システム移行の並行稼働は何か月必要ですか?締め日の数から期間を計算する
システム移行の並行稼働は、新しい仕組みと古い仕組みに同じ取引を入れ、出てくる請求書などの帳票を突き合わせる期間です。長さは「すべての得意先の締めを2回またぐまで」で決まります。末締めだけなら59〜62日、末・20日・15日の3つなら最短74日で、始める日によっては91日かかります(計算値)。締め日の組み合わせごとの日数の表と、新旧の請求の差を出すスクリプトを載せます。(2026年10月時点)
全体の流れと費用はAccess・オフコンの引越しのページにまとめています。
要点
- 並行稼働は、すべての得意先の締めを2回終えるまで続け、新旧の請求を突き合わせます。
- 末締めだけなら、月の1日に始めて59〜62日で終わります(計算値)。
- 締め日が末・20日・15日の3つなら最短74日、月の2日に始めると88〜91日かかります(計算値)。
- 締め日が複数あるときは、いちばん早い締め日の翌日に始めると日数が最も短くなります。
- 突き合わせは得意先と締め日ごとに、行数・税抜・消費税を分けて比べます。
目次
並行稼働は、何か月続ければよいのですか?
すべての得意先の締めを2回またぐまで続けます。末締めだけの会社なら月の1日に始めて59〜62日、締め日が3つあれば最短でも74日かかります(Access引越しの計算値)。月の数で言えば、2か月から3か月です。
並行稼働は、Access・オフコンの引越しの最後の工程です。期間を「とりあえず1か月」と決めると、請求の締めが1回も比べられないまま切り替わることがあります。締め日の組み合わせごとの日数は次のとおりです。始める日を2026年11月1日から2027年10月31日まで365通り動かして数えました。
| 締め日の組み合わせ | 最短(日) | 最短になる始め日 | 1日に始めたとき(日) | 最長(日) |
|---|---|---|---|---|
| 末締めだけ | 59 | 1日 | 59〜62 | 91 |
| 末・20日 | 69 | 21日 | 79〜82 | 91 |
| 末・20日・15日 | 74 | 16日 | 79〜82 | 91 |
| 末・25日・20日・15日・10日 | 79 | 11日 | 84〜87 | 91 |
| 末と5日おきの6つ | 84 | 1日・6日・11日など | 84〜87 | 91 |
日数は、締めてから請求書を出して見比べ終えるまでの日数を含みません。締めから5日で突き合わせるなら、どの行も5日ずつ延びます。
なぜ締めを「2回」またぐのですか?
1回目の締めで新旧の差を見つけて直し、2回目の締めで直した結果が合うことを確かめるためです。1回しか比べないと、直したあとの仕組みが正しいかを本番の前に確かめられません。
差の原因は、ふだんの入力では出てきません。締めのときにだけ動く計算があるからです。消費税の端数の丸め方、月をまたぐ返品、締め日が土日に当たったときの扱いは、締めを通して初めて新旧の違いが見えます。
数えるのは「期間の全部を新旧の両方に入れた締め」だけです。たとえば並行稼働を1日に始めたとします。20日締めの得意先の最初の締めは、前月21日からの分が新しい仕組みに入っていません。この締めは比べられないので、2回に数えません。
大きな組織では、もっと長く取ることもあります。インプレスのIT Leaders(2018年6月21日)が、住宅ローンを扱う独立行政法人の移行を紹介しています。切替前の3か月は旧を正とし、切替後の3か月は新を正として、新旧を並べて動かしました。
締め日がいくつもあると、日数はどう計算しますか?
締め日ごとに「全部入れた締めを2回終える日」を出し、いちばん遅い日を並行稼働の終わりにします。始めた日から、その終わりの日までが必要な日数です。
計算はPythonで書きました。締め日の31は月末として扱い、2月は28日か29日にします。要点は次の数行です。
def end_for(d, start, n=2):
it = closings_from(d, start - timedelta(days=1))
next(it) # 始めた日の前日以後で最初の締め=数え始めの境目
for _ in range(n): # そこから全部入れた締めを n 回
c = next(it)
return c
end = max(end_for(d, start) for d in days) # いちばん遅い締め日が終わり
スクリプトは scripts/figs/parallel_run.py です。締め日の組み合わせを書き換えると、自社の日数が出ます。祝日や、締め日が休みに当たったときの前倒しは計算に入れていません。
並行稼働をいつ始めると、日数が短くなりますか?
いちばん早い締め日の翌日に始めると、最も短くなります。末・20日・15日の3つなら、16日に始めて74〜77日です。月の2日に始めると、末締めの最初の期間がまるごと使えず、88〜91日かかります。
月の1日は区切りがよく、始め日に選ばれやすい日です。ただし末と20日の締めがある会社では、1日に始めると79〜82日かかります。21日に始めた場合(69〜72日)より10日長くなります。締め日が5日おきに6つある会社では、どの日に始めても84日以上かかるため、始め日より二重入力を楽にする工夫が効きます。
新旧の請求は、どう突き合わせればよいですか?
得意先と締め日ごとに、行数・税抜金額・消費税を別々に足して比べます。請求の合計だけを見ると、伝票の抜けと別の金額の誤りが打ち消し合い、差がないように見えることがあります。
図3は、旧と新の請求の明細をCSVで書き出し、scripts/figs/invoice_diff.py で比べた結果です。データは架空で、入れ漏れと丸め方の違いの2か所をわざと仕込みました。CSVの文字コード(Shift_JISやUTF-8)は新旧で違うことがあるため、別々に指定できるようにしました。
差が出た行は、伝票番号の単位まで下りて原因を探します。私が仕組みを作るときは、差の原因と直した内容を1行ずつ記録します。2回目の締めで同じ得意先の差が0になったのを確かめてから切り替えます。
このサイトで相談するには?
並行稼働の日数は、得意先の締め日を並べると決まります。何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。
準備は要りません。無料で相談するからお送りください。
よくある質問
- 並行稼働を1か月で終えることはできませんか?
- 締めを2回比べるなら、末締めだけでも最短59日かかります。1回で切り替えると、直した結果を本番の前に確かめられません。
- 得意先の締め日がいくつあるか分からないときは?
- 今の仕組みから請求の一覧を書き出し、締め日の列を重複なしで数えれば分かります。棚卸しの最初に数える項目の1つです。
- 仕入先への支払の締めも数えますか?
- はい。支払の明細や買掛の帳票も新しい仕組みで出すなら、同じ数え方で日数に入れます。
- 並行稼働のあいだ、入力は毎日2回になりますか?
- 基本は新旧の両方に入れます。手間を減らすには、件数の多い入力だけ旧から取り込み、画面の確かめは一部の得意先に絞る方法があります。
この数字の出し方
この記事の自前の数字は、次の見本・条件・回数で出しました。主宰が確かめ、更新日は2026年10月17日です。スクリプトの名前から、同じ手順を自分のファイルで再現できます。
- Access引越しの計算(開始日を2026年11月1日から2027年10月31日まで365通り動かし、締め日の組み合わせごとに日数を数えた。請求の突き合わせは架空の明細)。scripts/figs/parallel_run.py・invoice_diff.py
出典
- IT Leaders(インプレス)「金融機関の大規模レガシーマイグレーション、その成功のポイントとは」2018年6月21日(住宅金融支援機構の移行の並行稼働)(2026年10月16日確認)
- Python 標準ライブラリ calendar(月の日数の計算に使用)(2026年10月16日確認)