見積単価の計算方法は?材料・加工・段取り・管理費を積み上げる式と例

製造業の見積単価の計算方法は、材料費に「人と設備のアワーレート×(1個の加工時間+段取り時間÷ロット)」と外注費を足し、管理費率と利益率を掛ける積み上げです。計算機の入力例と同じ架空の条件(人2,713円/時+設備938円/時、材料400円、1個12分、段取り90分、10個)では1,678円/個になります。人のアワーレートには、会社負担の社会保険料15.31%(子ども・子育て拠出金を含む)を入れます(2026年10月時点)。
全体の流れと費用は製造業の見積の自動化のページにまとめています。
要点
- 見積単価は、材料費+アワーレート×(加工時間+段取り÷ロット)+外注費に、管理費と利益を掛けて出します。
- 架空の例(人2,713円/時・設備938円/時・ロット10個)では1,678円/個で、うち段取りの按分が約33%です。
- 会社負担の社会保険料は、厚生年金9.15%・健康保険4.95%・雇用保険0.85%・子ども・子育て拠出金0.36%の計15.31%です(2026年10月時点)。
- 入力を1つずつ±20%動かすと、就業時間と稼働率の影響が最も大きく、20%減らすと単価は14.2%上がりました。
目次
見積単価は、どんな式で計算しますか?
製造業の見積単価は、材料費・加工費・段取りの按分・外注費を足し、最後に管理費率と利益率を掛けて出します。経験の値を5つの段に分けて式にすると、誰が計算しても同じ単価になります。見積の計算ルール全体の作り方は、見積の自動化(製造業)にまとめています。
式は、見積単価(円/個)= {材料費 ×(1+ロス率)+(人+設備のアワーレート)×(1個の加工時間+段取り時間÷ロット)+ 外注費}×(1+管理費率)×(1+利益率)です。材料費は1個あたりの値で、切断や加工で出るロス(歩留まり)は計算機の「材料のロス率」の欄で掛けます(架空の例は0%)。治具・金型の償却、検査費、運賃は外注費か材料費に含めて入れます。架空の例で5つの段を順に計算すると、管理費と利益を乗せる前の単価は1,678円/個です。
| 段 | 計算すること | 架空の例 |
|---|---|---|
| 1 | 人のアワーレート=給与・賞与×(1+会社負担の率)÷(就業時間×稼働率) | 400万円×1.1531÷(2,000時間×85%)=2,713円/時 |
| 2 | 設備のアワーレート=(償却費+保守・電気など)÷設備の稼働時間 | (120万円+30万円)÷1,600時間=938円/時 |
| 3 | 1個あたりの時間=1個の加工時間+段取り時間÷ロット | 12分+90分÷10個=21分 |
| 4 | 費用=材料費+(人+設備)×1個あたりの時間+外注費 | 400円+3,651円/時×0.35時間+0円=1,678円 |
| 5 | 見積単価=費用×(1+管理費率)×(1+利益率) | 管理費・利益が0%なら1,678円/個 |
内訳は、材料費400円、加工730円、段取りの按分548円です。入力例は見積帳場のアワーレートの計算機と同じ架空の数字です。
人と設備のアワーレートは、どう出しますか?
人のアワーレートは、年間の給与・賞与に会社負担の社会保険料を足し、作業に使える時間(年間の就業時間×稼働率)で割って出します。設備のアワーレートは、年間の償却費と保守・電気などの費用を、設備の年間稼働時間で割ります。
会社負担の率は、2026年10月時点の一次資料の料率から15.31%と計算しました。日本年金機構によると厚生年金保険料率は18.3%で、事業主と被保険者が半分ずつ負担するので9.15%です。協会けんぽの健康保険料率は令和8年3月分から全国平均9.90%で、半分の4.95%を足します。雇用保険料率の一般の事業の事業主負担は、令和8年4月1日〜令和9年3月31日は8.5/1,000(0.85%)です。さらに、事業主だけが払う子ども・子育て拠出金が、令和8年度は1,000分の3.6(0.36%)です。
15.31%は、一般の事業で40歳未満の社員、協会けんぽの全国平均で計算した値です。労災保険料、介護保険料(40〜64歳)は入っていません。令和8年4月分から始まった子ども・子育て支援金(支援金率0.23%、労使折半で事業主は0.115%)も含めていません。入れるなら0.115%を足します。労災保険料率は業種で違い、令和8年度は金融業などの0.25%から、金属製品製造業0.9%、めっき業0.65%などです。健康保険料率は都道府県で違い、たとえば大阪支部は10.13%です。雇用保険料率は2027年3月31日までの率なので、4月に入れ直します。
会社負担を入れずに計算すると、架空の例の人のアワーレートは2,353円/時になります。単価は1,552円/個で、126円(7.5%)安く出ます。アワーレートの用語はアワーレートとはで説明しています。
段取り時間は、1個の見積単価にどう入れますか?
段取り時間は、1回の段取りにかかる時間をロットの個数で割り、1個の加工時間に足して入れます。同じ品物でも、ロットが小さいほど1個あたりの段取りが重くなり、単価が上がります。
同じ架空の例でも、ロット1個と100個では単価が5倍以上違います。数量の段ごとの単価表と、その作り方は試作と量産の単価の記事にまとめました。
ロット10個のとき、段取りの按分は548円で、単価の約33%を占めます。段取りを入れずに「加工時間×アワーレート」だけで出すと、小ロットの注文ほど費用を下回る単価になります。反対に、量産の見積に試作と同じ1個分の段取りを残すと、高く出すぎます。
段取りの間に設備を別の仕事に使える工程なら、段取りには人のアワーレートだけを掛けます。工程ごとに決めて単価表に書いておくと、担当者が変わっても金額がそろいます。
どの入力を間違えると、見積単価がいちばん動きますか?
