FAXの解像度で、OCRの読み取りはどう変わる?標準・ファイン・スーパーファインを画像で比べた

FAXの解像度は、AI-OCR(紙の文字を読み取るAI)の読み取りに大きく影響します。標準モードは縦方向の細かさが1mmに3.85本しかなく、細い横線が消えたり、つぶれたりするからです。同じ注文書を3つの解像度に落として比べたところ、標準では8ポイントの品番のハイフンや、手書きの「ー」が消えました。何が起きるのか、受信する側で何ができるのかを説明します。(2026年10月時点)
全体の流れと費用はFAX受注の自動化のページにまとめています。
この記事の要点
- FAXの解像度は、OCRの読み取りの正しさに大きく影響します。
- 標準の解像度では、8ポイントの「S-0412」のハイフンが消え、手書きの「生ビール」の長音も消えました。
- 走査線の間隔より細い横線は、2本の走査線の間に落ちて白と判定されることがあります。
- 取引先にファインで送ってもらえない場合は、品番の桁数や前回の注文など、画像以外の情報で確かめます。
目次
FAXの解像度は、AIの読み取りにどれくらい影響しますか?
大きく影響します。標準モードでは縦方向に1mmあたり3.85本しか点を拾わないため、それより細い横線は消えたり、太ってつぶれたりします。小さな文字と手書きの横棒が、いちばん影響を受けます。
FAX(グループ3)の解像度は、国際規格のITU-T T.4で決められています。横方向はどのモードも1mmあたり約8点で、変わるのは縦方向の細かさ(走査線の本数)です。
| モード | 横(点/mm) | 縦(本/mm) | 走査線の間隔 | A4縦1枚の走査線 | よく言われるdpi |
|---|---|---|---|---|---|
| 標準 | 8 | 3.85 | 約0.26mm | 約1,143本 | 約200×100 |
| ファイン | 8 | 7.7 | 約0.13mm | 約2,287本 | 約200×200 |
| スーパーファイン | 8 | 15.4 | 約0.065mm | 約4,574本 | 約200×400 |
文字の高さが何本の線で描かれるかに直すと、差がよく分かります。
| 文字の大きさ | 高さ | 標準 | ファイン | スーパーファイン |
|---|---|---|---|---|
| 6ポイント(注文書の注記など) | 約2.1mm | 約8本 | 約16本 | 約32本 |
| 8ポイント(品番の印字など) | 約2.8mm | 約11本 | 約22本 | 約43本 |
| 10ポイント(本文) | 約3.5mm | 約13本 | 約27本 | 約54本 |
| 手書きの数字 | 約6mm | 約23本 | 約46本 | 約92本 |
漢字は画数が多いので、縦8本前後では横画を描き分けられません。標準モードの6ポイントの漢字は、ほぼ読めないと考えたほうが安全です。
同じ注文書を3つの解像度に落とすと、何が変わりましたか?
標準では、8ポイントの「S-0412」のハイフンが消えて「S 0412」になり、手書き風の「生ビール」は長音の「ー」が消えました。ファイン以上では、どちらも残りました。
試したのは、注文書の一部を1mm=16点(約406dpi)で作った「原本」を、それぞれの解像度に縮小し、白黒の2値にしたものです。下の図は、縮小した結果を同じ大きさに拡大して並べています。点の粗さが、そのままFAXの1点です。
再現の方法と、その限界も書いておきます。
- 原本はブラウザで描き、面積の平均で縮小してから、明るさ128を境に白黒にしました
- 実際のFAXは、読み取り部のぼけ、紙の傾き、汚れ、機種ごとの白黒の決め方が加わるので、結果はこれより悪くなることがあります
- 送るときの圧縮(MH・MR・MMR)は画像を劣化させない方式なので、この再現では扱っていません
使ったコード(fax_resolution.py)の要点は、次の数行です。
# 1mm=16点の原本を、FAXの密度(横8点/mm、縦は3.85・7.7・15.4本/mm)に縮小して白黒にする
def fax(img, h_dens, v_dens):
w_mm, h_mm = img.width / 16, img.height / 16
small = img.resize((round(w_mm * h_dens), round(h_mm * v_dens)), Image.BOX)
return small.point(lambda v: 255 if v > 128 else 0)
細い横線が消えるのは、なぜですか?
