラウドの実費 | 試作は最短当日、全体は数週間 | 何人もが同時に書き、行がずれる・壊れる会社 | 1人が月に数回だけ使うマクロ |
費用と期間は、公式の料金と、マクロの守りの導入例(イメージ)の金額です。5年の総額は、止まる回数と手作業の時間で順番が入れ替わるため、5年総額の計算機で御社の値を入れて比べてください。総額の表はそのページだけに置いています。
移すとできなくなる処理は何か?
PC のフォルダの一覧、他のブックを開く処理、印刷、Outlook での送信、独自の入力フォームは、Office Scripts と GAS ではそのまま動きません。シートの読み書きと集計は移せます。
Office Scripts はブラウザの中で動くため、PC のファイルや印刷には触れません。Power Automate から動かすスクリプトでは外部の API の呼び出し(fetch)も失敗します(Microsoft Learn)。GAS はスプレッドシートとドライブの中では動きますが、PC のフォルダや社内のプリンターには届きません。Google の VBA 変換のアドオン(Macro Converter)は Google Workspace Enterprise Plus か Education Plus が要り、対応する API のない処理は回避策を示すだけです(Google for Developers)。
よく使う20の処理が4つの環境で動くかはVBA の処理はブラウザ版 Excel・Office Scripts・GAS で動くかで確かめています。
Power Automate for desktop は移行先になるか?
Windows の PC の上で、ファイルとフォルダの操作、Excel、デスクトップのアプリを動かせるので、PC のフォルダや画面を触る処理の移行先になります。ただし定期の自動起動など、クラウドのフローから動かす機能は Microsoft アカウントの無料のサインインでは使えません。
Microsoft は、デスクトップのフローを「ファイルとフォルダの操作、Web とデスクトップのアプリ、Excel のファイルを自動化するもの」と説明しています。Microsoft アカウントでのサインインは追加の費用なしで使え、Windows 10・11(Home・Pro・Enterprise)の PC に入れます。Windows Home では、クラウドのフローからの起動はできません。クラウドのフローとつなぐ機能(起動・スケジュール)、Dataverse での保存、共有、プレミアムコネクタは、組織の有料のアカウントの機能です(Microsoft Learn)。
作り方は、用意されたアクションを並べるか、画面の操作を記録して再生するかです。PC のフォルダの一覧や他のブックを開く処理は移せますが、VBA と同じ書き方ではないので、処理は作り直しになります。
Office Scripts と GAS の上限は?
Office Scripts は Power Automate からの実行が1人1日1,600回、1回120秒まで。GAS は1回6分、トリガーの合計が1日に無料アカウントで90分、Google Workspace で6時間までです。
| 項目 | Office Scripts(+Power Automate) | GAS |
|---|---|---|
| 1回の実行 | 同期の操作は120秒でタイムアウト | 6分 |
| 1日の上限 | スクリプトの実行は1人1日1,600回 | トリガーの合計 90分(無料)/6時間(Workspace) |
| 1回に扱える量 | 要求・応答は5MB、範囲は500万セルまで | 記載の上限は実行時間が中心 |
| 必要なもの | 法人向け Microsoft 365 の対象ライセンスと OneDrive for Business | Google アカウント(会社なら Workspace) |
6分いっぱいかかる処理なら、GAS で1日に回せるのは無料アカウントで15回、Workspace で60回です(このサイトの計算)。1件ずつ回す Office Scripts なら、1人1日1,600件が上限です。値は Microsoft Learn と Google for Developers によります(2026年10月16日確認)。
ブラウザ版の Excel と共同編集を両立させたいときは?
VBA はブラウザ版の Excel で動かないため、共同編集する部分は Office Scripts か Web アプリに移し、PC を触る処理だけ VBA に残す分け方があります。
Excel for the web ではマクロ付きのブックを開いて編集はできますが、マクロは実行できません。開いても警告は出ないので、ボタンを押しても何も起きない、という形で気づくことが多くなります(Microsoft サポート)。処理を分けると、どの処理がどこで動くかを引き継ぎ書に書く必要があります。
マクロから脱却しないほうがよいのはどんなときか?
止まる回数が年に数回で、前後の手作業も少なく、使う人が1〜2人なら、そのまま使い、処理の図と引き継ぎ書だけを作るほうが安く済みます。
| 確かめること | 答え | 向く方式 |
|---|---|---|
| 止まる回数 | 年に数回、手作業も少ない | そのまま使い、図と引き継ぎ書だけ作る |
| PC のフォルダ・印刷・Outlook | よく使う | VBA のまま直す(新しい Outlook の送信は別の送り方に) |
| PC のフォルダ・印刷・Outlook | よく使い、コードを書き換えずに作り直したい | Power Automate for desktop も候補(クラウドのフローから動かすなら有料のアカウント) |
| 使っている基盤 | Microsoft 365 で、処理がシートの中で完結 | Office Scripts+Power Automate |
| 使っている基盤 | Google Workspace | GAS(持ち主は共有の担当アカウントに) |
| 同時に書く人 | 3人以上で、表が壊れる | 入力の部分を Web アプリに |
5年総額の計算機の初期値(止まる回数 年4回、1回に調べる4時間と手作業3時間、時給2,000円)では、そのまま使う案がいちばん安く出ます。直す案の初期費用30万円を5年で取り戻すには、年に約30時間の手作業か、約4.3回の停止を減らす必要があります。
よくある質問
- Office Scripts と GAS はどちらがよい?
- 会社で使っているのが Microsoft 365 なら Office Scripts、Google Workspace なら GAS が自然です。PC を触る処理が多いならどちらも合いません。
- VBA を自動で変換する方法は?
- Google の Macro Converter は Enterprise Plus か Education Plus が要ります。対応する API のない処理は回避策が示されるだけで、手で作り直します。
- Python に移すのはどう?
- PC のフォルダや他のファイルを扱う処理には向きます。社内に Python を直せる人がいるかを先に確かめます。
行数や実行時間の比較はVBA を Python に書き換えると何が変わるかにあります。
作った人がいないマクロを、次の人が直せる形に。
小さな相談からで構いません。何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。準備は要りません。
無料で相談する出典
- Microsoft サポート「Work with VBA macros in Excel for the web」(2026年10月16日確認)
- Microsoft Learn「Platform limits, requirements, and error messages for Office Scripts」(2026年10月16日確認)
- Microsoft Learn「Prerequisites and limitations(Power Automate for desktop)」(2026年10月16日確認)
- Microsoft Learn「Introduction to desktop flows」(2026年10月16日確認)
- Microsoft Learn「Excel Online (Business) - Connectors」(2026年10月16日確認)
- Google for Developers「Quotas for Google Services」(2026年10月16日確認)
- Google for Developers「Macro Converter overview」(2026年10月16日確認)
- Google Workspace 料金ページ(日本)(2026年10月16日確認)
変更履歴
| 更新:Python に移す場合の行数と実行時間の比較への案内を足した | |
| 公開:4つの移行先の比較と上限の表を載せた | |
| 更新:Power Automate for desktop を5つ目に足し、Office Scripts の月額を訂正した |