架空の例で入力を1つずつ±20%動かすと、見積単価がいちばん動いたのは年間の就業時間と稼働率でした。どちらも20%減らすと単価は14.2%上がって1,915円/個に、20%増やすと9.4%下がって1,519円/個になりました。
次に大きいのは給与・賞与の±11.3%、1個の加工時間の±8.7%です。ロットは20%減らすと8.2%上がり、20%増やすと5.4%下がりました。会社負担の率は±20%動かしても単価は±1.5%で、10個の入力の中でいちばん小さい動きでした。
就業時間と稼働率は割り算の分母にあるため、減らしたときの上がり方が、増やしたときの下がり方より大きくなります。稼働率を100%のまま置くと、段取りや手待ちで作業に使えない時間の分まで単価が安く出ます。見積帳場では、稼働率と1個の加工時間を日報などの実際の時間で確かめてから、単価表を作ります。
計算は scripts/figs/unit_price_buildup.py で再現でき、計算機と同じ式を使っています。入力を1つずつ動かしただけで、2つが同時にずれたときの動きは見ていません。稼働率の+20%は102%で、実際には100%が上限です。
管理費と利益は、見積単価のどこで掛けますか?
管理費率と利益率は、材料費・加工費・外注費を足した費用の合計に、最後に掛けます。架空の例の1,678円/個に管理費10%と利益10%を乗せると、1,678円×1.1×1.1で2,030円/個です。
管理費は、営業や事務の人件費、事務所の家賃のように、品物ごとの時間で割り振れない費用です。工場の電気代や間接の人件費をアワーレートに入れたなら、管理費率には入れません。同じ費用を二重に数えないよう、どちらに入れたかを書いておきます。
外注費(めっき・熱処理など)は、外注先の見積の金額を費用に足します。外注費にも管理費率と利益率を掛けるかどうかは会社ごとに違うので、決めた内容を計算ルールに残します。値引き、特急料金、材料の時価の読みは式に入れず、出た単価を見て人が決めます。利益率の欄に粗利率を入れると単価が下がる点は掛け率と粗利率の違いに、重量・面積・個数の3つの出し方を比べた例はめっきの見積の単価にあります。
自社の見積単価を積み上げるには?
見積帳場では、社長やベテランの値決めを計算ルールと単価表に書き出し、誰が入れても同じ単価と根拠が出る見積の画面を作ります。
何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。準備は要りません。ご連絡は、無料で相談するのページから受けています。
よくある質問
- 見積単価の計算に、労災保険料は入れますか?
- 入れます。労災保険料率は業種ごとに違い、令和8年度は金融業などの0.25%から、金属製品製造業0.9%・めっき業0.65%などです。会社負担の率15.31%には含めていないので、計算機の「労災保険料率など」の欄に自社の率を入れてください。
- 40歳以上の社員は、会社負担の率が変わりますか?
- はい。40〜64歳は介護保険料率1.62%(令和8年3月分から)がかかり、その半分の0.81%を足して16.12%になります。
- 健康保険組合に入っている場合は、どうしますか?
- 協会けんぽの全国平均9.90%の代わりに、加入している健康保険組合の料率のうち事業主が負担する分を入れます。
- 管理費率と利益率は、何%で置けばよいですか?
- 決まった値はありません。管理費率は前期の決算の販売費・一般管理費から、利益率は会社の目標から置き、年1回見直します。
この数字はどう出したか
このページの実験と計算の数字は、実際のお客さまの取引ではなく、架空のデータや架空の入力例から主宰が出したものです。計算はPythonのコード(scripts/figsの再現コードと、画面の計算機と同じ式のsrc/lib/calc.ts)で組み、同じ入力なら同じ数字が出ます。
更新 ・ 事実の確認
出典
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」(保険料率18.3%で固定、事業主と被保険者が半分ずつ負担。2026年9月30日更新)(2026年10月16日確認)
- 全国健康保険協会 大阪支部「協会けんぽの保険料額表・保険料率の推移」(令和8年3月分から全国平均9.90%、大阪支部10.13%、介護保険料率1.62%)(2026年10月16日確認)
- 厚生労働省 山形労働局「令和8年度の雇用保険料率について」(一般の事業 事業主負担8.5/1,000、令和8年4月1日〜令和9年3月31日)(2026年10月16日確認)
- 日本年金機構「保険料額表(令和2年9月分〜)」(令和8年度の子ども・子育て拠出金率1,000分の3.6。事業主だけが負担)(2026年10月16日確認)
- 全国健康保険協会 広島支部「令和8年度の保険料率」(子ども・子育て支援金率0.23%、令和8年4月分から、労使折半)(2026年10月16日確認)
- 群馬労働局「令和8年度の労災保険率について」(令和7年度と同率。金属製品製造業9/1,000、めっき業6.5/1,000、金融業・保険業・不動産業2.5/1,000)(2026年10月16日確認)
- 見積帳場の計算(2026年10月16日、架空の入力例。scripts/figs/unit_price_buildup.py、計算機と同じ式)(2026年10月16日確認)


