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社外秘の客先図面を、外に出さずにAIで読むには?3つの構成と、社内PCで測った処理時間

社外秘の客先図面を、外に出さずにAIで読むには?(記事の表紙)

客先の社外秘の図面は、社内のPCだけで読み取りを完結させる構成にすれば、外部に送らずにAIで読めます。主宰の手元のノートPC(CPUのみ)で架空のA3図面10枚を読ませたところ、1枚あたり約13秒(中央値)で、表題欄の図番・品名・材質・表面処理は40項目すべて読めました。学習に使わない設定のクラウドと外部のAI APIとの違いも、図面の行き先で比べます。(2026年10月時点)

全体の流れと読める項目は読み取りの進め方のページにまとめています。

要点

  • 社内のPCだけで読み取りを完結させれば、客先の図面を外部に送らずにAIで読めます。
  • CPUだけのノートPCで架空のA3図面10枚を読むと、1枚12.79秒(中央値)で表題欄40項目がすべて一致しました。
  • 表題欄だけを切り出して読むと1枚6.48秒で、1日50枚でも約5分半で終わる計算です。
  • クラウドやAPIに送るなら、学習への利用・保存の期間と場所・人が見るかの3点を規約の原文で確かめます。
目次
  1. 客先の図面を外に出さずにAIで読むことはできますか?
  2. 普通の事務用PCで、図面1枚を何秒で読めますか?
  3. クラウドやAPIに送るなら、どこを確かめますか?
  4. 客先に出してよい図面は、どう分けて管理しますか?
  5. 社内PCだけで読む構成には、どんな限界がありますか?
  6. このサイトで相談するには?
  7. よくある質問

客先の図面を外に出さずにAIで読むことはできますか?

できます。社内のPCに読み取りのAI(OCR)を入れて、そのPCの中だけで処理を終える構成にすれば、図面の画像は社外に出ません。クラウドや外部のAI APIを使う構成も、規約の条件しだいで選べます。

3つの構成の違いは、図面がどこまで行くかと、送った先で学習に使われるかです。処理時間は、社内PCで完結する構成だけを主宰が測りました。

構成 図面の行き先 学習への利用 処理時間(1枚) 合う図面
① 社内PCで完結 社内のPCだけ 社外に出ないので起きない 6.48〜32.52秒(主宰の実測) どんな場合も出さない図面
② 学習に使わない設定のクラウド 契約したクラウド 規約で「使わない」と定めたもの 測っていない NDAを結んだ後に扱う図面
③ 外部のAI API AI事業者のサーバー 有料と無料で扱いが違う 測っていない NDAなしで出せる図面
3つの構成で図面の画像がどこまで行くかの図。社内PCで完結する構成では社外に出ず、クラウドとAI APIの構成では社外のサーバーへ送られる
図1 3つの構成と図面の行き先。①だけは図面の画像が社内のネットワークから出ません。②と③は、送り先の規約で扱いが決まります。

普通の事務用PCで、図面1枚を何秒で読めますか?

GPUのないノートPCで、A3の架空図面1枚を約13秒(中央値)で読めました。表題欄だけを切り出すと約6.5秒です。1日50枚なら、全体を読んでも約11分の計算になります。

測ったのは主宰の手元のPC(AMD Ryzen 7 7735U、メモリ32GB)です。架空のA3部品図10枚をPythonで描き、RapidOCR 3.6.0(PP-OCRv5 mobile)に読ませました。モデルはPCの中にあり、通信はしていません。

実験に使った架空のA3部品図。四隅に穴のある板の図と寸法、注記3行、右下の表題欄に図番DA-2026-0100・品名ガイドレール・材質A5052・表面処理
図2 実験に使った架空の図面(1枚目)。寸法・穴の数・品名・材質は1枚ごとに変えました。会社名も含めて全部架空です。

条件は4つです。4条件を図面1枚ごとに順番どおり回して測りました。表題欄はどの条件でも40項目がすべて一致しました。

読み方 画像の大きさ(px) 中央値(秒) 最小〜最大(秒) 表題欄の一致
A3全体 200dpi(長辺2,000pxに縮める既定の設定) 3,307×2,339 12.79 8.16〜16.52 40/40
A3全体 200dpi(縮めない) 3,307×2,339 21.18 11.87〜33.27 40/40
A3全体 300dpi(縮めない) 4,961×3,508 32.52 23.61〜54.55 40/40
表題欄だけ 300dpi 2,185×886 6.48 3.54〜10.81 40/40
社内のノートPCで架空のA3図面を読んだ1枚あたりの秒数の横棒グラフ。200dpi全体12.79秒、縮めない200dpi21.18秒、300dpi全体32.52秒、表題欄だけ6.48秒
図3 読み方ごとの1枚あたりの処理時間。表題欄だけを読むと、A3全体を300dpiで読むときの約5分の1の時間で済みました。

計測の要点は次の数行です。

eng = RapidOCR(params={'Det.ocr_version': OCRVersion.PPOCRV5,
                       'Rec.ocr_version': OCRVersion.PPOCRV5,
                       'Global.max_side_len': 5000})  # 縮めない設定
t0 = time.perf_counter(); out = eng(np.array(drawing))
sec = time.perf_counter() - t0
hit = sum(norm(v) in norm(''.join(out.txts)) for v in meta.values())

結果には次の限界があります。

  • 測定中は別の処理も動いていて、CPU使用率は100%でした。同じ条件を先に一度測ったときは1枚3.41秒で、PCの混み具合で数倍ずれます
  • 図面は印字だけの架空図面です。手書きの注記、かすれたスキャン、寸法や公差の読み取りの正しさは測っていません

クラウドやAPIに送るなら、どこを確かめますか?

