中小企業のAI導入支援|カスハラ対応の記録と報告の仕組みづくりから

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コラム法律・制度

東京都のカスハラ条例と法改正の違いは?対照表と奨励金の期限

東京都のカスハラ条例と国の法改正の違いは、義務の強さです。条例(2025年4月1日施行)は罰則がなく、事業者の措置は努力義務です。改正労働施策総合推進法(2026年10月1日施行)は措置義務で、勧告に従わないと公表されることがあります。都の奨励金40万円(常時雇用300人以下)の第2回は10月23日〜11月6日の事前エントリーで5,000件です。カスハラ報告ラインの主宰が原文から対照表と年表を作りました(2026年10月時点)。

全体の流れと費用はカスハラ対策の義務化ガイドのページにまとめています。

要点

  • 東京都の条例は罰則がなく事業者の措置は努力義務、国の改正法は2026年10月1日から措置義務です。
  • 法の違反で勧告に従わないと公表されることがあり、報告をしない・虚偽の報告は20万円以下の過料です。
  • 都の奨励金40万円の第2回は、10月23日10時〜11月6日17時の事前エントリーで5,000件、先着順ではありません。
  • 取組の期限は11月6日で、10月16日から21日、平日14日しか残っていません(計算値)。
目次
  1. 東京都のカスハラ条例と改正法は、何が違うのですか?
  2. 都内の会社は、条例と法律のどちらに合わせればよいのですか?
  3. 東京都の奨励金40万円の要件
  4. 奨励金の第2回の日程と締め切り
  5. 条例と法律の対応で、まず確かめること
  6. このサイトで相談するには?
  7. よくある質問

この記事は、条文・指針・決定文などの原文を読んで整理したものです。社会保険労務士・弁護士の確認は受けていないため、個別の事案の判断は専門家に確かめてください。

東京都のカスハラ条例と改正法は、何が違うのですか?

いちばん大きな違いは義務の強さです。東京都の条例は事業者の措置を努力義務とし、罰則がありません。国の改正法は事業主に措置を義務づけ、違反して勧告に従わないと公表されることがあります。

都の条例Q&A(2025年3月28日)、e-Govの法令本文、厚生労働省の指針を読み合わせ、6つの観点で並べました。都内の会社にとって、守る水準を決めるのは法のほうです。

観点 東京都の条例 国の改正法
施行 2025年4月1日 2026年10月1日(令和7年法律第63号)
誰に向けた決まりか 第4条で「何人も」カスハラを禁止。顧客の側にも向く 第33条で事業主に措置を求める
事業者の義務の強さ 第14条の措置は努力義務 第33条第1項の措置義務
守らないとき 罰則なし。行為によっては刑法等で処罰されうる 助言・指導・勧告、従わなければ公表(第42条)。報告をしない・虚偽は20万円以下の過料(第45条・第51条)
定義 顧客等から就業者への著しい迷惑行為で、就業環境を害するもの(第2条第5号) 社会通念上許容される範囲を超えた言動で、就業環境が害されるもの(指針2⑴の3要素)
求める文書 手引(マニュアル)の作成を第14条に書く 指針4⑴〜⑸の措置10項目。マニュアルという名前の文書は項目にない

定義の言葉は違いますが、正当な苦情を含めない点は同じです。指針は範囲内の申入れを「正当な申入れ」とし、条例も第5条で、顧客等の権利を不当に侵害しないよう求めています。社内の記録の分類を指針の3要素と類型で1本にそろえれば、分類を2つ持つ必要はありません。類型の一覧はカスタマーハラスメントの用語の解説で読めます。

都内の会社は、条例と法律のどちらに合わせればよいのですか?

