薬局の医薬品の譲受の記録は、何を何年残す?ロット番号・使用の期限・麻薬帳簿を条文の号で確かめた

薬局が医薬品を購入・譲受したときは、品名・数量・年月日・相手方などを記録として書面に書き、医療用医薬品(体外診断用を除く)ならロット番号と使用の期限も書いて、記載の日から3年保存します(医薬品医療機器等法施行規則第14条第1項・第4項)。麻薬小売業者は別に帳簿を備え、譲受・譲渡・事故届・廃棄の品名・数量・年月日を書き、最終の記載の日から2年保存します(麻薬及び向精神薬取締法第38条)。在庫てちょうの主宰が、条文の号と在庫アプリの項目を突き合わせました(2026年10月時点)。
全体の流れと費用は在庫管理のExcel脱却のページにまとめています。
要点
- 薬局が医薬品を仕入れたときは、品名・数量・年月日・相手方など8つの事項を書面に書き、記載の日から3年保存します。
- ロット番号と使用の期限は、医療用医薬品(体外診断用を除く)に限って要り、一般用医薬品では要りません。
- 麻薬帳簿は最終の記載の日から2年保存なので、帳簿を3年使い続けると1行目は5年残ります(主宰の計算)。
- 在庫アプリは入庫の記録1件で第14条の8事項のうち5つを埋められますが、麻薬帳簿は法の帳簿として別に備えます。
目次
薬局が医薬品を仕入れたとき、何を書面に残し、何年保存しますか?
薬局開設者が医薬品を購入・譲受したときは、施行規則第14条第1項の8つの事項を書面に書き、記載の日から3年保存します。ほかの薬局や病院・診療所などへ販売・授与したときも同じです。麻薬を扱う薬局(麻薬小売業者)は、これとは別に麻薬及び向精神薬取締法(麻向法)第38条の帳簿を備えます。
主宰がe-Gov法令検索で条文を開き、記録の種類ごとに並べたのが次の表です。保存期間の数え始めが、記録によって違う点に気をつけます。
| 記録 | 条文 | 書く事項 | 保存期間 |
|---|---|---|---|
| 購入・譲受、薬局等への販売・授与 | 施行規則第14条第1項 | 品名・ロット番号・使用の期限・数量・年月日・相手方・確認した資料・取引担当者の資料 | 記載の日から3年 |
| 薬局医薬品・要指導医薬品・第一類医薬品の一般への販売 | 同第3項 | 品名・数量・日時・薬剤師の氏名・理解の確認の結果 | 記載の日から2年 |
| 同じ事業者の店の間の移転 | 同第285条 | 品名・ロット番号・使用の期限・数量・移転元と移転先・年月日 | 記載の日から3年 |
| 麻薬小売業者の帳簿 | 麻向法第38条 | 譲受・譲渡・事故届・廃棄の品名・数量・年月日 | 最終の記載の日から2年 |
第二類・第三類医薬品を販売したときの記録は、第14条第5項で「努めなければならない」とされた努力義務です。
ロット番号と使用の期限は、どの医薬品で書く必要がありますか?
ロット番号(第2号)と使用の期限(第3号)が要るのは、医療用医薬品のうち体外診断用の医薬品を除いたものだけです。一般用医薬品と体外診断用の医薬品では、2つを書かなくても第14条の義務は果たせます。ロットを作らない医薬品は、ロット番号の代わりに製造番号を書きます。
さいたま市の案内によると、この2つの事項は2018年7月31日から求められています。ほかの事項にも例外があり、常時取引関係にある相手は、許可証の写しなどで住所を確かめる手順(第2項)が要りません。その場合は第6号の氏名・名称以外を省いてよく、第7号の資料も要りません。
第14条は薬局開設者の義務で、診療所はその対象に入りません。とはいえ、仕入れた医療用医薬品のロットと期限を同じ形で残しておけば、回収の連絡が来たときに該当する在庫をすぐ探せます。
麻薬帳簿には何を書き、いつまで残しますか?
