手書きの赤字修正は図面AIで拾える?手書き図面の読み取りで、赤を色で見つけて人に回す方法

手書き図面の読み取りでは、赤字修正の文字を読み切るより先に赤い部分を色で見つけ、その図面を人の確認に回すと見落としを減らせます。架空の部品図40枚の実験では、カラーでスキャンした赤字あり20枚を20枚とも拾えましたが、白黒でスキャンすると0枚でした。黒の手書きは印字と色で区別できないので、元の図面との差分のような別の目印が要ります。(2026年10月時点)
全体の流れと読める項目は読み取りの進め方のページにまとめています。
要点
- 手書きの赤字修正は、文字を読む前に赤い部分を色で見つけ、その図面を人の確認に回すのが確実です。
- 架空の部品図40枚の実験では、カラーでスキャンした赤字あり20枚を20枚とも拾え、白黒のスキャンでは0枚でした。
- 赤い受付印を検出から外さないと、赤字のない図面20枚のうち受付印のある10枚を全部「赤字あり」と誤って判定しました。
- 黒の書き込みだけの10枚は色では1枚も拾えず、書き込み前の元の図面と差分を取ると10枚とも拾えました。
目次
手書きの赤字修正は、図面AIで拾えますか?
拾えますが、文字を読ませるより先に「赤い部分があるか」を色で見つけ、その図面を人の確認に回す形が確実です。手書きの文字は崩れ方が人ごとに違い、読み取りの誤りを全部は防げません。一方、赤字があるかどうかは色だけで分かります。
図面よみが架空の部品図40枚で試した結果は、方法ごとに次の表のとおりです。赤字はカラーのスキャンなら拾え、黒の書き込みは色では拾えませんでした。
| 書き込みの種類 | 見つけ方 | 拾えた枚数(カラーのスキャン) | 拾えた枚数(白黒のスキャン) |
|---|---|---|---|
| 赤字の修正(20枚) | 赤い画素を数える | 20枚中20枚 | 20枚中0枚 |
| 黒の書き込みだけ(10枚) | 赤い画素を数える | 10枚中0枚 | 10枚中0枚 |
| 黒の書き込みだけ(10枚) | 元の図面との差分 | 10枚中10枚 | 10枚中10枚 |
拾えなかった図面は、そのまま台帳や見積に流れてしまいます。そこで、見つけたものを読み切ることより、書き込みのある図面を1枚も通さないことを先に考えます。
赤字を色で見つける仕組みは、どう動きますか?
画像の色をHSV(色相・彩度・明度)に直し、赤に近い色の画素を数えて、一定の数を超えた図面を「赤字あり」にします。文字の形は見ないので、字が崩れていても、丸で囲んだだけの印でも同じように拾えます。
図面よみの実験では、色相が赤の範囲の画素を赤としました。OpenCVの値で色相0〜10と170〜179、彩度と明度は70以上です。150画素を超えたら赤字ありです。要点は次の数行です(全体は相談のときにお見せします)。
hsv = cv2.cvtColor(rgb, cv2.COLOR_RGB2HSV)
h, s, v = hsv[..., 0], hsv[..., 1], hsv[..., 2]
red = ((h <= 10) | (h >= 170)) & (s >= 70) & (v >= 70)
red[y0:y1, x0:x1] = 0 # 受付印を押す場所は数えない
has_red = red.sum() > 150
つまずきやすいのは、赤字でない赤です。受付印や承認印、赤で印刷した線も赤として数えてしまいます。受付印を押す場所を検出から外さないと、赤字のない図面20枚のうち、受付印のある10枚が全部「赤字あり」になりました。
架空図面40枚の実験では、赤字をどれだけ拾えましたか?
