自社の条件で計算する
数値を書き換えると結果がその場で変わります。初期値は1拠点・月1件で、減る時間は0から始まります。報告の仕組みの主な目的は時間の節約ではなく、措置を講じたことと事実を記録で示せるようにすることです。
どういう式で計算しているか?
月の件数に1件の報告・伝達・転記の分を掛けて記録と報告の時間を出し、拠点の数に営業時間と上司の在店時間の差と営業日を掛けて、その場で相談できる上司がいない時間を出します。
- 月の件数 N = 店舗・事業所の数 S × 1拠点・1か月の件数 n
- 記録と報告の時間(今・月)T0 = N ×(報告 b + 伝達 c + 転記・集計 d)÷ 60、金額 = T0 × 1時間あたりの人件費 w
- 仕組みにした後 T1 = N ×(b1 + c1 + d1)÷ 60(b1・c1・d1 は御社で見込む分)
- 現場での対応の時間(月)Ta = N × 1件の対応の分 a ÷ 60。報告の仕組みでは減らない時間として別に出します
- その場で相談できる上司がいない時間(月)= S × max(0, 営業時間 H − 上司の在店時間 M)× 営業日 D。本部の窓口や電話で営業中ずっと受けられるなら、M に営業時間と同じ値を入れて0にします
入力例と結果は?
初期値では記録と報告が月0.5時間、その場で相談できる上司がいない時間が月120時間です。導入例(イメージ)の8店舗のスーパーと同じ置き方なら、記録と報告は月8時間から約1.3時間になります。
| 入力 | 記号 | 単位 | 初期値 |
|---|---|---|---|
| 店舗・事業所の数 | S | 拠点 | 1 |
| 1拠点・1か月の事案の件数(仮の値。0から変えられます) | n | 件 | 1 |
| 1件の現場での対応の時間(厚労省マニュアルの一例) | a | 分 | 30 |
| 1件の報告書づくり(仮の値) | b | 分 | 15 |
| 1件の本部への伝達(仮の値) | c | 分 | 10 |
| 1件の本部での転記・集計(仮の値) | d | 分 | 5 |
| 1時間あたりの人件費(最低賃金の全国加重平均) | w | 円 | 1,177 |
| 1日の営業時間 | H | 時間 | 12 |
| その場で相談できる上司(店長など)が店にいる時間(本部や電話で営業中ずっと受けるなら営業時間と同じ値) | M | 時間/日 | 8 |
| 月の営業日 | D | 日 | 30 |
| 仕組みにした後の報告(既定は今と同じ) | b1 | 分 | 15 |
| 仕組みにした後の伝達(既定は今と同じ) | c1 | 分 | 10 |
| 仕組みにした後の転記・集計(既定は今と同じ) | d1 | 分 | 5 |
| 例 | 月の件数 | 記録と報告(今) | 仕組みにした後 | 現場での対応 | その場で相談できる上司がいない時間 |
|---|---|---|---|---|---|
| 初期値(1拠点・月1件) | 1件 | 0.5時間(589円) | 0.5時間 | 0.5時間 | 120時間 |
| 2拠点・各月3件(訪問介護の導入例と同じ置き方) | 6件 | 3時間(3,531円) | 0.5時間 | 3時間 | 240時間 |
| 8店舗・各月2件(スーパーの導入例と同じ置き方) | 16件 | 8時間(9,416円) | 1.3時間 | 8時間 | 960時間 |
| 1拠点・月20件(コールセンターの導入例と同じ置き方) | 20件 | 10時間(11,770円) | 1.7時間 | 10時間 | 120時間 |
2行目以降は、導入例(イメージ)と同じ件数と分を置いた例で、仕組みにした後は1件の報告5分・伝達と転記0分としています。件数と分は架空の会社に置いた値で、統計ではありません。8店舗で店長がその場にいない時間は月960時間です。指針4⑵は相談の担当者が店にいることまでは求めていないので、その時間の報告を本部の窓口や電話で受ける流れを決めておけば、この時間は埋まります。シフトの型ごとの数え方はカスハラの相談窓口の記事にあります。
頼み先ごとに、3年間でいくらかかるか?
