FAX受注の自動化の始め方何から手をつけるか、3段階の進め方

FAX受注の自動化は、ツールを選ぶ前に、2週間だけ取引先別のFAX枚数と1枚あたりの入力時間を数えるところから始めます。数字があれば、どの取引先から手をつけるか、費用に見合うかを判断できるからです。この記事では、数える、小さく試す、本番に広げる、の3段階を、記録表の例と手順で説明します。(2026年10月時点)
全体の流れと費用はFAX受注の自動化のページにまとめています。
この記事の要点
- FAX受注の自動化の最初の一歩は、2週間、取引先別にFAXの枚数を数えることです。
- 記録するのは、取引先・枚数・書式(印字か手書きか)・1枚の入力時間の4つで足ります。
- このサイトの計算機の初期値で試算すると、月額31,500円のツールを使う場合の損益分岐は1日約10枚です。
- 進め方は、数える→小さく試す→本番に広げる、の3段階です。
目次
FAX受注の自動化は、何から始めればよいですか?
最初の一歩は、2週間、取引先別にFAXの枚数を数えることです。ツール選びや見積もりは、その数字が出てからでも遅くありません。
製造業の受注担当者への調査では、紙のやり取りがある担当者の73.3%がFAXで書類を受け取り、そのうち60.4%が内容を手で入力していました(AI inside株式会社、2024年6月)。手入力が多いことは多くの会社に共通していますが、「どの取引先から、どんな書式で、何枚来ているか」は会社ごとにまったく違います。
私がデモを作って確かめた範囲でも、読み取りやすさは注文書の書式によって大きく変わりました。枚数の多い取引先が印字の注文書なのか、手書きなのか。それによって、最初に試す取引先も、必要な仕組みも変わります。だからこそ、まず数えます。
2週間の記録では、何を数えればよいですか?
取引先、枚数、書式(印字か手書きか)、1枚の入力にかかった時間の4つがあれば足ります。特別な道具はいらず、紙の記録用紙かスプレッドシート(表計算ソフト)で十分です。
| 記録する項目 | 書き方の例 | 何に使うか |
|---|---|---|
| 受信日 | 10月1日 | 曜日や月末の偏りを見る |
| 取引先 | 食品卸のA社(架空) | 上位の取引先を決める |
| 枚数 | 3枚 | 量の多い順に並べる |
| 書式 | 印字/手書き/混在 | 読み取りの難しさを見積もる |
| 入力時間 | 1枚あたり約6分 | 減らせる時間を試算する |
記録の進め方は次の通りです。
- FAXの受け取り場所の近くに記録用紙を置くか、共有のスプレッドシートを用意する
- 1枚入力し終えるたびに1行書く。時間は開始と終了の時刻をメモする程度で構いません
- 2週間たったら取引先ごとに合計し、枚数の多い順に並べる
- 上位の取引先が全体のどのくらいを占めるか、手書きがどのくらいあるかを見る
入力時間は厳密でなくて大丈夫です。「だいたい何分か」が分かれば、次の判断には足ります。
数えた結果から、どう判断すればよいですか?
1日の枚数と1枚の入力時間が分かれば、自動化が費用に見合うかどうかの目安が出せます。目安が出たら、上位の取引先から試す範囲を決めます。
このサイトの計算機の初期値(手入力1枚6分が確認だけの1.5分に減る、時給1,800円、月20日稼働、月額31,500円)で試算すると、損益分岐は1日約10枚です。1日40枚なら、手入力で月80時間かかっていた作業が確認の月20時間になり、純削減は年約112万円という試算になります。お手元の数字に置き換えると、結果は変わります。
判断の目安としては、次のように考えると整理しやすいです。
- 上位数社で枚数の大半を占める:その数社の書式から試す
- 手書きが多い:読み取りの確認方法を先に考える
- 1日の枚数が少ない:急がず、書式の見直しや記録の継続から
自動化は、どんな3段階で進めますか?
数える(2週間)、小さく試す(1〜2週間)、本番に広げる(3〜6週間)の3段階で進めます。いきなり全取引先を対象にしないことで、失敗しても戻りやすくなります。
- 数える:前の節の記録表で、取引先別の枚数と入力時間を2週間集める
- 小さく試す:実際に届いたFAXを使い、上位の取引先の分だけAI-OCR(紙の文字を読み取るAI)に読ませる。品名・数量・納期が読めるか、「要確認」がどれくらい付くか、確認に何分かかるかを測る
- 本番に広げる:取引先の品名と自社品番の対応表を整え、読み取った結果を販売管理に取り込むCSV(表形式のデータファイル)やスプレッドシートに出す。始めたあとも、要確認の多い箇所を見ながら少しずつ直す
第2段階で大事なのは、見本の書類ではなく実際に届いたFAXで試すことです。かすれや書き込みのある本物の注文書で試さないと、本番での手間が見積もれません。精度の測り方は「AI-OCRは手書きの注文書をどこまで読める?」で詳しく書いています。
始めるときに、取引先へのお願いは必要ですか?
必要ありません。複合機の転送機能で、受信したFAXをPDFにしてメールや共有フォルダに送れば、取引先には今まで通りFAXで注文してもらえます。
ただし、FAXをデータで受け取るようにすると、電子帳簿保存法の「電子取引」に当たります。国税庁の一問一答では、ペーパーレス化されたFAX機能を持つ複合機の利用が電子取引の例に挙げられており、データで受け取ったFAXはデータのまま保存し、タイムスタンプか事務処理規程による管理が求められます。個別の判断は税理士に確認してください。設定の流れは「複合機のFAXメール転送設定」にまとめています。
このサイトで相談するには?
2週間の記録ができたら、その表を手元に置いて無料相談をご利用ください。数字をもとに、どの取引先から試すとよいかを一緒に整理します。自動化を進める場合の費用は一式30万円〜で、毎月かかるのはAIの利用料の実費だけです。
よくある質問
- 数える期間は1週間ではだめですか?
- できれば2週間をおすすめします。1週間だと週明けや月末の注文の偏りが入りきらず、1日の平均枚数がずれやすいからです。
- 1日に数枚しかFAXが来ない場合も自動化すべきですか?
- 急いで自動化しなくてもよい場合が多いです。このサイトの計算機の初期値では損益分岐が1日約10枚なので、それより少ないなら書式の見直しなどから始める手もあります。
- 取引先に何かお願いする必要はありますか?
- 始める段階では必要ありません。複合機の転送機能でFAXをPDFにすれば、取引先には今まで通りFAXで注文してもらえます。
出典
- 製造業の受注業務担当者329名への調査(AI inside株式会社、PR TIMES)(2026年10月12日確認)

