職人の手配ミスは、ルールで何件見つけられる?重なり・資格・移動を100件仕込んで検出した

職人の手配ミスは、重なり・資格不足・休みの日・現場間の移動の4種類をルールで検査すると、仕込んだ100件のうち91件を止められました。15人・30現場の手配表(4週分)に架空のミスを仕込んだ実験で、重なり・資格不足・休みの日は25件すべて、移動は25件中16件です。ミスでない手配174件のうち、誤って止めたのは2件でした。現場のまどの実験です。(2026年10月時点)
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要点
- 15人・30現場の手配表に4種類のミスを25件ずつ、計100件仕込むと、ルール検査は91件を止めました(架空データ)。
- 重なり・資格不足・休みの日は25件すべて検出し、移動だけが25件中16件(64%)でした。移動は検査が直線距離で測るためです。
- 資格を「技能講習か免許があれば足りる」と一律にすると、適法な25件のうち20件を誤って止め、資格不足は9件を見逃しました。
- 条文の線引き(3t・5t・1t)とクレーンの区分を入れると、ミスでない手配174件のうち誤検出は2件でした。
目次
職人の手配ミスは、ルールで何件見つけられますか?
100件中91件でした。現場のまどの実験で、15人・30現場の手配表を4週分(120現場)つくり、重なり・資格不足・休みの日・移動の4種類のミスを25件ずつ、計100件仕込みました。ルールで検査すると、移動だけが25件中16件で、ほかの3種類は25件すべてを止めました。
ミスでない手配174件のうち、誤って止めたのは2件で、どちらも移動の判定です。右端の列は、同じ手配を単純なルール(日単位で重なりを見て、資格は技能講習か免許があれば足りるとする)で検査した場合です。
| 種類 | 仕込んだ数 | 見つけた数 | 検出率 | 誤検出(条文の線引き) | 誤検出(単純なルール) |
|---|---|---|---|---|---|
| 重なり | 25 | 25 | 100% | 0/25 | 25/25 |
| 資格不足 | 25 | 25 | 100% | 0/25 | 20/25 |
| 休みの日 | 25 | 25 | 100% | 0/25 | 25/25 |
| 移動 | 25 | 16 | 64% | 2/25 | 25/25 |
| 合計 | 100 | 91 | 91% | 2/174 | 97/174 |
仕込み方を変えて20回やり直すと、重なり・資格不足・休みの日は毎回100%でした。移動は56〜88%(中央値80%)で、ここだけ振れます。
どんなミスを、どう仕込んだのですか?
職人15人・30現場の割り振りの実験で組んだ表に、人が後から書き足して起きる手配ミスを入れました。組んだ表は条件を守っているので、そのままではミスが0件です。割り振りは組む側の話で、本記事は組んだあとの表を検査する側の話です。
仕込んだミスは4種類です。同じ職人を同じ日の重なる時間に2現場へ入れる重なり、重機やクレーンの担当に資格の足りない人を入れる資格不足、休みの日に手配する休みの日、午前の現場から午後の現場まで60分を超える移動です。
紛らわしいが適法な手配も、種類ごとに25件混ぜました。午前と午後で別の近い現場に入る手配、3t未満の機械に特別教育だけの人を入れた手配、休み出勤の承認つきの手配、移動が60分以内の手配です。ミスの数は決めて仕込んだので、見逃しと誤検出を正確に数えられます。
導入例(イメージ)の手配ボードで、同じ職人を同じ日に2現場へ入れると出る警告は、この重なりの検査と同じ仕組みです。想定の「警告で事前に気づく」は、表に入った重なりを25件とも止めた結果とつながります。
資格不足は、どこに線を引くと誤検出が消えますか?