法律の措置義務に合わせ、そのうえで条例が求める手引を作るのが筋です。都内で人を雇う会社には両方がかかり、求める水準は法のほうが高いからです。

法第33条第1項は、2026年10月1日から、相談の体制づくりや抑止の措置を事業主に義務づけました。中身は厚生労働省の指針4⑴〜⑸の10項目です。方針の周知、相談窓口、事実関係の確認、再発防止、プライバシーの保護などが並びます。項目ごとの中身は措置10項目の表にまとめています。

条例第14条は、体制の整備、カスハラを受けた就業者への配慮、手引の作成などを努力義務としています。都のQ&Aは、第14条に罰則規定はないとしたうえで、マニュアルの作成などを速やかに進めるよう求めています。

私が仕組みを作るときは、マニュアルの章を国の指針の番号(4⑴イ〜4⑸ロ)に合わせ、条例に触れる節を足します。1つの文書で、法の措置の説明と都の手引を兼ねやすくなるからです。ただし、措置を満たしたかを決めるのは御社と専門家です。

東京都の奨励金40万円の要件

対象は都内の常時雇用300人以下の中小企業等です。決められた取組を2026年11月6日までに終えると、40万円を受け取れる可能性があります。審査があるので、受け取れる前提で費用を組まないでください。

東京しごと財団の特設サイトに載る支給要件は、3つに分かれます。マニュアルの作成と社内への周知、基本方針の社内外への周知、取組1〜3のどれか1つです。マニュアルは募集要項の必須項目をすべて含み、「条例」に触れる必要があります。章立てだけのものは認められません。

東京都の奨励金で求められる要件4つ。どれも2026年11月6日までに終える2025年4月1日〜2026年11月6日に終えること1マニュアルを作成・改定し、社内に周知募集要項の必須項目をすべて含み、条例に触れる2基本方針を社内と社外に周知店頭や自社HPの掲示など。周知日が分かる形で3取組1〜3のいずれか1つ録音・録画/AIを活用したシステム等/外部人材4取組1・2は購入か6か月以上の契約領収書で示す(請求書は不可)、運用ルールも作る事前エントリーは2026年10月23日10時〜11月6日17時、先着順ではない(5,000件を超えたら抽選)出典:東京しごと財団 奨励金特設サイトの支給要件(2026-10-16確認)
図1 奨励金の要件を4つに分けたもの。取組1・2は、新たな購入か6か月以上の契約が要り、支払いは領収書で示します。東京しごと財団の支給要件(2026年10月16日確認)をもとに作りました。

取組2のAIを活用したシステム等には条件があります。AIを使っていることと、カスハラ対策に使えることが、パンフレットなどで確かめられることです。受託で作る仕組みがこの区分に当たるかは、事前に財団へ確かめてください。

奨励金の第2回の日程と締め切り

事前エントリーは2026年10月23日10時から11月6日17時までで、先着順ではありません。間に合うかを決めるのは、取組を11月6日までに終えられるかです。10月16日から数えると21日、平日は14日です(計算値)。

第2回は5,000件で、超えた場合は受付期間の後に抽選です。令和8年度の第1回は、事前エントリーが2,500件を超えて抽選になりました(特設サイト、2026年7月16日)。東京都は、この事業の募集を第2回で終えると発表しています。

東京都の条例と国の改正法の年表 東京都 国 条例だけの期間 548日 2024年10月 条例を制定 2024年12月25日 都の指針 2025年3月4日 共通マニュアル 2025年4月1日 条例の施行 2025年6月11日 改正法の公布 2026年2月26日 国の指針 2026年10月1日 措置義務の施行 2025年 2026年 2026年10月〜11月を拡大(上の赤い枠) 10/8 10/15 10/22 10/29 11/1 11/8 11/15 11/22 11/29 取組の期限まで 21日(平日14日) 事前エントリー 15日(平日10日) 10/1 法の施行 10/16 記事の時点 10/23 10時 エントリー開始 11/6 17時 締切・取組の期限 11/24以降 支給申請の案内 出典:東京都 条例Q&A(2025-03-28)・報道発表(2026-09-08)・奨励金特設サイト、厚生労働省、e-Gov(いずれも2026-10-16確認)。日数と平日の数は計算値(11/3文化の日を除く)。カスハラ報告ライン作成
図2 条例と改正法の年表と、奨励金の期限。日数は、Python の date で数え、土日と11月3日(文化の日)を除いた計算値です。数え方は本文のとおりで、カレンダーで数え直せます。

