在庫管理をエクセルと紙でしている割合は?倉庫の担当者189人の調査を、人数と区間で読み直す

倉庫の在庫管理の担当者・経営者・役員189人の調査(2022年7月)では、主な在庫管理の方法がエクセル(Excel)の人の割合は23.9%、紙は15.9%で、合わせて39.8%(約75人)でした。95%区間は33.0〜46.8%で、「約4割」は幅をもって読む数字です。発表元は在庫管理システムを売る会社で、中小企業に限った調査でもありません。在庫てちょうの主宰が、設問ごとの人数と区間を計算し直しました(2026年10月時点)。
全体の流れと費用は在庫管理のExcel脱却のページにまとめています。
要点
- 倉庫の在庫管理担当者ら189人の調査(2022年7月)で、主な方法はExcel 23.9%・紙15.9%、合わせて約75人でした。
- Excelと紙の計39.8%の95%区間は33.0〜46.8%です(Wilson の式で計算)。
- Q1では「わからない/答えられない」が33.3%(約63人)あり、答えた126人に絞るとExcelと紙は59.5%になります。
- 「作った人しか分からない」42.2%はExcel利用者45人の19人分で、区間は29.0〜56.7%と広く取れます。
目次
在庫をExcelと紙で管理している人は、どれくらいいますか?
倉庫の在庫管理の担当者・経営者・役員189人の調査で、主な方法がExcelの人は23.9%(約45人)でした。紙の人は15.9%(約30人)です。合わせて39.8%、人数にすると約75人です。
元の調査は、株式会社ダイアログが2022年7月15〜25日にインターネットで行ったものです。発表元は在庫・倉庫管理システムを販売しています。記事の見出しは「約4割」でしたが、選択肢を全部並べると別の姿も見えます。次の表は、Q1の7つの選択肢を189人に対する人数に直したものです。
| Q1 主な方法(n=189) | 割合 | 人数(計算値) |
|---|---|---|
| Excel | 23.9% | 45人 |
| 紙 | 15.9% | 30人 |
| その他の管理ソフト・ツール | 19.0% | 36人 |
| WMS(倉庫管理システム) | 7.4% | 14人 |
| スプレッドシート | 0.5% | 1人 |
| わからない/答えられない | 33.3% | 63人 |
いちばん多い答えは「わからない/答えられない」で、回答者の3人に1人です。この63人を除いた126人では、Excelと紙は75人で59.5%です。どちらの数字を使うかで、「4割」とも「6割」とも言えてしまいます。
Excelと紙の「約4割」には、どれくらいの幅がありますか?
189人に聞いた数字なので、Excelと紙の39.8%の95%区間は33.0〜46.8%です。同じ聞き方で別の189人に聞き直せば、3割台前半から4割台後半のどこかに出てもおかしくありません。
区間は、割合と人数から出すWilsonの式で計算しました。発表元は区間を出していないので、計算は在庫てちょうの主宰によるものです。式は次の数行です。
def wilson(k, n, z=1.96):
p = k / n
d = 1 + z * z / n
c = (p + z * z / (2 * n)) / d
h = z * sqrt(p * (1 - p) / n + z * z / (4 * n * n)) / d
return c - h, c + h
wilson(75, 189) # → (0.330, 0.468)
同じ式で、Excelだけの23.9%は18.3〜30.4%、紙だけの15.9%は11.4〜21.8%です。わからないを除いた126人の59.5%は、50.8〜67.7%になります。
区間に入っているのは、たまたま選ばれた人による揺れだけです。どうやって189人を選んだか、ネットの調査に答える人の偏りがどれくらいかは、記事に書かれていません。そうした偏りは区間の外にあるので、区間は最小限の幅として読みます。
Excelで在庫を管理している人は、何に困っていますか?