麻薬小売業者は帳簿に4つの事項を書き、最終の記載の日から2年保存します(麻向法第38条)。第1号は譲り受けた麻薬、第2号は譲り渡した麻薬、第4号は廃棄した麻薬です。第3号は、事故(滅失・盗取・所在不明など)で届け出た麻薬です。第1・2・4号は品名・数量・年月日、第3号は品名・数量を書きます。
当てはまらない場合が2つあります。譲り渡しの記載(第2号)では、コデイン、ジヒドロコデイン、エチルモルヒネとこれらの塩類が除かれます。また、家庭麻薬は帳簿の対象になりません。千分中十分以下のコデイン・ジヒドロコデインを含む物で、別表第一第78号イで麻薬から外れるためです。
診療所で麻薬を扱う場合は、第39条の麻薬管理者(いなければ麻薬施用者)の帳簿になります。この帳簿は閉じたら開設者に引き渡し、開設者が最終の記載の日から2年保存します。
数え始めの違いを計算すると差がはっきりします。2026年4月1日から使い始めた麻薬帳簿を1年で閉じれば、1行目は2029年3月31日まで残します。同じ帳簿を3年使うと、1行目は2031年3月31日まで、5年残すことになります。帳簿の1行目の保存年数は「帳簿を使う年数+2年」です。
式と前提はこの節に書いたとおりで、乱数は使っていません。同じ前提で計算すれば、同じ値になります。初日を数えるかで1日ずれるため、捨てる日は余裕をもって決めます。
在庫アプリの入力項目は、第14条のどの号に当たりますか?
入庫のときに箱のバーコードを読み取り、ロットと期限を確かめて記録するとします。それだけで、第14条第1項の8事項のうち5つが入庫1件の操作で埋まります。残る3つは仕入先の登録と、確認した資料の保管で受け持ちます。主宰が在庫アプリの項目を条文の号に対応させたのが次の表です。
| 第14条第1項 | 在庫アプリの項目 | 入れ方 |
|---|---|---|
| 第1号 品名 | 品目(医薬品の登録) | バーコードの読み取りで品目を選ぶ |
| 第2号 ロット番号 | ロット | 読み取るか、箱の表示を見て入れる |
| 第3号 使用の期限 | 期限 | 同上。期限の近い順の出庫にも使う |
| 第4号 数量 | 数量 | 入れる |
| 第5号 年月日 | 記録の日時 | 記録したときに自動で入る |
| 第6号 相手方 | 仕入先 | 仕入先の登録から選ぶ |
| 第7号・第8号 確認した資料 | 仕入先に付けた資料 | 初回に写しを保管する(常時取引関係なら第7号は不要) |
帳票は、記録を年月日・仕入先ごとに並べて出せば、保存する書面として印刷できます。
医療用医薬品の箱のバーコードから、ロットと期限を読み取れますか?
販売包装単位(PTPシートを10枚入れた箱など)なら、多くは読み取れます。厚生労働省の「医療用医薬品へのバーコード表示の実施要項」は2016年8月30日に改正されました。
販売包装単位と元梱包装単位では、商品コードに加えて有効期限と製造番号(または製造記号)の表示が必須になっています。原則として2021年4月以降に製造販売業者から出荷される物が対象です(特段の事情がある物は2023年4月以降)。シンボルはGS1データバーかコード128です。
バーコードの中身は、GS1のアプリケーション識別子で区切られています。(01)が商品コード、(17)が有効期限(年月日の6桁)、(10)がロット・製造番号です。在庫アプリは1回の読み取りで3つを分け、第1号・第2号・第3号の欄に入れられます。
読めない場合が3つあります。
- 調剤包装単位(PTPシート・バイアルなど)の内用薬・外用薬・注射薬は、有効期限と製造番号の表示が任意です。箱を開けてシートで数えるときは、商品コードしか読めないことがあります。
- 2021年3月以前に出荷された在庫には、変動情報の入っていない古いバーコードが残っていることがあります。
- 一般用医薬品は実施要項の対象外です。JANコードで品目は選べますが、ロットと期限は箱の表示を見て入れます。
手で打つ分だけ誤記も起きるので、読めない箱は期限の欄を日付の選択にし、ロットは打ったあとに箱と見比べる手順にします。
スマホのカメラで読むか、ハンディの読み取り機を使うかは、読み取る量で決めます。GS1データバーは横に長く細いシンボルで、小さな箱では印字も小さくなります。入庫の箱が毎日多い薬局や、狭い棚の前で片手しか使えない場面には、ハンディの読み取り機を勧めています。スマホで足りるかは、試作のときに実物の箱を何種類か読んで確かめます。
紙やExcelの記録から在庫アプリへ移すとき、何に気をつけますか?