エントリーには、GビズIDプライムのアカウントを先に取っておく必要があります。支給申請の案内は、11月24日以降に全エントリー事業者へ送ると案内されています。審査の開始から支給の決定までは3か月程度の見込みとされています。

条例と法律の対応で、まず確かめること

次の3つを、それぞれの窓口で確かめるところから始めます。カスハラ報告ラインが手伝えるのは、報告フォーム・責任者への通知・事案の台帳の仕組みです。措置を満たしたかの判断や、奨励金の申請書類の作成は行いません。

  1. 措置10項目を満たしているか、就業規則に何を書くか:顧問の社会保険労務士か弁護士に、指針4⑴〜⑸の番号を示して聞く
  2. 奨励金の要件(取組の区分、契約日と領収書の日付):東京しごと財団の企業支援課(03-5211-1002)に、11月6日より前に聞く
  3. 録音を事実確認に使うときの扱い:厚生労働省の解釈事項の問9・問10にある個人情報の利用目的の通知・公表を、弁護士などと確かめる

3つとも、10月1日に施行されたばかりの法と、締切の近い奨励金にかかわります。期限の近い2から先に聞くと、残りの日数を無駄にしません。

このサイトで相談するには?

条例と法律のどちらから手をつけるか迷っている段階でも、無料で相談するからお声がけください。何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。準備は要りません。カスハラ報告ラインの主宰が、御社のやり方に合わせて進め方を一緒に考えます。

よくある質問

東京都の条例に違反すると、罰金はありますか?
いいえ、条例に罰則はありません。ただし都のQ&Aは、行為によっては傷害罪・強要罪・名誉毀損罪などに当たり、刑法等で処罰されうるとしています。
都外の会社も、国の措置義務の対象ですか?
はい。労働施策総合推進法第33条は全国の事業主が対象で、2026年10月1日に施行されました。中小企業の猶予もありません。
都内に支店があるだけでも、奨励金の対象になりますか?
対象になりえます。要件は、都内に本店登記か支店の事業所があり、都内の事業所で1年以上続けて事業をしていることなどです。ほかの要件は募集要項で確かめます。
第1回で抽選に落ちた会社は、どうなりますか?
東京都は、第1回の事前エントリーで落選した事業者に別途申請の案内をするとしています。第1回で登録したメールアドレスに後日連絡が届きます。

出典

  1. 東京都 産業労働局「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例 Q&A」(2025年3月28日。施行日、罰則がない理由、第4条・第5条・第14条、指針とひな形)(2026年10月16日確認)
  2. 東京都 報道発表「令和8年度 カスタマーハラスメント防止対策推進事業 企業向け奨励金 第2回募集」(2026年9月8日。40万円、常時雇用300人以下、5,000件、募集は今回で終了)(2026年10月16日確認)
  3. 東京しごと財団 カスタマーハラスメント防止対策推進事業 企業向け奨励金 特設サイト(事前エントリーの日時、抽選、GビズIDプライム、支給申請の案内の時期)(2026年10月16日確認)
  4. 同 特設サイト「支給要件」(取組の期間、マニュアルの必須項目、取組1〜3の要件、対象事業者の要件15項目)(2026年10月16日確認)
  5. e-Gov 法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」第33条・第42条・第45条・第51条(2026年10月16日確認)
  6. 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」(改正法は令和7年法律第63号、カスハラ防止措置は2026年10月1日施行)(2026年10月16日確認)
  7. 厚生労働省 カスタマーハラスメント防止指針(令和8年厚生労働省告示第51号、2026年2月26日公表)(2026年10月16日確認)
  8. 厚生労働省「ハラスメント防止措置義務規定等における解釈事項について」(2026年9月30日改訂、問9・問10)(2026年10月16日確認)