どういう基準で比べたか?
帳票を同じ形で出せるか、表のつながりを置き換えられるか、人数で月額が増えるか、の3つを軸に比べました。製品を順位づけはしません。
比べ方と利害関係
- 製品の機能の多さではなく、今の Access の帳票と表を移せるかで比べた
- 費用は公式の料金ページか、料金を書いた記事の記載だけを使い、確認日を書いた
- 期間と向く会社は、主宰が試作した経験からの目安で、保証ではない
このサイトの運営者(Access引越し)は、①の作り直しを請け負っています。②〜⑥の製品の代理店ではなく、紹介料も受け取っていません。②〜⑥が合う場合は、そちらをお勧めします。
結論:Access の移行先は6つ
作り直し・クラウドサービス・Power Apps(Dataverse か SharePoint リスト)・パッケージ・延命・データだけ SQL Server へ移す案の6つです。帳票を同じ形で出したいなら作り直しか⑥、台帳だけならクラウドサービスが候補です。
| 方式 | 変わること | 今の帳票の形 | 導入期間 | 向く会社 | 向かない会社 |
|---|---|---|---|---|---|
| ①Web アプリへ作り直す(利用者10人・テーブル15・帳票10種) | 台帳と画面と帳票を、ブラウザで使える仕組みにする | 同じ形で出せる | 試作は最短当日、使い始めは最短その週〜、全部の切り替えは締め2回のあと | 帳票や VBA の処理が多い、人数が多い | 台帳1枚で、帳票もほとんど要らない会社 |
| ①' 台帳1つだけを Web アプリへ(テーブル4・帳票1種) | 台帳1つと、同じ形で出す帳票1種だけを移す | 同じ形で出せる | 試作は最短当日、使い始めは最短その週〜 | 小さな台帳で、64bit 版で止まる帳票だけ先に直したい | 表のつながりが多く、帳票も多い会社 |
| ②E社などのクラウドサービス | 台帳をクラウドのアプリに移す | 工夫で近づける | 設定の量による | 台帳が2〜3枚、帳票は一覧や CSV で足りる | 表のつながりが多く、同じ形の帳票が多い会社 |
| ③Power Apps と Dataverse | Microsoft 365 の上にアプリを作り、データを Dataverse に置く | 工夫で近づける | 社内の管理の体制による | 全社で Microsoft 365 を使い、管理する人がいて、表のつながりも移したい | 使う人が多く、人数分の月額を払いにくい会社 |
| ③' Microsoft 365 に付く Power Apps と SharePoint リスト | 標準のコネクタだけでアプリを作り、データを SharePoint リストに置く | 工夫で近づける | 社内の管理の体制による | 台帳が1〜2枚で、表のつながりがほとんどない | 明細を何段もつなぎ、1回に5,000件を超えて扱う台帳 |
| ④業務パッケージ | 決まった製品に業務を合わせる | 作り直しが多い | 製品による | 業務が業界の標準に近い | 独自の決まりや帳票が多い会社 |
| ⑤延命(Access のまま) | 32bit 版に戻す、64bit 対応に直す、ファイルを分ける | 同じ形で出せる | 短い | 1〜2人で使い、壊れたことがない | 作った人がいなく、複数人で使う会社 |
| ⑥データだけ SQL Server へ移す | 画面と帳票は Access のまま、テーブルを SQL Server や Azure SQL へ移してつなぐ | 同じ形で出せる | 短い | 5人以上で同時に使って壊れるが、帳票と VBA は今のまま使いたい | VBA を直せる人がいなく、64bit 版で止まる所が多い会社 |
この表は方式の違い(変わること・帳票の形・期間・向く会社)だけを並べています。金額は、公式の料金ページと開発会社の公開記事(2026年10月9日公開)の記載を、導入例と費用の表に1か所だけまとめました。台帳1つ・帳票1種の小さな Access は、利用者10人・テーブル15・帳票10種の①とは大きさが違うので、別の行(①')に分けています。③' は③の Power Apps のうち Microsoft 365 に付く範囲で作る形で、①' と③' は6つの方式の中の分け方です。期間と「向く会社」、選び方の表の帳票の数の境目は、主宰の試作からの目安です。
自社にはどれが向いているか?
