Excelで同時編集できない条件と、人数別に編集が重なる回数

Excelの共同編集(同時編集)は、.xlsxなど新しい形式のファイルをOneDriveかSharePointに置き、対応する版のExcelで開いたときだけ使えます。条件が1つでも欠けると同時編集できない仕組みです。社内サーバーの共有フォルダの台帳は、後から開いた人が読み取り専用になります。あつらえアプリの計算では、5人が1日4回・10分ずつ開くと、この重なりは月118回起きます(2026年10月時点)。
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要点
- Excelの共同編集は、.xlsxなどをOneDriveかSharePointに置き、対応する版で開いたときだけ使えます。
- 社内サーバーの共有フォルダでは後から開いた人が読み取り専用になり、5人・1日4回・10分なら月118回重なります(計算値)。
- 10人に増えると月434回になり、開こうとした回の54%で、ほかの人が先に開いている計算です。
- KUIXの調査(2023年、n=1,287)でも、Excelのデータ管理の困りごとの1位は「複数人で同時編集ができない」でした。
目次
Excelの台帳を同時に編集できないのは、なぜですか?
Excelの共同編集には、置き場所・ファイル形式・Excelの版・権限の4つの条件があります。1つでも外れると、同時に編集できません。社内サーバーの共有フォルダに置いた台帳は、そもそも共同編集の対象になりません。
次の表は、Microsoftのサポートページ2つに書かれた条件をまとめたものです。出典は「ドキュメントの共同作業と共同編集」と「Officeの共同編集のトラブルシューティング」です。1行でも「できない例」に当たると、共同編集は使えません。
| 確かめること | 共同編集できる条件 | できない例 |
|---|---|---|
| 置き場所 | OneDrive、SharePoint | 社内サーバーの共有フォルダ、SharePointオンプレミスのサイト |
| ファイル形式 | .xlsx・.xlsm・.xlsb(マクロつきの.xlsmは形式としては対象。マクロの扱いは公式のページに書かれていません) | .xls(97-2003形式)、ISO Strict形式の.xlsx |
| Excelの版 | Microsoft 365 の Excel、Excel for the web | 共同編集に対応しない版 |
| 権限 | 編集する全員に、アクセスと編集の権限 | 閲覧の権限だけの人がいる |
SharePointオンプレミスは、自社のサーバーで動かすSharePointです。WordやPowerPointは共同編集できても、Excelのブックはできません。
同時に編集できないことは、Excelで台帳を持つ会社の困りごとの上位です。業務システムの会社KUIXの調査(2023年2月、n=1,287)では、1位が「複数人で同時編集ができない」でした。対象は社員101名以上の会社でデータ管理にExcelを使う会社員で、割合はリリースの本文にないため順位だけを書きます。
OneDriveに置いても共同編集が止まるのは、どんなときですか?
OneDriveやSharePointに置いた.xlsxでも、ファイルの中身や設定によっては共同編集が止まります。Microsoftのページは、原因としてパスワードによる暗号化やActiveXコントロールなどを挙げています。
台帳で起こりやすい場面と並べると、次のとおりです。右の列は、私が台帳を見るときに当たりやすい例です。
| 共同編集が止まる設定・中身(Microsoftの記載) | 台帳で起こりやすい場面 |
|---|---|
| パスワードによる暗号化 | 顧客や給与の台帳に「開くときのパスワード」を付けている |
| IRMによる保護(秘密度ラベルを使わないもの) | 社外秘の制限をかけたまま共有している |
| ActiveXコントロール | 入力シートに古い形式のボタンやチェックボックスがある |
| OLEオブジェクトなど対応しないオブジェクト | 別のファイルをシートに埋め込んでいる |
| チェックアウトが必須の設定 | SharePointで、取り出して編集する決まりにしている |
| グループポリシーでの禁止・最終版の設定 | 会社の設定で止めている、「最終版にする」を付けた |
パスワードで守っていた台帳を移すときは、暗号化を外します。代わりに、フォルダの共有範囲で見られる人を絞ります。
社内サーバーの共有フォルダでは、何が起きますか?
共有フォルダのExcelは、先に開いた人だけが編集できます。後から開いた人には「ファイルは使用中です」と出ます。選べるのは、読み取り専用で開くか、「通知」を押して先の人が閉じるのを待つかです。
開いた人の名前は、同じフォルダの一時ファイル(~$で始まる名前)に記録されます。MicrosoftのExcelサポートチームは、ブログ(2017年8月更新)でサーバーの再起動の例を挙げています。開いている途中で再起動するとこのファイルが残り、誰も開いていないのに使用中と出ます。
古い「共有ブック」機能を有効にすれば、共有フォルダのままでも複数の人が開けます。「Excelの仕様と制限」によると、共有ブックを同時に開ける人数は256人です。ただし、テーブルを1つでも含むブックでは有効にできません。セルの結合や条件付き書式の変更もできず、Microsoftはこの機能を共同編集に置き換えたと説明しています。
何人で使うと、編集の重なりはどれくらい起きますか?
