ChatGPTなど生成AIで見積書は作れる?計算を任せると間違える所を架空の依頼50件で数えた

文面や項目の拾い出しは生成AIに任せられますが、金額の計算は単価表の式に任せるのが確実です。架空の見積依頼50件で、計算まで生成AIに直接任せたところ、金額が式の答えと同じだったのは、大きいモデルで50件(100%)、小型モデルで44件(88%)と41件(82%)でした(2回流した結果)。小型モデルの誤りはどれも合計の1%未満のずれで、50個以上の依頼にだけ出ました。目で見ても気づけない大きさです(2026年10月時点)。
全体の流れと費用は製造業の見積の自動化のページにまとめています。
要点
- 見積書づくりでAIに任せやすいのは、依頼文から数字を読み取る所と文面です。金額の計算は単価表の式に任せると、答えが毎回同じになり、あとから検算できます。
- 架空の見積依頼50件で計算まで直接任せると、金額が正解と同じだったのは、大きいモデルで50件、小型モデルで44件(88%)と41件(82%)でした。
- 小型モデルの誤りはすべて合計の1%未満のずれ(端数・丸め)で、材料単価の5%引きが入る50個以上の依頼だけに出ました。桁・段取り按分・ロット境目の取り違えは0件でした。
- 同じ依頼を2回流すと、小型モデルは50件のうち10件で答えが変わりました。読み取りだけAIに任せた場合は、3回とも50件すべてを正しく読み取れました。
目次
生成AIに見積書の金額まで計算させると、どれくらい合いますか?
架空の見積依頼50件で金額まで直接計算させると、正解と同じ金額だったのは、大きいモデルで50件、小型モデルで44件と41件でした。正解は、単価表の式で出した金額です。数字の読み取りだけをAIに任せて計算を式で行うと、読み取りが3回とも50件すべて合い、金額も正解と同じになりました。
| 方法 | 正解と同じ金額 | 割合 |
|---|---|---|
| 大きいモデルに計算まで任せる | 50件 | 100% |
| 小型モデルに計算まで任せる(1回目) | 44件 | 88% |
| 小型モデルに計算まで任せる(2回目) | 41件 | 82% |
| 読み取りだけAIに任せ、計算は式で行う | 50件(3回とも) | 100% |
金額が合うかどうかは、1円まで同じかで数えました。1円でも違えば不一致です。見積書の金額は、1円違えば請求書とも合わなくなるからです。
どんな条件で測りましたか?
計算の決まりを8つ書いたメモと、見積依頼の文を渡し、見積合計の金額を答えさせました。依頼は50件で、材質、1個の重さ、加工時間、段取り時間、数量、外注、時間単価、管理費率、利益率がそれぞれ違います。材質は鉄・ステンレス・アルミの3種です。数字はすべて架空です。
決まりには、現場の見積に出てくる引っかかりを入れました。段取り時間はロットで割ります。50個以上のときは材料単価を5%引きます。
利益率は粗利率なので、原価を(1−利益率)で割ります。材料費・加工費・外注費・管理費は1円未満を切り捨て、販売単価は10円未満を切り上げます。
数量は49個・50個・51個、99個・100個・101個を多めにして、境目の依頼を26件にしました。依頼の文は、重さを「kg」か「g」で、時間を「分」か「時間と分」で書くなど、書き方を少し変えています。
測ったのは2026年10月17日です。文章を作る汎用の生成AIのうち、同じ提供元の大きいモデルと小型モデルを使いました。ChatGPTそのものは測っていません。
計算機やコードの実行は使わせず、10件ずつ5回に分けて渡し、「途中は書かず、JSONの配列だけ」で答えさせました。再試行はしていません。小型モデルだけは、同じ依頼を2回流しました。依頼の作り方と採点のコードは scripts/figs/ai_quote_calc_check.py にあり、答えの原文も残してあります。
誤りは、どんな種類が何件ありましたか?
誤りの種類は、1%未満のずれ(端数・丸め)だけでした。小型モデルで1回目が6件、2回目が9件です。桁の取り違えは0件でした。段取りのロットでの割り忘れ、50個以上の5%引きの逆当て、利益率を上乗せ率として掛ける誤りも、0件です。
| 誤りの種類 | 大きいモデル | 小型(1回目) | 小型(2回目) |
|---|---|---|---|
| 桁(10倍・10分の1など) | 0件 | 0件 | 0件 |
| 段取り按分(ロットで割らない) | 0件 | 0件 | 0件 |
| ロット境目(5%引きを逆に当てる) | 0件 | 0件 | 0件 |
| 利益率の掛け方(上乗せ率で計算) | 0件 | 0件 | 0件 |
| 端数・丸めのずれ(合計の1%未満) | 0件 | 6件 | 9件 |
| そのほか | 0件 | 0件 | 0件 |
種類は、考えられる間違いをあらかじめ式にしておき、AIの答えがどれと一致するかで決めました。どれにも当たらず、正解との差が1%未満なら端数・丸めとしています。ずれた原因そのものは、AIの考える過程を見ていないので特定していません。
誤りは50個以上の依頼33件にだけ出て、49個以下の17件では1回目と2回目の両方で0件でした。50個以上は材料単価の引きが入り、手順が1つ増えます。ずれの大きさは、1回目が−0.29%から+0.24%、2回目が−0.61%から+0.41%でした。金額にすると、255円から5,000円の差です。
「だいたい合っている」誤りが、なぜ困るのですか?