同じ形で出す帳票の数、表のつながりの数、使う人の数の3つを数えると、向く移行先はほぼ決まります。
| 確かめること | 答え | 向く方式 |
|---|---|---|
| お客さまに渡す帳票を同じ形で出す数 | 5種以上(主宰の目安) | ①Web アプリへ作り直す |
| お客さまに渡す帳票を同じ形で出す数 | ほとんどない | ②E社など、または ③Power Apps。台帳が1〜2枚なら ③' SharePoint リストも |
| 表のつながり(リレーション) | 3段以上つながる表が多い | ①作り直す。②では置き換えに手間がかかる |
| 使う人の数 | 16人以上 | 人数で月額が増えない ①の5年総額が、E社のライトより下回る(計算機の初期値。スタンダードなら10人から下回る) |
| 使う人の数と、壊れた回数 | 1〜2人で、壊れたことがない | ⑤延命し、移す準備だけ進める |
| 使う人の数と、壊れた回数 | 何人かで使うと壊れるが、帳票と VBA はこのまま使いたい | ⑥データだけ SQL Server へ移す |
Access から E社へ移すとき、どこで詰まるか?
詰まりやすいのは、テーブル同士のつながり(リレーション)の多い台帳と、同じ形で出す帳票です。E社ではルックアップと関連レコードで置き換えますが、すべては再現できません。
たとえば「受け付け → 明細 → 出荷 → 請求」のように3段以上つながる台帳では、アプリを分けてルックアップでつなぐことになり、集計のクエリを作り直す手間がかかります。請求書を今と同じ形で印刷するには、プラグインや別の帳票サービスが要ることが多く、ライトコース(1人月1,000円、最低10人で月10,000円〜)ではプラグインと外部連携、API が使えません(料金ページの比較表の記号から読みました)。帳票を一覧や CSV で済ませられるなら、ライトがいちばん安い選び方です。
台帳が2〜3枚の表で、帳票を CSV や一覧で済ませられるなら、E社は向いています。E社からさらに別の仕組みへ移す話は、E社の作り直しの分野で扱います。
Power Apps へ移すとき、データはどこに置くか?
Dataverse に置くなら Power Apps Premium(1人月2,998円、年払い)が要り、容量を足すと1GB 月5,997円です。Microsoft 365 に付く Power Apps と SharePoint リストなら追加のライセンスは要りませんが、件数とつながりに上限があります。
Microsoft は、一部の Microsoft 365 のライセンスに、Microsoft 365 のデータと標準のコネクタを使う範囲で Power Apps の限られた利用の権利を含めています。SharePoint リストにデータを置くアプリなら、この範囲で作れます。Dataverse や有償のコネクタを使うアプリは、Premium などのライセンスが要ります(Microsoft Learn「Licensing overview for Microsoft Power Platform」、2026年10月16日確認)。作って試すだけなら、無料の開発者プランもあります(本番には使えません)。
SharePoint リストは、1つのリストに3,000万件まで入りますが、1回の表示で扱えるのは5,000件までで(Microsoft 365 では変えられない)、参照の列などでつなぐ数は既定で12までです(Microsoft サポート「List View Threshold for large lists and libraries」、2026年10月16日確認)。Access のように明細と見出しを何段もつなぎ、集計のクエリで束ねる台帳は、リストのままでは置き換えにくくなります。Dataverse ならテーブル同士のつながりを持てますが、Premium のライセンスが人数分かかり、Microsoft 365 に付く Dataverse の権利は単独のアプリには使えません。
Access のまま延命してもよいのはどんなときか?
使う人が1〜2人で、ファイルが壊れたことがなく、VBA を直せる人が社内にいるなら、延命で足ります。ただし移す準備は進めておきます。
延命の主な手は、32bit 版の Office を入れ直す、Declare 文に PtrSafe を付けて 64bit 版に対応させる、データとフォームのファイルを分ける、の3つです。Microsoft は、64bit 版のない 32bit の部品や、32bit の .accde が要る場合は 32bit 版を選ぶよう案内しています。
データだけ SQL Server へ移す延命とは?
画面と帳票は Access のまま使い、テーブルだけを SQL Server や Azure SQL へ移して、Access からつなぐ方法です。中小企業では、作り直しの前の現実的な中間策になります。
Microsoft は、Access のデータを SQL Server や Azure SQL へ移し、今の Access からつないで使い続けるための道具(SQL Server Migration Assistant for Access)と手順を公開しています。SQL Server の Express 版は無償です。共有フォルダーの1ファイルを複数人で開く形ではなくなるため、書き込みの途中で PC が止まったときにファイルごと壊れる心配は減ります。
ただし Express には上限があります。SQL Server 2022 の Express では、1つのデータベースは10GBまで、使うメモリ(バッファープール)は1,410MBまで、CPU は1ソケットか4コアの少ないほうまでで、自動でバックアップを動かす SQL Server Agent もありません(Microsoft Learn「Editions and supported features of SQL Server 2022」、2026年10月16日確認)。Access からは ODBC のリンクテーブルでつなぐため、フォームが一度に多くの行を読む作りのままだと画面が遅くなることがあり、クエリをサーバーの側へ移す手直しが要ることがあります。毎晩のバックアップを誰が仕掛け、残っているかを誰が確かめるかも、移す前に決めておきます。
Office の入っていない PC には、無償の Access Runtime を入れると、画面を使えます(設計の画面は使えません)。一方で、VBA と帳票は Access に残るため、作った人がいない問題と 64bit 版への対応は片づきません。開発会社の公開記事では、この形の延命を30万円〜としています。
データを SQL Server などへ移すときは、保存クエリの書き方も直します。見本の Access の保存クエリ95本を PostgreSQL に通すと、そのまま通ったのは53本(56%)、機械置換を足して75本(79%)でした(Access のクエリを SQL に直す)。VBA を Web アプリへ移す場合の置き換わる割合はAccess の VBA の移行パターンで数えています。
移行先選びでよくある失敗は?