横線の太さが走査線の間隔より細いと、線が2本の走査線の間に落ち、どちらの点も「白」と判定されることがあるからです。標準モードの間隔は約0.26mmで、ボールペンの線(0.3〜0.5mm)とほぼ同じ太さです。
縦線は横方向の8点/mmで拾うので残りやすく、横線だけが消えます。そのため、次のような読み違いが起きやすくなります。
| 原本 | 標準で起きやすいこと | 注文で困ること |
|---|---|---|
| 品番のハイフン「S-0412」 | ハイフンが消える | 品番が別の書き方になり、引き当てに失敗する |
| 長音「ー」 | 消える、点になる | 品名が途切れ、別の品と迷う |
| 漢字の横画(生・醤など) | 欠ける、つぶれる | 別の字に読まれる |
| 数字の「2」「7」の横棒 | 短くなる、欠ける | 「1」との区別がつきにくい |
逆に、横線が走査線にちょうど重なると、1本分(約0.26mm)の太さに太ります。細い線が「消える」か「太る」かは位置しだいで、同じ文字でも行によって結果が変わるのが厄介な点です。
手書きの「1」と「7」の読み違いは、どう防ぎますか?
FAXの画像だけでは完全には見分けられないので、画像以外の情報で確かめます。いつもの注文量、単位、ほかの欄との整合を見て、迷う数量は必ず「要確認」に回します。
私が仕組みを作るときは、次の順で確かめるようにしています。
- AIが数字の読みに自信がないと答えたら、要確認にする
- その取引先・その品物の過去の注文量と比べ、大きく外れていたら要確認にする
- 単位(ケース・個・本)と数量の組み合わせが不自然なら要確認にする
- 明細の合計欄があれば、足し算が合うかを見る
「1を7と読んで、7倍の量を出荷する」のが、いちばん困る失敗です。読めた数字をそのまま信じず、別の情報と突き合わせる設計にしておけば、解像度の低いFAXでも事故は防げます。
受け取る側では、何ができますか?
解像度は送る側の設定で決まるので、受け取る側では上げられません。受け取る側でできるのは、届いた画像を劣化させずにAIへ渡すことと、読み違いを前提にした確認の仕組みを作ることです。
- 受信した画像をそのまま渡す:複合機の転送設定で、PDFを強く圧縮したり、解像度を下げたりしないようにします(設定の手順は複合機のFAXメール転送設定にまとめています)
- 頼める取引先には、ファインで送ってもらう:送る側はボタン1つで切り替えられます。注文の多い数社だけでも効果があります
- 注文書の書式を配れる場合は、文字を大きくする:品番の印字を10ポイント以上にし、数量欄を広くとります
- どの取引先が標準で送ってくるかを知っておく:受信したPDFの縦横の点の数を見れば、標準かファインかが分かります
試すときは、実際に届いたFAXを使うのがいちばん確実です。同じ取引先でも、送る機械や担当者で解像度が変わることがあります。
このサイトで相談するには?
お手元のFAXが、どの解像度で届いていて、どこまで読めるかは、無料相談で一緒に確かめられます。実物の注文書で試すときは、先に秘密保持契約(NDA)を結べます。自動化の費用は一式30万円〜で、毎月はAIの利用料の実費だけです。
よくある質問
- 受け取る側で、FAXの解像度を上げられますか?
- 上げられません。解像度は送る側の機械の設定で決まります。受信側でできるのは、届いた画像を劣化させずに保存し、AIに渡すことです。
- 標準モードのFAXでも、AIで読めますか?
- 多くの文字は読めます。ただし小さな文字や細い横線が欠けやすいので、数量や品番は照合のルールと「要確認」で守ります。
- 取引先にファインで送ってもらうよう頼むべきですか?
- 頼める取引先には効果があります。送る側はボタン1つで変えられ、費用もほとんど変わりません。無理にお願いする必要はありません。
出典
- ITU-T Recommendation T.4(グループ3ファクシミリの標準)(2026年10月14日確認)


