Excelのシステム化は、どこから始める?点数の式を4業種24台帳に当てた順番

Excelのシステム化をどこから始めるかは、「編集する人数×月の更新回数×転記先の数×誤りの影響」の点数が大きい台帳からにすると、手間の減り方が大きくなります。あつらえアプリが4業種24台帳の架空の例に式を当てると、製造は工程と案件、卸は取引先・単価と受注、建設は点検と現場、サービスは予約と顧客の台帳が上位2つに来て、どの業種でも点数の84〜95%を占めました。(2026年10月時点)
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要点
- Excelの台帳は、編集する人数×月の更新回数×転記先の数×誤りの影響の点数が大きい順にアプリにします。
- 4業種24台帳の架空の例では、各業種の上位2台帳が点数の84〜95%を占めました(計算値)。
- 行数がいちばん多いファイルが1番目になった業種は、4業種のうちサービスの1つだけでした。
- 人数と回数だけで比べると、卸の取引先・単価台帳は3番目以下に落ち、転記先を数える意味が出ます。
目次
Excelのシステム化は、どの台帳から始めればよいですか?
編集する人数、月の更新回数、転記先の数、誤りの影響の4つを掛けた点数が大きい台帳から始めます。点数が大きい台帳ほど、同時に開いて壊れる、書き写して間違える、といった手間がまとまって起きているからです。
あつらえアプリが、業種ごとに6つずつの架空の台帳で点数を計算すると、上位2つは次のとおりでした。どの業種でも、上位2台帳だけで6台帳の合計点の84〜95%を占めています。
| 業種 | 1番目の台帳(点) | 2番目の台帳(点) | 上位2つの割合 |
|---|---|---|---|
| 製造 | 工程・進捗表(6,400) | 案件・受注台帳(5,400) | 88% |
| 卸 | 取引先・単価台帳(10,800) | 受注台帳(9,600) | 85% |
| 建設 | 点検記録(7,680) | 現場台帳(4,320) | 88% |
| サービス | 予約表(9,600) | 顧客台帳(7,200) | 95% |
台帳の名前と人数・回数は、従業員15〜60名の会社を想定して置いた架空の値です。実際の順番は、自社の台帳で4つの値を数えて決めます。
台帳の点数は、どうやって計算しますか?
点数は「編集する人数×月の更新回数×転記先の数×誤りの影響」で出します。4つの値は、台帳を使っている人に聞けば、その場で数えられるものにしてあります。
- 編集する人数:その台帳に書き込む人の数。見るだけの人は数えない
- 月の更新回数:1か月に行を足す・直す回数
- 転記先の数:台帳の値を書き写すほかの表・帳票・システムの数。書き写す先がなければ1
- 誤りの影響:社内で気づいて直せるなら1、取引先やお客様に出るなら2、お金か安全に直結するなら3
足し算ではなく掛け算にしたのは、どれか1つが小さい台帳を上に出さないためです。1人しか触らない表は、更新が多くても同時に開いて壊れることがありません。
編集する人数を入れた根拠の1つは、KUIXのネット調査です。2023年2月に、社員101名以上の会社でExcelを使う会社員1,287人に聞いた調査です。データ管理の困りごとの1位は「複数人で同時編集ができない」でした。
更新の回数を入れたのは、入力のたびに誤りが入りうるからです。Pankoがまとめた表計算の監査では、セル単位の誤り率が0.4〜2.5%でした。
計算の台本は実験の台本とデータ(zip)の ledger_score.py です。要点は次の数行です。
def score(e, u, t, i): # 人数・月の回数・転記先・影響
return e * u * t * i
ls = sorted(LEDGERS['卸'], key=lambda x: -score(*x[1:5]))
業種ごとに当てると、どの台帳が先頭に来ますか?