カラーでスキャンした条件では、赤字あり20枚を20枚とも拾い、赤字のない20枚を誤って拾った図面は0枚でした。薄い赤ペンと強い圧縮を加えても20枚とも拾えましたが、白黒でスキャンすると0枚です。
40枚の内訳は、赤字あり20枚(うち10枚は黒の書き込みも)、黒の書き込みだけ10枚、書き込みなし10枚です。半分の20枚に赤い受付印を押しました。これを3つの条件に劣化させ、図面よみの手元のPCで判定しています。
| スキャンの条件 | 赤字ありを拾えた | 赤字なしの誤検出 | 差分で書き込みを拾えた |
|---|---|---|---|
| カラー | 20/20 | 0/20 | 30/30 |
| カラー・薄い赤ペン・強い圧縮 | 20/20 | 0/20 | 20/30 |
| 白黒(FAX相当) | 0/20 | 0/20 | 30/30 |
薄い赤ペンの条件で、差分が30枚中20枚にとどまったのは、薄い赤を灰色に直すと紙の色に近くなるからです。色と差分は苦手な場面が違うので、両方を使うと漏れが減ります。
この実験の図面と書き込みはすべて架空で、筆跡は実際の人のものではありません。蛍光ペンや朱色のスタンプ、赤で描かれたCADの線がある実物では、判定の値を図面に合わせて決め直す必要があります。
黒の手書きの書き込みは、どうやって見つけますか?
黒の書き込みは印字と同じ色なので、色では見つけられません。客先から届いた元の図面(書き込み前のCADのPDF)があれば、スキャンした図面との差分を取ります。元の図面にない線が、書き込みです。
実験では、元の図面の線を少し太らせてから差分を取り、ずれや汚れを無視しました。黒の書き込みだけの10枚は、どの条件でも10枚とも拾えました。書き込みのない10枚を誤って拾った図面はありません。
元の図面が手元にない場合は、書き込みのルールを決めるのが現実的です。
- 図面への修正は赤で書く、と社内と客先にお願いする
- 黒で書いた確認の印(確認済み・現物合わせなど)は、付箋か決まった欄に書く
- スキャンはカラーで取り、白黒で取った図面は全件を人が見る
見つけた図面を人に回す流れは、どう作りますか?
図面が届いたら赤の検出と差分の両方を自動で通し、どちらかで引っかかった図面に「要確認」の印を付けます。人が読んでから、台帳や見積に反映します。書き込みのない図面は、そのまま読み取りに進めます。
人が確認したら、図番・版数・赤字のあった場所・確認した人と日を残します。赤字の内容が寸法や公差の変更なら、新しい版を受け取るまで加工に回さない、という止め方もできます。版の管理は「図面の最新版が分からないのはなぜ?」で扱っています。改訂の前後を重ねて違いを探す方法は改訂前後の差分の記事にあります。
記録は、客先とのやり取りにも使えます。赤字で寸法が変わった図面は、変更の前に終えていた工程があれば、その工数も同じ行に書いておきます。追加の費用を相談するときの材料になります。
このサイトで相談するには?
赤字の見落としや、書き込みの多い図面の扱いでお困りなら、図面よみの無料で相談するからどうぞ。何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。準備は要りません。図面をお見せいただかなくても、御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。
よくある質問
- 赤字の文字そのものも、AIで読めますか?
- 読める場合はありますが、図面よみの実験では文字を読んでいません。手書きは崩れ方が人ごとに違うので、まず赤字のある図面を見つけて人に回し、読むのは人に任せます。
- FAXで届いた図面の赤字は、色で見つけられますか?
- いいえ。白黒で届くと赤の色が残らず、実験でも赤字あり20枚のうち0枚でした。カラーで取り直すか、元の図面との差分で探します。
- 青や緑のペンの書き込みも、同じ方法で拾えますか?
- はい、色の範囲を足せば拾えます。印字が黒だけの図面なら、黒と灰以外の色の書き込みは同じ考え方で見つけられます。
- 赤字を見つけたあと、何を記録すればよいですか?
- 図番・版数・赤字のあった場所・誰がいつ確認したかの4つです。設計変更の追加の工数を確かめるときにも使えます。
出典
- 図面よみの実験(2026年10月16日)。架空の部品図40枚(赤字あり20枚・黒だけ10枚・書き込みなし10枚、うち20枚に赤い受付印)を3つのスキャン条件に劣化させ、HSVの赤の検出と元の図面との差分で判定。コードは相談のときにお見せします(2026年10月16日確認)
- KanjiVG(Ulrich Apel、Creative Commons 表示-継承 3.0)。手書き風の字形の筆画データとして使用(2026年10月16日確認)