Excel利用者45人のうち、42.2%(約19人)が「Excelを作った本人しかわからない」と答えました。「リアルタイムで更新できない」は35.6%(約16人)、「データ保存量に限界がある」は26.7%(約12人)です。
ただし、45人に聞いた割合なので幅が広く、42.2%の95%区間は29.0〜56.7%です。「4割強」というより、「3割弱から5割台半ばのどこか」と読むのが正確です。作った人に頼りきりの在庫表が多い、という傾向までは言えますが、順位を細かく比べるのは難しい数字です。
同じ設問で「同時編集できない」と答えた人は6.7%、約3人でした。
主宰の試算では、1人が1日10回・1回3分ずつ共有フォルダのExcelを開くと仮定しました。ほかの人と同時に開いてしまう確率は、入力する人が2人なら1回あたり6.1%、5人なら22.2%です。理由は調査に書かれていません。入力する人が1〜2人の現場なら、同時に開く場面そのものが少なく、困りごととして挙がりにくいはずです。
この調査の数字を使うとき、何に気をつければよいですか?
誰に・いつ・誰が聞いたかを、数字と一緒に書きます。この調査は、倉庫の在庫管理の担当者・経営者・役員に聞いた人の割合で、会社の割合ではありません。中小企業に限った調査でもなく、時点は2022年7月です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表元の立場 | 在庫・倉庫管理システム「W3 mimosa」を売る会社 |
| 時期と方法 | 2022年7月15〜25日、インターネット調査(リサピー) |
| 対象 | 倉庫の在庫管理の担当者・経営者・役員 |
| 人数 | Q1・Q4 189人、Q2 45人、Q5 175人、Q6 31人 |
| 書かれていないこと | 会社の規模・業種の内訳、回答者の選び方 |
設問が進むと、答える人は絞られます。Q5の「WMSを検討している」17.7%は、Q1でWMS以外と答えた175人のうちの割合で、人数は約31人です。Q6の31人と一致するので、人数への直し方が合っていることも確かめられます。
システムを売る会社の調査は、課題が大きく見える聞き方になりがちです。数字が誤りというわけではありません。Q4で「今の方法を変える必要がある」と答えた人は54.5%(約103人)でした。区間は47.4〜61.4%で、「半数に近い」と読むのが無理のない範囲です。
自社の在庫表は、何を数えれば判断できますか?
調査の割合より、自社の数字のほうが判断に役立ちます。数えるのは、在庫表に入力する人の数、品目の数、棚卸にかかった時間、前回の棚卸で帳簿と合わなかった品目の数の4つです。
入力する人が増えると、同時に開いてしまう回数が増えます。品目が増えると、紙に数えた数を打ち込む時間が延びます。主宰の試算では、1品目の転記に約7.46秒かかり、1,000品目なら約2時間です。帳簿と合わない品目の数え方は在庫の差異の原因で、Excelをやめる目安は在庫管理のExcel脱却で説明しています。
調査で「わからない」と答えた人が3人に1人いたように、自社の在庫の方法を言葉にしにくい会社は少なくありません。言葉にしにくいやり方でも、在庫表の列や棚卸の手順を順に見ていけば、どこで手間と差が生まれているかは分かります。
このサイトで相談するには?
たとえば、共有フォルダのExcelの在庫表を3人で更新していて、先に開いた人のせいで入力できない日があるなら、その様子から話し始められます。
今のExcelや紙の在庫表を、こちらでご覧に入れます。何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫で、準備は要りません。主宰が、御社の在庫表の使い方に合わせて進め方を考えます。無料で相談する
よくある質問
- 中小企業の4割がExcelや紙で在庫を管理している、と言ってよいですか?
- いいえ。倉庫の在庫管理の担当者・経営者・役員189人に聞いた人の割合で、会社の数でも中小企業に限った数字でもありません。
- 95%区間は、どうやって計算したのですか?
- 割合に人数をかけて人数に戻し、Wilson の式(z=1.96)で出しました。75人/189人なら33.0〜46.8%です。答える人の偏りは、この幅に入っていません。
- Excelの同時編集で困っている人は多いのですか?
- この調査では少数です。Excel利用者45人のうち「同時編集できない」は6.7%で、人数に直すと約3人でした。
- WMS(倉庫管理システム)を使っている人は、どれくらいですか?
- Q1では7.4%、約14人でした。Q5を聞いた175人は189人からWMS利用者を除いた数なので、人数で見ても14人と合います。