製造は工程・進捗表、卸は取引先・単価台帳、建設は点検記録、サービスは予約表が1番目でした。どれも、現場の何人もが毎日書き込み、その値をほかの帳票へ書き写す台帳です。
製造の工程・進捗表は、8人が月200回書き込む想定です。工程ごとの担当者が進み具合を書き、事務が納期の回答と出荷の予定に書き写します。案件・受注台帳は書く人が5人と少なめです。それでも見積・請求・工程表の3か所へ転記し、誤りが請求額を左右するので、点数は2番目でした。
卸の取引先・単価台帳は、単価を見積・受注・請求・販売管理の4か所へ写す想定です。単価を1つ間違えると請求額がずれるので、影響は3にしました。
建設の点検記録は、紙の点検表を事務所で打ち直し、報告書にも写します。点数は8人×月160回×転記先2×影響3で7,680点です。サービスの予約表は、受付の8人が月300回書き換え、顧客台帳と売上日報へ写す想定です。
いちばん大きいExcelファイルから始めてはいけないのですか?
行数の多さだけで選ぶと、1番目の台帳を外しやすくなります。架空の24台帳で比べると、行数が最大のファイルと点数が最大の台帳が一致したのは、サービスの予約表だけでした。
卸の売上の集計表は48,000行あり、24台帳でいちばん大きいファイルです。それでも書き込むのは1人、月20回で、書き写す先もないため20点でした。製造の顧客台帳も8,500行ありますが、2人が月10回直すだけで40点です。
行数が多い台帳は重くて開くのが遅い、という困りごとはあります。ただ、1人で使う集計表は、Excelのまま関数やピボットで直す方が速いこともあります。アプリにしても、減る手間は小さくなります。行数の上限や同時編集の条件は、Excelの同時編集ができない理由に、数字と一緒にまとめています。
点数が近い台帳が2つあるときは、どちらから始めますか?
ほかの台帳が値を引いてくる「元の台帳」を先にします。卸の例では、取引先・単価台帳が10,800点、受注台帳が9,600点と近い値でした。受注台帳は、単価を取引先・単価台帳から引いて使います。
この2つは、転記先を数えるかどうかで順番が入れ替わります。人数×更新回数だけで比べると、卸の上位2つは受注台帳と在庫表になり、取引先・単価台帳は3番目に落ちました。単価の書き写しが4か所あるという手間は、人数と回数だけでは見えません。
私が順番を決めるときは、点数が2倍以内なら元の台帳から作ります。単価や取引先を1か所で直せるようにしておくと、2つ目の受注の画面では単価を選ぶだけで済み、作る量も減ります。
この式には限界もあります。誤りの影響の1〜3は人が決める値で、会社によって付け方がぶれます。月の更新回数も、繁忙期と閑散期で変わります。点数は順番を決めるための目安として使い、近いものは台帳を使っている人の話を聞いて決めてください。
このサイトで相談するには?
どの台帳から手をつけるかは、あつらえアプリの相談で一緒に考えられます(無料で相談する)。何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。準備は要りません。
よくある質問
- 台帳が2つしかない会社でも、点数を出す意味はありますか?
- あります。2つの点数が10倍以上離れていれば、迷わず大きい方から始められます。近いときは、ほかの台帳が値を引く元の台帳を先にします。
- 誤りの影響の1〜3は、誰が決めればよいですか?
- 台帳を使う人と社長の2人で決めるのが目安です。迷ったら、誤りが取引先やお客様に届くかどうかだけで2か1に分けます。
- 点数の低い台帳は、Excelのままでよいですか?
- はい。1人で集計や分析に使う表は、点数が20点前後と低く、Excelの方が速く直せます。アプリの台帳からCSVで取り出して使い続けられます。
- 上位2つの台帳を一度にアプリにしてもよいですか?
- できますが、1つずつの方が使い始めが早くなります。1つ目を使いながら直し、項目や画面の決め方を2つ目に生かせます。
出典
- あつらえアプリ 台帳の点数の計算と図のスクリプト(実験の台本とデータのzipの ledger_score.py)、台帳と値は架空の例、2026-10-16 実行(2026年10月16日確認)
- KUIX「Excelでのデータ管理」ネット調査(2023年2月15〜24日、社員101名以上の会社でデータ管理にExcelを使う会社員 n=1,287)、PC Watch 掲載のリリース(2026年10月16日確認)
- Raymond R. Panko「Spreadsheet Errors: What We Know. What We Think We Can Do」EuSpRIG 2000 予稿(2005年改訂版)Table 1(2026年10月16日確認)


