見積書をメールで送ったら、保存は必要?電子帳簿保存法の一問一答を見積画面の項目に落とした

見積書をPDFにしてメールで送ったときは、送った側も電子取引のデータとして保存が要ります。国税庁の電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和6年6月)は、見積書を取引情報に含め、メールの添付ファイルも電子取引に当たるとしています(問2・問3)。見積帳場は問2・3・50〜52を見積画面の保存項目に落とし、再見積の版数で保存件数がどう増えるかも計算しました。月120件・平均2版なら年2,880件です。(2026年10月時点)
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要点
- 見積書をPDFでメール送付したら、受け取った側だけでなく送った側も電子取引のデータとして保存します(国税庁 一問一答 令和6年6月 問2・問3)。
- 保存しなくてよいのは、書き損じ・正式な見積書の前の粗々なもの・相手が一方的に送ってきたもの、と一問一答の問2は例を挙げています。
- 正式に送った再見積の版も保存の対象として数えると、月120件・平均2版で年2,880件、平均3版で年4,320件になります(見積帳場の計算、件数は架空)。
- 1枚に複数の金額がある見積は、課税期間の中で一貫した社内ルールならどの金額で検索できるようにしてもよく(問50)、単価だけの見積は空欄か0円にできます(問52)。
目次
見積書をメールで送ったら、電子帳簿保存法で保存は必要ですか?
必要です。見積書をPDFにしてメールで送れば、受け取った側だけでなく送った側も、その見積書を電子取引のデータとして保存します。
国税庁の電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和6年6月版)の問2は、取引情報に見積書を含めています。メールでの授受は添付ファイルを含めて電子取引に当たり、保存の範囲は紙の場合と変わりません。紙では「自己の作成したこれらの書類でその写し」も保存するので、送った見積書の控えも対象です。
問3は、メールの本文に取引情報があればそのメールを、添付ファイルならそのファイルを保存すると答えています。見積書をPDFで添付したなら、残すのはPDFです。本文に取引情報がなければ、メールは要りません(問5)。
見積書に関わる問と、見積画面で持つ項目を並べると次の表です。
| 一問一答 | 書かれていること | 見積画面に持たせるもの |
|---|---|---|
| 問2 | 見積書は取引情報。送った控えも保存 | 送った見積書のPDFを、送った時点のまま残す |
| 問2 | 書き損じ・粗々なもの・一方的に届いたものは保存不要 | 「下書き」と「送付済み」を分ける状態の欄 |
| 問3 | 添付ならファイルを保存 | 送ったファイルと見積番号のひも付け |
| 問50 | 複数の金額はどれで検索してもよい(社内で一貫) | 検索に使う金額のルールを1つ決めて固定 |
| 問51 | 金額は帳簿の税抜・税込に合わせるのが基本 | 税抜・税込の区分の欄 |
| 問52 | 単価だけなら空欄か0円 | 空欄で検索できる取引金額の欄 |
保存しなくてよい見積書は、どれですか?
一問一答の問2が挙げる例は3つです。1つ目は連絡ミスによる誤りや単純な書き損じがあるもの、2つ目は事業の検討段階で作った正式な見積書の前の粗々なものです。3つ目は、取引を希望する会社から一方的に送られてくる見積書です。判断は1通ずつです。
見積の現場に当てはめると、金額を打ち間違えてすぐ送り直した最初のPDFは、書き損じの例に近いと読めます。社内で回した下書きや、電話の前に作った概算のメモは、粗々なものに近いでしょう。営業の売り込みで一方的に届いた見積書も、問2の例に当たります。
逆に、問2の例に「受注にならなかった見積書」は入っていません。解説記事のなかには、契約に至らなければ保存は不要と書くものもあります。
私は、正式に送った見積書は受注の有無にかかわらず残す前提で仕組みを作ります。迷ったら残します。値引きの交渉で出し直した版のように境目に迷う見積書は、顧問の税理士に1度確かめます。答えを社内ルールに書いておけば、担当者ごとの判断がぶれません。
紙で渡した見積書は電子取引に当たりません。控えは紙のままです。データの保存が要るのは、メール・Webのフォーム・クラウドの共有など、データでやり取りした分です。
再見積で版が増えると、保存の件数はどれくらい増えますか?
版数に比例して増えます。正式に送った版をすべて数えると、1年の件数は「月の見積件数×1件あたりの平均の版数×12か月」です。
架空の例で計算しました。月120件は、導入例(イメージ)のめっき30名と同じ件数です。この会社では、1件1版なら年1,440件、平均2版なら年2,880件、平均3版なら年4,320件です。
月30件の会社でも、平均3版なら年1,080件になります。版数が倍なら件数も倍です。
件数が千を超えると、ファイル名だけで探すのは手間になります。版ごとに別のファイルとして残し、見積番号と版番号を検索の一覧に入れておけば、どの版が最後に送られたかもすぐ分かります。計算は、スクリプト(scripts/figs/quote_ebook_storage.py)で再現できます。自社の数字は、1か月分の送信メールから見積書の添付を数えると近い値が出ます。
金額が複数ある見積や単価だけの見積は、何で検索できるようにしますか?