製品の画面を見て決め、帳票と表のつながりを数えないまま契約してしまうことです。
製品の画面だけで決め、帳票で詰まった
台帳は移せても、請求書を今と同じ形で出す段になって、別の帳票サービスの契約が要ると分かることがあります。決める前に、同じ形で出す帳票の数を数えます。
人数分の月額を、5年で見ていなかった
1人あたりの月額は小さく見えますが、人数と年数を掛けると大きくなります。延命・乗り換え・作り直しを5年の総額で並べてから決めます。
計算:Power Apps Premium 1人2,998円×30人×12か月=1,079,280円/年(税抜、2026年10月16日)
決める前に数えるものは?
次の5つを数えれば、移行先の候補は2つまで絞れます。
- テーブルの数と、3段以上つながる表の組み合わせ
- お客さまに渡す帳票のうち、同じ形で出すものの数
- 使う人の数と、同時に使う人の数
- VBA の行数と、ボタンで動く処理の数
- 社内で Microsoft 365 を管理している人がいるか
よくある質問
- Power Apps と E社はどちらが安い?
- ライセンスだけなら、E社のスタンダードより6人以下で、ライトより3人以下で Power Apps Premium が安くなります。Microsoft 365 に付く範囲で足りれば追加は0円です。
E社はどちらも最低10人分で、スタンダード月18,000円・ライト月10,000円、Power Apps Premium は1人月2,998円です(4人で11,992円、税抜)。ライトではプラグインと外部連携、API が使えません。Microsoft 365 に付く範囲は、標準のコネクタと SharePoint リストなど Microsoft 365 のデータを使うアプリに限られ、Dataverse を使うなら Premium が要ります。人数ごとの年額は導入例と費用にあります。
- Excel に戻すのはだめ?
- 1人で使う小さな台帳なら選択肢です。ただ複数人で同時に直す台帳には向かず、Access より壊れやすくなることもあります。
- 移行先を途中で変えられる?
- データを CSV で取り出せる移行先なら変えられます。決める前に、取り出す方法を確かめておきます。
古い Access やオフコンを、御社のやり方のまま新しい仕組みへ。
Access のファイル1本、台帳1つからでもお受けします。何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。準備は要りません。
無料で相談する出典
- Microsoft Power Apps 価格ページ(日本)(2026年10月16日確認)
- Microsoft サポート「64 ビット版または 32 ビット版の Office を選択する」(2026年10月16日確認)
- Microsoft Learn「SQL Server Migration Assistant for Access」(2026年4月20日更新)(2026年10月16日確認)
- Microsoft SQL Server 2022 の価格(Express は無償)(2026年10月16日確認)
- Microsoft Learn「Editions and supported features of SQL Server 2022」(Express は1データベース10GB・メモリ1410MB・SQL Server Agent なし)(2026年10月16日確認)
- Microsoft Learn「Licensing overview for Microsoft Power Platform」(Microsoft 365 に付く Power Apps の利用の権利、無料の開発者プラン)(2026年10月16日確認)
- Microsoft サポート「List View Threshold for large lists and libraries」(SharePoint リストの表示5千件・3千万件・参照の12)(2026年10月16日確認)
- Microsoft サポート「Microsoft 365 Access Runtime をダウンロードしてインストールする」(無償、設計の画面は使えない)(2026年10月16日確認)
変更履歴
| 更新:比べる相手の実名と出典のURLを伏せ、B社・E社などの表記に改めた | |
| 公開:公開 | |
| 更新:データだけ SQL Server へ移す延命(⑥)と Access Runtime を追加。延命の費用の出典の書き方を訂正 | |
| 更新:Microsoft 365 に付く Power Apps と SharePoint リストの行、Dataverse の容量の費用、SQL Server Express の上限、E社のライトを追加。①の費用を同じ大きさの金額で並べ、台帳1つの場合を別の行にした | |
| 更新:比べる大きさを利用者10人・テーブル15・帳票10種にそろえた。帳票5種の境目を主宰の目安と明記し、人数の境目を計算機の値(16人)に直した |