医薬品の譲受の記録を在庫アプリへ移しても、紙やExcelの記録は記載の日から3年たつまで、元の形のまま保存します。移すのは今の在庫とロット・期限で、過去の記録はアプリに入れなくても構いません。
麻薬は在庫アプリの数量とは別に、法の帳簿として備えます。アプリの麻薬の記録は、帳簿と数量を照らす補助に留めます。主宰が仕組みを作るときは、次の3つを先に確かめていただくようお願いしています。
- 麻薬帳簿を電子の記録で備えてよいか、その様式と閉じ方を所轄の都道府県の薬務の担当に聞く
- 第14条の書面を電子の記録で残すとき、印刷して出せる形でよいかを所轄の保健所か都道府県の薬務の担当に聞く
- 第一類医薬品の販売の記録(2年保存)をレジの仕組みで残すか、在庫アプリで残すかを決める
在庫てちょうが受け持つのは、記録の仕組みの設計と作り込みです。法令の解釈そのものは、所管の窓口の答えに合わせて仕組みを直します。
このサイトで相談するには?
たとえば、納品のときに箱のロット番号と使用の期限をスマホで記録し、あとから品名で引ける形を考えられます。薬局に限らず、食品や化学品を扱う製造・卸の会社なら、同じ形で入荷のロットと期限を残し、出荷後に問い合わせがあった箱を引けます。記録の様式が法令に合うかの判断は、御社の薬剤師か所轄の窓口に確かめてください。
譲受の記録や麻薬帳簿を在庫アプリでどこまで受け持てるかは、在庫てちょうの相談で一緒に整理できます(無料で相談する)。何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。準備は要りません。
よくある質問
- 毎月同じ卸から仕入れるときも、相手方の住所や電話番号を毎回書きますか?
- いいえ。常時取引関係にある相手は第14条第2項ただし書で資料による確認が要らず、その場合は第6号の氏名・名称以外の記載を省略できます。
- 一般用医薬品の仕入れでも、ロット番号を書いてよいですか?
- はい。第14条でロット番号と使用の期限が要るのは医療用医薬品(体外診断用を除く)だけですが、ほかの医薬品で書いても差し支えありません。
- 同じ会社の別の店へ医薬品を回したときも、記録は要りますか?
- はい。2つ以上の許可を持つ事業者が店の間で移したときは、移す前と後の店でそれぞれ品名・数量・年月日などを書き、3年保存します(第285条)。
- 麻薬帳簿は、年度ごとに新しくした方がよいのですか?
- 麻向法第38条は、帳簿を閉じる時期を書いていません。保存は最終の記載の日から2年なので、長く使うほど古い行が残ります。様式と閉じ方は都道府県の手引きで確かめます。
出典
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号)第14条・第285条(e-Gov 法令検索)(2026年10月16日確認)
- 厚生労働省「医療用医薬品へのバーコード表示の実施要項の改正について」医薬品・医療機器等安全性情報 No.337(2016年10月)(2026年10月16日確認)
- GS1「GS1 Application Identifiers」(AI 01・10・17)(2026年10月16日確認)
- 麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第2条・第33条・第35条・第38条・第39条・別表第一(e-Gov 法令検索)(2026年10月16日確認)
- さいたま市「医薬品の購入等の記録等について」(2023-11-29 更新。施行 2018-01-31、ロット番号・使用の期限は 2018-07-31 から)(2026年10月16日確認)
- 在庫てちょう 保存の期限の計算と図。架空の日付、乱数なし、2026-10-16 計算(2026年10月16日確認)