1枚に複数の金額がある見積は、社内でルールを1つ決めれば、どの金額で検索できるようにしても構いません。一問一答の問50が挙げる例は「最もシンプルな条件の金額」「実際に発注された金額」「最も高い金額か低い金額」です。課税期間の途中でルールを変えないこと、税務調査でルールを説明できることが条件です。
ただし、選んだルールで検索の結果は変わります。例で確かめます。架空の見積で、1個6,592円・10個16,750円・100個118,300円を1枚に書いた見積を考えます。
「10万円以上」で範囲検索すると、見つかるのは、いちばん高い金額のルールのときだけです。最もシンプルな条件(1個)や、発注された10個のルールでは出てきません。
金額は帳簿の税抜・税込に合わせるのが基本で、見積書に書いた金額のままでもよいとされています(問51)。単価だけを決める見積のように金額がないデータは、取引金額を空欄か0円にできます(問52)。空欄にするなら、空欄であることで検索できるようにしておきます。
見積の仕組みに保存の機能を入れるなら、何を持たせますか?
送った見積書を書き換えられない形で残すことと、取引年月日・取引金額・取引先で検索できることの2つです。一問一答の問27は、データの真実性を確保するため、4つの方法のうち1つを求めています。タイムスタンプ、訂正削除の記録が残るシステム、事務処理規程などです。問42は、日付と金額の範囲指定と、2つ以上の項目を組み合わせた検索を求めています。
見積帳場で見積画面を作るときは、送付済みにした版をロックし、直すときは新しい版を作る形にします。古い版は消しません。問41は、発行したデータを変更されるおそれのないデータベースで保存することも認めています。問48によれば、自社開発のシステムで保存するならシステム概要書の備え付けも要ります。
専用の仕組みがなくても始められます。問44は、取引年月日・取引金額・取引先を入れたExcelの一覧表で検索の要件を満たす例を挙げています。「20210131_㈱霞商店_110000」のように、3項目を同じ順で入れたファイル名でも構いません。
基準期間の売上高が5,000万円以下なら、検索の要件は不要です。税務職員のダウンロードの求めに応じられることが条件です(問42・問45)。
税理士に確かめたい場面は2つあります。1つは、値引き交渉の版や送り直しを保存するかの線引きを社内ルールに書くときです。もう1つは問50の金額のルールを決めるときで、帳簿との照合の仕方まで含めて確かめます。
見積書の保存と検索を整えるには?
見積画面に、送付済みの版のロックや検索の一覧を持たせる仕組みづくりも、見積帳場の主宰が一緒に考えます(無料で相談する)。何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。準備は要りません。
よくある質問
- 紙に印刷して郵送した見積書も、データで保存しないといけませんか?
- いいえ。紙で渡した見積書は電子取引に当たらず、控えは紙のままで構いません。データの保存が要るのは、メールやWebなどデータでやり取りした見積書です。
- 受注にならなかった見積書も保存しますか?
- 一問一答の問2の保存不要の例に「受注にならなかったもの」は入っていません。正式に送った見積書は残すと考えておき、扱いは顧問の税理士に確かめてください。
- 見積書のPDFを印刷して紙で残せば足りますか?
- 足りません。データでやり取りした見積書はデータのまま保存します(問27)。要件を満たしてデータを残したうえで、紙を手元用に併せて残すことは禁止されていません。
- Excelの一覧表で検索の要件を満たせますか?
- はい。一問一答の問44は、取引年月日・取引金額・取引先を入れたExcelの一覧表で、範囲指定と2項目以上の組み合わせで絞り込めれば要件を満たす例を挙げています。
この数字はどう出したか
このページの実験と計算の数字は、実際のお客さまの取引ではなく、架空のデータや架空の入力例から主宰が出したものです。計算はPythonのコード(scripts/figsの再現コードと、画面の計算機と同じ式のsrc/lib/calc.ts)で組み、同じ入力なら同じ数字が出ます。
更新 ・ 事実の確認
出典
- 国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」令和6年6月(問2・問3・問5・問27・問41・問42・問44・問45・問48・問50・問51・問52)(2026年10月16日確認)
- 見積帳場「再見積の版数と保存件数」「複数金額の見積の取引金額ルール」の計算と図のスクリプト(scripts/figs/quote_ebook_storage.py)、件数・版数・金額はすべて架空、2026-10-16 実行(2026年10月16日確認)