機械の大きさと種類ごとに、条文どおりの線を引きます。「技能講習か免許があれば足りる」と一律にすると、適法な25件のうち20件を誤って止め、仕込んだ25件のうち9件を見逃しました。見逃しは、小型移動式クレーンの講習だけの人を5t以上に入れた手配が4件、車両系の技能講習だけの人をローラーに入れた手配が4件などです。
線引きは次の8区分で、e-Govで条と号を開いて確かめました。どの条文も道路上を走行させる運転は除くので、現場の中で動かす機械だけが対象です。
| 機械の区分 | 足りる資格 | 条文 |
|---|---|---|
| 車両系建設機械 3t以上 | 技能講習 | 施行令 第20条第12号 |
| 車両系建設機械 3t未満 | 特別教育(技能講習でも可) | 安衛則 第36条第9号 |
| 締固め用(ローラーなど) | 特別教育(重量を問わない) | 安衛則 第36条第10号 |
| 移動式クレーン 5t以上 | 免許 | 施行令 第20条第7号、クレーン則 第68条 |
| 移動式クレーン 1t以上5t未満 | 免許か小型移動式クレーン技能講習 | クレーン則 第68条ただし書き |
| 移動式クレーン 1t未満 | 特別教育 | 安衛則 第36条第16号 |
| 玉掛け 1t以上 | 玉掛け技能講習など | 施行令 第20条第16号、クレーン則 第221条 |
| 玉掛け 1t未満 | 特別教育 | 安衛則 第36条第19号 |
車両系の技能講習が対象にするのは、別表第七の整地・運搬・積込み用、掘削用、基礎工事用、解体用です。締固め用は第4号で別の区分なので、技能講習を持っていてもローラーには特別教育が要ります。特別教育は、上位の資格を持つ人なら科目を省略できます(安衛則第37条)。そこで3t未満の車両系と1t未満のクレーンには、上位の資格の人も入れる扱いにしました。
ACCEPT = {'車両系3t以上': {'V3'}, '車両系3t未満': {'V3', 'Vs'}, '締固め用': {'R'},
'移動式クレーン5t以上': {'C5'}, '玉掛け1t以上': {'T1'}, '玉掛け1t未満': {'T1', 'Ts'}} # 一部
for e in 手配:
if e['role'] and not (資格[e['w']] & ACCEPT[e['role']]):
警告(e, '資格不足')
実験の資格の表は上の8区分だけで、高所作業車やフォークリフトなどは入れていません。コード全体は実験の台本とデータ(zip)の craftsman_double_booking.py にあります。重機の配車と資格の見方は、重機とオペレーターの配車を前日夜の電話から外すにはにもあります。
移動は、なぜ16件しか見つからなかったのですか?
検査が直線距離で測るのに対し、本当の道のりは直線の1.2〜1.6倍になるからです。検査は「直線距離×1.3÷時速30km」が60分を超えたら止めます。仕込んだミスは本当の移動が60分を超える25組で、見逃した9件は直線で19.3〜23.0km、本当は61〜71分かかる組でした。
誤って止めた2件は逆で、直線で23.6〜23.7km、本当は59〜60分で着く適法な組です。検査の判定は直線23.1kmが境目なので、境目の近くでは外れます。
閾値を下げれば見逃しは減りますが、適法な手配を止める数が増えます。この実験では試していません。道のりを地図の経路で取る作りなら直線のずれは減りますが、これも実験の範囲外です。
止めた手配は、どう扱えばよいですか?
警告は止めるだけにして、直すかどうかは手配担当が決めます。理由つきの警告を出し、担当が直すか、承認して進めるかを選ぶ形です。休み出勤の承認つきの手配を誤って止めなかったのは、この承認を表に持っていたからです。
検査にも限界があります。表に入っていない事情は止められません。電話で聞いただけの休みや、台帳にない修了証は、ルールからは見えません。資格が自己申告のままなら、台帳の入力ミスはそのまま通ります。
組む側と検査する側を分けておくと、人が書き足した手配だけをルールで確かめられます。表への移し方は、職人の手配をホワイトボードからアプリに移す手順で説明しています。協力会社の職人が入力する仕組みは、職人がアカウントなしで日報を出せる仕組みに書いています。
手配ミスの検査を自社の表で試すには?
御社の手配表で、どの種類のミスが止められるかは、現場のまどの相談で一緒に確かめられます(無料で相談する)。何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。準備は要りません。
よくある質問
- 資格の台帳がなくても、資格不足の検査はできますか?
- 台帳が要ります。職人ごとの資格を1行ずつ表にすれば足り、最初は紙の修了証を見ながら入力する形でも検査できます。
- 休みの申請が電話だけのとき、休みの日の検査は効きますか?
- 効きません。表に入っている休みしか止められないので、電話で聞いた休みも、その場で表に1行入れる決まりが先に要ります。
- 警告が出た手配は、確定できなくなりますか?
- 確定できないわけではありません。理由つきの警告を出し、手配担当が見て直すか、承認して進めるかを選びます。
- 資格の有効期限や更新も検査できますか?
- 台帳に期限の列を足せば、同じ形で検査できます。この実験の資格の表には、期限は入れていません。
出典
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」第20条第7号・第12号・第16号、別表第七(就業制限に係る業務。2026-10-17 に条文を開いて確認)(2026年10月17日確認)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第36条第9号・第10号・第16号・第19号(特別教育を必要とする業務)、第37条(特別教育の科目の省略)(2026年10月17日確認)
- e-Gov法令検索「クレーン等安全規則」第68条(移動式クレーンの就業制限)・第221条(玉掛けの就業制限)(2026年10月17日確認)
- 現場のまどの実験(2026年10月17日、架空データ・乱数の種11〜14、OR-Tools 9.15、Python 3.14)。台本は実験の台本とデータのzipの craftsman_double_booking.py(2026年10月17日確認)


