結論:FAX受注をなくす方法は5つ
FAX受注をなくす方法は、クラウドFAX・AI-OCR・AI-OCR+システム連携・Web受発注・EDIの5つです。取引先の協力が得られないなら①〜③、得られるなら④〜⑤を選びます。
| 方式 | 変わること | 取引先の協力 | 初期費用の例 | 月額の例 | 導入期間 | 向く会社 | 向かない会社 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ①クラウドFAX | 受信が紙からPDF・メールになる | 不要 | 0円〜 | 1,078円(税込)〜 | 1〜2週間 | 受信漏れ・紛失が課題、1日10枚未満 | 入力の手間そのものを減らしたい会社 |
| ②AI-OCR | 注文書のPDFを項目のデータにする | 不要 | 導入支援費 | 3万円〜 | 4〜8週間 | 1日10〜150枚、主な様式が30種程度まで | 手書きが大半で明細行が多い会社 |
| ③AI-OCR+システム連携 | 読み取ったデータを販売管理に自動で登録する | 不要 | 連携の開発・設定費 | ②の月額+保守 | 8〜12週間 | 販売管理にCSVの取り込み口かAPIがある | 改修できないオフコンだけで動いている |
| ④Web受発注 | 取引先が自分で注文を入力する | 必要 | 150万円の例 | クラウド年300万円の例 | 3〜6か月 | 上位10社で注文の6割以上を占める | 取引先の多くが高齢の個人店 |
| ⑤EDI | 取引先とデータで直接やり取りする | 必要 | 各社の見積もり | 各社の見積もり | 2〜6か月 | 大手小売や1次取引先から指定された会社 | 取引先が中小の個人店中心の会社 |
費用の例は各社の公表値を引用した記事の記載で、確認日つきの一覧は費用相場のページにあります。導入期間と「向く会社」は主宰の試作・検証からの目安です。
FAX受注の自動化にかかる費用は?
最小構成なら月額1,000円〜、標準構成なら月額3万円〜+導入支援費、Web受発注まで含めると初期150万円〜が目安です。
費用を上下させるのは、1日の枚数・様式の種類・手書きの割合・連携の方法・取引先の数の5つです。サービスごとの初期費用・月額・従量と出典はFAX受注の自動化の費用相場で、自社の条件での回収期間は効果計算機で確かめられます。
取引先にFAXをやめてもらえない場合はどうする?
取引先がFAXをやめなくても、受信側でクラウドFAXとAI-OCRを使えば、自社だけで手入力をなくせます。
FAXそのものをなくす(④⑤)には相手の協力が要りますが、「FAXの手入力をなくす」(①〜③)は自社で完結します。現実的なのは、まず①〜③で全取引先のFAXをデータにし、そのうえで注文の多い取引先から順にWeb受発注への切り替えをお願いする二段構えです。
お願いする順番の決め方と案内文の例は脱FAXをお願いする取引先の選び方にまとめています。
どの方法が向いているか?
1日の受信枚数・注文書の様式の数・上位取引先の割合の3つを数えれば、向く方式はほぼ決まります。
| 確かめること | 答え | 向く方式 |
|---|---|---|
| 1日の受信枚数 | 10枚未満 | ①クラウドFAXだけで十分(AI-OCRの月額を回収しにくい) |
| 1日の受信枚数 | 10枚以上 | ②AI-OCR。販売管理に取り込み口があれば③まで |
| 注文書の様式 | 30種程度まで・手書きが少ない | ②③で安定しやすい |
| 注文書の様式 | 手書きが大半・明細行が多い | 記入欄つきの注文書を配る、または④を併用 |
| 上位10社の割合 | 注文の6割以上 | ①〜③に加えて、上位の取引先に④Web受発注を案内 |
「1日10枚」は効果計算機の初期値(1枚6分→確認1.5分、時給1,800円、月額31,500円)で求めた損益分岐です。
進め方は?
進め方は「数える・試す・切り替える」の3段階で、着手から本稼働までの目安は8〜12週間です。
取引先別にFAXの枚数を2週間数える
上位の様式でAI-OCRを4週間試す
取引先別に切り替える
よくある失敗と回避策は?
よくある失敗は、確認画面を作らずに二重入力になること、手書きの多い取引先で読み取りが安定しないこと、現場が紙の運用に戻ることの3つです。
確認画面がなく、結局すべて目視で打ち直した
AI-OCRの結果を元のFAX画像と並べて確かめる画面がないと、担当者は安心できずに全項目を打ち直します。読み取りの自信度が低い項目だけ色を付ける確認画面を、最初に設計します。
手書きの多い取引先で読み取りが安定しなかった
手書きの多い取引先には、記入欄を区切った専用の注文書を配ると精度が上がります。
導入後に現場が紙の運用へ戻った
受注担当者を試行の段階から巻き込み、紙とデータの並行運用を終える日を最初に決めておきます。
電子帳簿保存法・取適法で気をつけることは?