規約の原文で、入力を学習に使うか、保存の場所と期間、人が読むことはあるかの3点を確かめます。同じ事業者でも、有料と無料で扱いを分けている場合があります。

例えばGoogleのGemini APIの追加規約(2026年4月28日更新)を見ます。無料の利用では、送った内容を製品の改善に使い、人が読むこともあると書かれています。有料の利用では、入力と応答を製品の改善に使わない一方、禁止された使い方を見つけるために限られた期間記録するとしています。データは、Googleが施設を持つどの国にも一時的に保存されうるとも書かれています。

図面の管理サービスにも、学習への利用を明記するものがあります。S社(図面の管理サービス、名前は伏せています)は公式サイトで、預かったデータを学習目的に使わないと示しています。拠点は東京・大阪のリージョンに限るとしています。料金は月額4.8万円〜(税抜)です。

客先に出してよい図面は、どう分けて管理しますか?

図面ごとに開示の区分を3つから決め、図面の台帳の1列に持つのが実務的です。3つとは「NDAなしで出せる」「NDAを結んだ後に出せる」「どんな場合も出さない」です。区分が分かれば、AIで読むときの構成も図面ごとに選べます。

この3区分の出どころは、公正取引委員会・中小企業庁・特許庁が2026年6月24日に出した知財取引指針です。指針は、自社の情報を最低限この3つに分けておくことが重要だとしています。整理すべき情報の例には「金型等設計図面や設計・加工データ」が入っています。図面よみで台帳を作るときは、次の項目を区分に添えます。

開示区分 台帳に持つ項目 読み取りの構成
NDAなしで出せる 区分、出した先と日付 ①〜③のどれでもよい
NDAを結んだ後に出せる 区分、NDAの相手・締結日、出した版数 ①か②(契約の範囲を確かめる)
どんな場合も出さない 区分、閲覧できる人、持ち出しの記録 ①だけ

経済産業省によると、営業秘密として法律で守られるには、秘密として管理されていることが要件の1つです。どの管理なら足りるかは、経済産業省の管理指針の本文と弁護士に確かめます。

社内PCだけで読む構成には、どんな限界がありますか?

限界は、処理に時間がかかり、PCの混み具合で速さも変わる点です。主宰の実測では、同じ条件でも1枚3.41秒の回と12.79秒の回がありました。

そのため私が仕組みを作るときは、図面を受け取ったその場では読まず、夜間や昼休みにまとめて読む形にします。読み取り専用のPCを1台決めておくと、ほかの作業と取り合いになりません。

どうしても客先や外部に図面を渡すときは、寸法を消してから渡す方法もあります。知財取引指針の実践例1-9では、生産用の機械器具を作る会社が、寸法情報等を削除したうえで図面設計データを開示しています。

モデルの入れ替えや設定の見直しも、社内のPCで行う必要があります。費用は一式30万円〜で、社外に出さない構成の作り込みや、図面の枚数と形式、読む項目の数で上下します。

このサイトで相談するには?

どの図面をどの構成で読むか、決まっていなくても大丈夫です(無料で相談する)。図面をお見せいただかなくても、枚数と形式をうかがえば目安をお答えします。実物の図面で試すときは、先に秘密保持契約(NDA)を結べます。図面よみが、御社のやり方に合わせて進め方を一緒に考えます。

よくある質問

GPUのない普通の事務用PCでも図面を読めますか?
はい。CPUだけのノートPCで、架空のA3図面1枚を約13秒(中央値)で読めました。表題欄だけなら約6.5秒です。夜間にまとめて読む使い方なら十分です。
社内PCで読むと、クラウドより精度が落ちますか?
表題欄の4項目は、架空図面10枚の40項目すべてが一致しました。ただし手書きの注記や寸法・公差は測っていません。実際の図面で先に確かめます。
無料のAIチャットに図面を貼るのは避けたほうがよいですか?
はい。例えばGoogleのGemini APIの規約では、無料の利用は内容が製品の改善に使われ、人が読むこともあると書かれています。客先の図面は入れません。
社内で完結する構成は、費用が高くなりますか?
作り込みの分だけ上がることがあります。図面よみの費用は一式30万円〜で、図面の枚数と形式、読む項目の数で上下します。

出典

  1. 公正取引委員会・中小企業庁・特許庁「知的財産権・ノウハウ・データの適切な取引のための優越的地位の濫用等に関する指針」(2026年6月24日)(2026年10月16日確認)
  2. 経済産業省「営業秘密〜営業秘密を守り活用する〜」(営業秘密の3要件、営業秘密管理指針 2025年3月改訂)(2026年10月16日確認)
  3. Google「Gemini API Additional Terms of Service」(Last updated 2026-04-28)(2026年10月16日確認)
  4. S社(図面管理のクラウド)公式サイト(データを学習目的に使用しない、東京・大阪リージョン、月額4.8万円〜(税抜))(2026年10月16日確認)
  5. 主宰の実験:架空のA3図面10枚をRapidOCR 3.6.0(PP-OCRv5 mobile、CPUのみ)で読んだ処理時間(2026年10月16日。コードは相談のときにお見せします)(2026年10月16日確認)