ずれが小さいので、見積書を見ても気づけないからです。桁を間違えれば誰でも気づきますが、5,000円の差は、合計が数百万円の見積書にそのまま載ります。式の答えと突き合わせる手順がなければ、見つかりません。
もう1つは、答えが毎回同じとは限らないことです。小型モデルに同じ依頼を2回流すと、50件のうち10件で答えが変わりました。2回とも間違えたのは3件だけで、1回目だけ、2回目だけ間違えた件が多くあります。再現できない計算は、お客様に聞かれても根拠を示せません。
大きいモデルは50件とも合いましたが、この結果は、8つの決まりと整った依頼文の範囲のものです。項目が増えたり、PDFの表から読ませたりすると、結果は変わりえます。
生成AIには、見積書づくりのどこを任せられますか?
依頼文から数字を読み取る所と、見積書の文面の下書きです。依頼文から材質・重さ・時間・数量・外注・率を取り出させました。どちらのモデルでも、50件の全項目を3回とも正しく読み取りました。重さが「kg」か「g」か、時間が「1時間20分」かといった書き方の違いは、分に直して読み取れました。
文面の良し悪しは、金額のように数えられないので、今回は測っていません。文面にも金額を書くときは、式で出した数字をAIに渡して書かせます。AIに数字を作らせることはしません。
読み取った数字は、表の形で人が一目で確かめられるようにしておくと安心です。依頼文と表を並べて見れば、読み違いはすぐに見つかります。今回の50件では読み違いが0件でしたが、手書きのメモのように読みにくい依頼では、この確認が欠かせません。
計算を式に任せるには、何を用意しますか?
単価表と計算の決まりです。材料の円/kg、時間単価、段取り時間、管理費率、利益率を表にして、式の形にします。式なら、同じ依頼から必ず同じ金額が出て、どの行が金額を動かしたかも示せます。
式の組み立ては見積単価の計算方法の記事に、時間単価の出し方はアワーレートの計算機にあります。
AIで単価そのものを予測する場合は、積み上げの金額と並べて、差の大きい件だけ人が見ます。数字は過去の見積から単価を予測した記事にあります。単価表を実際の差から直す手順は、見積と実際の差の記事にあります。全体の進め方は見積作成の自動化の解説にまとめました。
自社の見積で、AIと式の分け方を決めるには?
見積帳場では、依頼文から項目を読み取る所にAIを使い、金額は単価表の式で出す形を組めます。
何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。準備は要りません。無料で相談するのページで受けています。
よくある質問
- ChatGPTで見積書は作れますか?
- 文面や項目の下書きは作れます。金額は、この実験で小型モデルが50件中41〜44件しか一致しなかったので、単価表の式で出した数字を使います。この実験はChatGPTそのものではなく、同じ種類の汎用の生成AI2つで測りました。
- 生成AIは、見積の計算を間違えることがありますか?
- あります。小型モデルでは、50件のうち6件(1回目)と9件(2回目)で合計がずれました。ずれは0.6%以内でしたが、検算しないと見つかりません。大きいモデルは50件とも一致しました。
- 見積書の計算を、生成AIにやらせない方がよいのですか?
- やらせてもよいですが、答えを式で検算する前提にします。毎回同じ答えを出し、あとから根拠を見せられるのは、式のほうです。
- 生成AIには、見積のどこを任せればよいですか?
- メールやFAXの依頼文から、材質・重さ・数量などを表の項目に読み取る作業です。この実験では、50件すべてを3回とも正しく読み取れました。
この数字はどう出したか
このページの実験と計算の数字は、実際のお客さまの取引ではなく、架空のデータや架空の入力例から主宰が出したものです。計算はPythonのコード(scripts/figsの再現コードと、画面の計算機と同じ式のsrc/lib/calc.ts)で組み、同じ入力なら同じ数字が出ます。
更新 ・ 事実の確認
出典
- 見積帳場の実験(2026年10月17日)。架空の見積依頼50件(材料・加工時間・段取り・ロット・外注・管理費・利益率)を、計算まで生成AIに任せる方法と、読み取りだけ任せて計算は単価表の式で行う方法で処理し、正解(式の答え)との一致を数えた。依頼・答えの原文・採点は scripts/figs/ai_quote_calc_check.py と scripts/figs/out/(2026年10月17日確認)