複合機やクラウドFAXで注文書をデータとして受け取る場合は「電子取引」に当たり、データのまま保存し、タイムスタンプか事務処理規程による管理が要ります。
電子帳簿保存法(電子取引)
国税庁の一問一答は、ペーパーレス化されたFAX機能を持つ複合機の利用を電子取引の例に挙げています(問4)。データの訂正・削除ができるため、タイムスタンプか事務処理規程による管理が要ります。
出典:国税庁 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(2026年10月12日確認)
取適法(中小受託取引適正化法。下請法を改正)
2026年1月1日に施行され、手形払いの禁止、協議に応じない一方的な代金決定の禁止、振込手数料を負担させることの禁止などが定められました。発注書をFAXから電子に切り替える際は、発注側の義務もあわせて確認します。
出典:ミラサポplus(中小企業庁)(2026年10月12日確認)
紙で受信して紙で保存する従来のFAXは、電子取引には当たりません。自社の保存方法が当てはまるかの個別の判断は、顧問税理士に確認してください。
使える補助金は?
FAX受注の自動化には、デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)の通常枠とインボイス枠(電子取引類型)が使える可能性があります。
| 制度・枠 | 年度 | 補助率 | 補助額 | 対象の例 | 確認日 |
|---|---|---|---|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 | 令和7年度補正 | 1/2(最低賃金近傍の事業者は2/3) | 1〜3プロセス 5万〜150万円未満/4プロセス以上 150万〜450万円 | AI-OCR・受発注ソフト。クラウド利用料は最大2年分 | 2026-10-12 |
| 同 インボイス枠(電子取引類型) | 令和7年度補正 | 公募要領で確認 | 公募要領で確認 | 受発注ソフトを導入し、取引先に無償でアカウントを渡す発注者 | 2026-10-12 |
金額は公募要領で再確認し、締切は公式サイトで確かめてください。PDFの表の一部が崩れているため、本ページの金額は概要PDFの読み取りです。
INSネットのEDIやG4 FAXはいつまで使える?
INSネットの「ディジタル通信モード」は2024年1月に終了し、切り替え後の補完策も2028年12月31日に提供終了予定です。
INSネットを使う旧来のEDIやG4 FAXを使っている場合は、回線と端末の確認から始めます。補完策の期限は、2022年の報道では2027年ごろが目安とされていましたが、NTT東日本の2026年3月26日更新のページでは2028年12月31日です。
どんな会社がFAX受注で困っているか?
課題リスト163件では、FAX注文の手入力、属人化、INSネットのEDIの移行、取引先ごとに違う注文書の様式が上位に並びます。
| 業種 | 変えたいこと | 解決の方向 | 関係する制度 |
|---|---|---|---|
| 共通 | FAXで届く注文書を基幹システムや販売管理に手で再入力している | AI-OCR+受発注システム連携 | — |
| 共通 | 受発注業務がベテラン1人に属人化している | 受発注システム+業務マニュアル化 | — |
| 共通 | INSネット(ISDN)を使う旧EDIの移行が必要 | インターネットEDI(流通BMS等)への移行 | INSネット補完策終了 |
| 共通 | 発注書・下請への書面交付の電子化が求められる | 電子契約・電子発注書 | 取適法 |
| 共通 | ケアマネ・医療機関とのFAXでのやり取りが多い | ケアプランデータ連携・地域医療連携ツール | — |
| 精密部品加工 | 客先から届く図面の改訂版と旧版が混在し、旧図面で加工してしまう事故が年数回ある | 図面の版管理(リビジョン管理)と現場端末での最新版表示 | — |
| 自動車部品(Tier2/3) | Tier1からの内示が毎週大きく変動し、確定注文とのずれで在庫と欠品が交互に発生する | 内示精度の分析(内示と確定の乖離率)と安全在庫の設定 | — |
| 化粧品・医薬品OEM | ブランドオーナーからの処方変更や容器変更の依頼がメールと電話で来て、最新の仕様が営業と製造で食い違う | 案件ごとの仕様書・処方・資材の版管理と変更履歴共有、案件管理システム | — |
打ち込みゼロが独自に整理した中小企業のデジタル課題リスト(8,635件、2026年10月版)から、受発注・FAXの課題を優先度(緊急度×検索需要×競合の弱さ×単価)の順に並べました。
導入例(イメージ):どのくらい減るか
まだ公開できる導入例はないため、よくあるご相談をもとに実際に仕組みを作り、操作した画面と想定する時間の変化でお見せします。

食品卸:毎朝45枚のFAX注文が、確かめるだけの一覧になった
従業員30人・取引先は飲食店と小売の約180店(導入イメージ)
- 入力にかかる時間
- 月75時間 → 月13時間
- 確認なしで確定できる明細
- — → 約87%
- 読み違いによる再出荷
- 月4件 → 月1件未満

機械部品の商社:ベテラン1人しかできなかった品番の引き当てを、AIが肩代わり