電話の録音を取り込む30席のコールセンターと同じ大きさのモデルで、最初の費用に毎月の費用の3年分を足した総額を、保守契約なし・ありで出しました。他社はこのモデルで比べられない理由を表に書いています。
| 頼み先 | 最初の費用 | 毎月の費用 | 3年間の総額 |
|---|---|---|---|
| A社(通報・録音のアプリ) | — | — | 料金の公表なし |
| B社(録音・文字化のパック) | — | — | 公式ページ(2026-10-16)では対面の接客向け(端末3台まで)とされ、電話の録音を取り込む機能の記載がないため、このモデルでは比べられない |
| S社(人事労務のクラウド) | — | — | カスハラ専用の機能ではないため比べられない |
| カスハラ報告ライン(保守契約なし) | 80万円〜 | 月0円〜 | 80万円〜+文字起こしの実費 |
| カスハラ報告ライン(保守契約あり) | 80万円〜 | 月0円〜に保守 月1万円〜を足す | 116万円〜+文字起こしの実費 |
対面の窓口が1つの事業所なら、3年間でいくらか?
| 頼み先 | 含むもの | 最初の費用 | 毎月の費用 | 3年間の総額 |
|---|---|---|---|---|
| B社(録音・文字化のパック。録音・文字化) | 対面の会話の録音と文字化。報告フォーム・通知・台帳は含みません | 26.4万円〜 | 月1.1万円〜 | 66万円〜 |
| カスハラ報告ライン(保守契約なし。報告・台帳) | 報告フォーム・通知・台帳(録音の取り込みなし) | 30万円〜 | 0円〜 | 30万円〜 |
| カスハラ報告ライン(保守契約あり。報告・台帳) | 同上。保守契約(月1万円〜)を付けた場合 | 30万円〜 | 月1万円〜 | 66万円〜 |
含むものが同じではないため、金額の大小だけでは選べません。録音と文字化だけならB社のほうが安く始められます。B社は録音と文字化、カスハラ報告ラインは録音を入れない報告フォーム・通知・台帳です。A社は料金の公表がなく、S社はカスハラ専用の機能ではないため並べていません。
カスハラ報告ラインは、このモデルと同じ大きさの導入例(イメージ)の金額で、文字起こしのクラウドの実費は使った分だけ別にかかります。各社の料金・できること・出典は頼み先の比較にまとめています。
この計算の前提と限界は?
件数と、報告・伝達・転記の分の初期値は、運営者が置いた仮の値で、統計ではありません。自社の数字に置き換えて使ってください。
- 1件の現場での対応の30分は、厚生労働省のマニュアルが、膠着状態から30分程度を超えたらお引き取りを願う、という対応の例に挙げる時間です。マニュアル自身が「あくまで一例」とし、業種・業態に応じて各企業で決めるよう書いています
- 1時間あたりの人件費の初期値1,177円は、令和8年度の地域別最低賃金の全国加重平均です。人件費の下限の目安なので、会社負担の保険料を含めた実際の額を入れてください
- 報告・伝達・転記の時間を測った公的な統計は、2026年10月の時点で見つかりませんでした。1か月ほど、自社の報告にかかった分を数えた値を入れてください
- その場で相談できる上司がいない時間は、店長などの上司が店にいる時間を1日の合計で入れたものです。休憩や会議で抜ける時間は含めていません。窓口が店の外(本部・電話・外部の委託先)にあっても措置にはなるので、これは窓口がない時間ではありません
- 対応のあとに従業員が受ける心身の負担や、休職・離職の影響は、この計算に含めていません。報告の仕組みの値打ちは、減る時間より、措置を講じたことや、労災の請求・紛争・離職のときに何があったかを記録で示せることにあります
現場の報告から本部の台帳までを、御社のやり方のまま1本に。
御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。準備は要りません。オンラインで、全国からお受けしています。
無料で相談する出典
- 厚生労働省 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)(2026年10月16日確認)
- 厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金改定状況」(2026年10月16日確認)
変更履歴
| 公開:最初の版(計算式の検証日 2026-10-16) |