1人が1日4回、1回10分ずつ台帳を開く場合、5人なら月118回、10人なら月434回ぶつかります。ここでの「ぶつかる」は、開こうとした時点でほかの人がすでに開いている状態です。あつらえアプリの主宰が、式とシミュレーションの両方で計算した値です(勤務8時間・月20日)。
まず、1人が開いている時間の割合を r = 1日の回数 × 1回の分数 ÷ 480分 とします。開く瞬間にほかの誰かが開いている確率は 1 − (1 − r)^(人数−1) です。この確率と1か月に開く回数を掛けた値が、図2の線です。
図2の点は、各人が開く時刻をばらばらに選ぶシミュレーションを2,000日分くり返した結果です。式との差は、どの条件でも5%以内でした。
r = k * T / 480 # 1人が開いている時間の割合
p = 1 - (1 - r) ** (n - 1) # 開く瞬間に、ほかの人が開いている確率
per_month = n * k * 20 * p # 1か月(20日)の重なりの回数
10人・1日4回・10分では、開こうとした回の54%で、ほかの人が先に開いている計算です。人数が2倍になると、重なりは2倍よりずっと多く増えます。
この計算は、全員が1日の中でばらばらに開く前提です。朝礼の後や月末の締めのように開く時刻が集まる職場では、実際の重なりはもっと多くなります。
同時に編集できない台帳は、どう直せばよいですか?
まず、共同編集の4つの条件をそろえられるかを確かめます。Microsoft 365を使っている会社なら、台帳を.xlsxにしてOneDriveかSharePointに移します。パスワードによる暗号化とActiveXも外します。
条件をそろえられない場合や、重なりの回数が多い場合は、次の順で考えます。
- 担当ごとにシートかファイルを分け、同じファイルを開く人数を減らす
- 直したらすぐ閉じる決まりにし、開いたまま席を離れないようにする
- 台帳の中身を、1件ずつ保存する業務アプリに移す
あつらえアプリで台帳をアプリにするときは、記録を1件ずつデータベースへ保存する作りにします。ファイル全体を1人で押さえないため、ほかの人が別の行を直していても待たずに済みます。どの台帳から始めるかと進める順番は、Excel業務のシステム化の手順で説明しています。
このサイトで相談するには?
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よくある質問
- 「共有ブック」を使えば、社内サーバーのまま同時に編集できますか?
- はい、ただし制限の多い古い機能です。テーブルを含むブックでは有効にできず、セルの結合や条件付き書式の変更もできません。Microsoftは共同編集に置き換えたとしています。
- 誰も開いていないのに、読み取り専用になるのはなぜですか?
- 開いた人を記録する一時ファイル(~$で始まる名前)が残っている場合があります。Microsoftのサポートチームは、開いている途中でサーバーを再起動したときの例を挙げています。
- OneDriveに移せば、衝突はなくなりますか?
- いいえ、条件がそろったときだけです。.xlsxなどの新しい形式で、パスワードによる暗号化やActiveXがなく、全員が対応する版のExcelで開く必要があります。
- 何人から、Excel以外の方法を考えたほうがよいですか?
- 人数だけでは決まりません。5人・1日4回・10分の計算で月118回重なるので、読み取り専用で待つ回数が増えてきたら、置き場所か仕組みを見直す時期です。
出典
- Microsoft サポート「Office の共同編集のトラブルシューティング」(発表元:製品の提供会社)(2026年10月16日確認)
- Microsoft サポート「ドキュメントの共同作業と共同編集」(SharePoint)(2026年10月16日確認)
- Microsoft サポート「共有ブック機能について」(2026年10月16日確認)
- Microsoft サポート「Excel の仕様と制限」(共有ブックの仕様と制限)(2026年10月16日確認)
- Microsoft Excel Support Team Blog「The Definitive 'Locked File' Post」(Microsoft Learn のアーカイブ、2017年8月更新)(2026年10月16日確認)
- KUIX「Excelでのデータ管理に関する調査」(2023年2月15〜24日、社員101名以上の会社の会社員 n=1,287)PC Watch 掲載のリリース(2026年10月16日確認)