従業員18人・FAXと電話の注文が1日約60件(導入イメージ)
- 入力にかかる時間
- 月96時間 → 月22時間
- 品番の引き当てができる人
- 1人 → 担当者全員
- 引き当ての間違い
- 月3件 → ほぼなし

惣菜・弁当の製造:12店舗のFAX発注が、そのまま翌日の製造指示表に
従業員45人・スーパー12店舗から毎日FAX発注(導入イメージ)
- 集計にかかる時間
- 毎日2時間 → 毎日20分
- 確認なしで確定できる明細
- — → 約90%
- 集計ミスによる欠品
- 月2〜3件 → ほぼなし
この分野で詳しく書いていること
費用・方式の比較・手順・用語・計算機のページで、この柱で短く答えた質問を詳しく扱っています。
- 分野の入口FAX受注の自動化(このページ)
FAXで届く注文書を、クラウドFAX・AI-OCR・販売管理との連携で人の転記なしに処理する方法を、5方式の比較表・費用相場・進め方・電子帳簿保存法・補助金まで実務家が解説します。
- 費用・相場FAX受注の自動化の費用相場
FAX受注の自動化の費用を、クラウドFAX・AI-OCR・Web受発注の構成別に、初期費用・月額・従量と出典・確認日つきで比較します。費用が上下する5つの要因と見積もり例も載せています。
- 方式比較FAX受注をなくす5つの方法の比較と選び方
クラウドFAX・AI-OCR・システム連携・Web受発注・EDIの5つの方法を、取引先の協力の要否、費用、期間、向く会社と向かない会社で比べます。判断のチェックリストと比べ方の基準も開示します。
- 手順脱FAXをお願いする取引先の選び方
FAXで注文してくる取引先のうち、どこから脱FAXをお願いすべきかを、2週間の枚数の集計から決める手順を説明します。お願いする順番の決め方と、取引先に送る案内文の例も載せています。
- 用語AI-OCRとは
AI-OCRとは何かを、FAXの注文書を読み取る場面に絞って説明します。項目別の読み取り精度の測り方、手書きへの対応、人の確認作業がどこまで残るかを、実務の目安とともに書いています。
- 計算機FAX受注の自動化の効果計算機
1日の受信枚数と入力時間から、FAX受注をAI-OCRで自動化したときの削減時間・年間の削減額・回収期間・損益分岐の枚数を計算します。計算式と前提、入力例の結果も載せています。
- サービスFAX受注の自動化の依頼
打ち込みゼロのFAX受注の自動化支援の内容、進め方と期間、費用の目安(30万円〜)、業者との違いをまとめています。取引先はFAXのまま、今の販売管理も活かして、小さく始められます。
よくある質問
- 今のFAX番号はそのまま使える?
- 多くの場合は使えますが、回線の種類と契約によるため、移行前に番号を移せるかの確認が必要です。
- 手書きの注文書も読める?
- 読めますが活字より精度が下がるため、手書きが多い取引先には記入欄を区切った注文書を配るのが確実です。
- AI-OCRの精度は何%?
- 様式・手書きの割合・明細行数で大きく変わるため、自社の上位の様式で4週間試し、項目別に実測するのが確実です。
測り方はAI-OCRとはで説明しています。
- 販売管理がオフコンでも連携できる?
- CSVの取り込み口があれば連携できます。ない場合は、RPAでの入力か販売管理の見直しを費用で比べます。
- 導入まで何週間かかる?
- クラウドFAXだけなら1〜2週間、AI-OCRと販売管理の連携まで含めると8〜12週間が目安です。
- 取引先への案内文はどう書く?
- 取引先にとっての利点(送信の手間と送り間違いが減る)を先に書き、FAXも当面は受け付けることを明記します。
- 電話の注文も減らせる?
- 減らせます。Web受注フォームと通話の録音を組み合わせると、電話の聞き間違いも減らせます。
- 受信したFAXの紙は保存が必要?
- データで受信したものはデータのまま、紙で受信したものは紙で保存するのが原則です。
詳しくは法令の節を見てください。
受注の打ち込みを、御社のやり方のままAIに。
取引先はFAXのまま、今の販売管理も活かして、30万円〜で始められます。中小企業のAI導入支援として、取引先1社分からでもお受けします。今の受注の流れをうかがえば、どこまで自動にできるかをその場でお答えします。注文書をお見せいただかなくても構いません。
無料で相談する出典
- 国税庁 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(2026年10月12日確認)
- 中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026」の概要(令和8年4月)(2026年10月12日確認)
- ミラサポplus 取適法(2026年10月12日確認)
- NTT東日本 INSネットについて(2026-03-26更新)(2026年10月12日確認)
- INTERNET Watch INSネットの「ディジタル通信モード」、提供終了日が明らかに(2022-12-08)(2026年10月12日確認)
変更履歴
| 更新:判断表に「上位10社の割合」を追加し、導入例(イメージ)を掲載 | |
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