バーコードのない部品・端材は、どう在庫管理する?自社のQRラベルの作り方と、読める大きさの実験

JANコードのない部品・端材・原料の在庫管理は、自社の品目コードを決めてQRラベルに印字し、ロットや保管場所はアプリの台帳で紐付けると、メーカーのバーコードがある物と同じ手順で読み取れます。合成した画像をOpenCVで読んだ実験では、1セルが6ピクセル以上で写ると、軽いぼけでも9割以上読めました。品目コードだけのQRなら、手に取って読むラベルは一辺約20mmが目安です(仮定つきの計算値)。在庫てちょうの主宰が試しました(2026年10月時点)。
全体の流れと費用は在庫管理のExcel脱却のページにまとめています。
要点
- JANのない品物は、英字入りの自社コード(例 B-000123)だけをQRに入れ、ロットと棚はアプリの台帳で紐付けます。
- 合成画像を条件ごとに100枚読むと、ぼけσ1のとき1セル3ピクセルでは0%、6ピクセルでは99%読めました。
- 汚れがシンボルの6%に付くと、誤り訂正Lは0%、Hは58%でした。角の四角に汚れが付くと、Hでも50%です。
- 画像の横1,280ピクセルに横15cmが写ると仮定すると、品目コードだけのラベルは一辺約20mmが目安です。
目次
バーコードのない部品や端材は、どう在庫管理すればよいですか?
自社で品目コードを決め、そのコードをQRラベルにして品物か置き場所に貼ります。読み取ったコードから、アプリの台帳で品目名・保管場所・ロットを引く形です。入出庫の画面は、メーカーのJANコードがある物と同じです。
検索の上位にある在庫管理サービスの説明は、「コードを自動で発行できる」「白いラベル用紙を使う」までです。何mmのラベルなら読めるかは書いていません。そこで、ラベルの写り方を変えた画像を作り、読めるかどうかを数えました。決めることは次の5つで、大きさと誤り訂正は実験の結果から目安を出しています。
| 決めること | 目安 | 根拠 |
|---|---|---|
| コードの形 | 英字1文字+連番(例 B-000123) | JANの13桁の数字と見分けるため |
| QRに入れる中身 | 品目コードだけ | 文字が増えるとセルが増える |
| 誤り訂正レベル | 汚れる場所はQかH | 汚れ6%で L 0%、H 58% |
| ラベルの一辺 | 手に取る物は20mm以上 | 1セル6ピクセルの換算(仮定つき) |
| 貼る場所 | 品物に貼れない物は置き場所 | 端材や小さな部品は貼る面がない |
自社の品目コードとQRの中身は、どう決めればよいですか?
コードは短く、意味を詰め込まない形にします。英字1文字と6桁の連番なら8文字で、QRは最小の21×21セルに収まります。JANコードは13桁の数字で、GS1 Japanが「45」か「49」で始まる番号を事業者に貸与しています。自社のコードに英字を入れておくと、読み取った番号がメーカーの物か自社の物か、一目で分かります。
ロット番号や棚の番号までQRに入れると、セルの数が増えます。誤り訂正Mで作って数えると、次のとおりでした。QRはバージョン1の21×21セルから、縦横4セルずつ大きくなります(デンソーウェーブの説明)。
| QRに入れる文字列(誤り訂正M) | 文字数 | セル数 |
|---|---|---|
| B-000123 | 8 | 21×21 |
| B-000123/A-02-3(棚つき) | 15 | 21×21 |
| B-000123/LOT2610A/A-02-3(ロットと棚つき) | 24 | 25×25 |
| 上に期限 EXP2027-04-30 を足す | 38 | 25×25 |
ロットや期限は入荷のたびに変わるので、品目のラベルに刷り込むと貼り替えが要ります。私が仕組みを作るときは、QRには品目コードだけを入れ、ロットと期限は入荷の画面で記録します。期限の記録の手順は、賞味期限とロットをスマホで記録する記事が扱っています。
QRラベルは、撮った画像で何ピクセルあれば読めますか?
今回の合成画像では、1セルが6ピクセル以上で写ると、ぼけσ1まで9割以上読めました。3ピクセルでは、ぼけのない画像で91%でしたが、ぼけσ1で0%に落ちています。スマホのピントが少し甘いだけで読めなくなる大きさだということです。
画像は、OpenCVのQRCodeEncoderで作ったQRを縮めて作りました。そこへ±8度の回転、ガウスぼけ、ノイズ、JPEG圧縮を加えています。読み取りは同じOpenCVのQRCodeDetectorで行い、元の文字列が返れば成功としました。要点は次の数行です。
img = render(mat, ppm, sigma, contrast, dirt, rng) # 1セル ppm ピクセル、ぼけ sigma
s, _, _ = cv2.QRCodeDetector().detectAndDecode(img)
ok += (s == text) # 元の文字列が返れば成功
手順と前提はこの節に書いたとおりで、乱数の種を固定してあるので、同じ前提で動かすと同じ割合が出ます。限界もあります。読み取りに使った部品はOpenCVだけです。スマホのアプリはピントを合わせ直しながら何度も読むので、実物はこの表より読める側に寄るはずです。
QRラベルの一辺は、何mmにすればよいですか?
品目コードだけのQRなら、手に取って読むラベルは一辺約20mm、棚の前から読む札は約54mmが目安です。どちらも、1セルを6ピクセルで写すという実験の結果から逆算した計算値です。
式は「一辺 =(セル数+余白8セル)× 6ピクセル ÷ 1mmあたりのピクセル数」です。余白は、QRの規格どおり上下左右に4セルずつ取ります。1mmあたりのピクセル数は、画像の横1,280ピクセルの中へ横15cm(手に取る)か40cm(棚の前)が写る、と仮定しました。
ロットと棚まで入れた25×25セルのQRでは、手に取るラベルで約23mm、棚の札で約62mmに増えます。棚の札を大きくできない場合は、近づいて読む運用にすれば20mm台に収まります。実際に使うスマホで、刷ったラベルを数枚試してから大きさを決めるのが確実です。
汚れやかすれに強くするには、誤り訂正レベルを上げればよいですか?
データの部分の汚れには効きますが、角の3つの四角が汚れると、どのレベルでも半分ほどしか読めませんでした。誤り訂正は、汚れや破損で欠けたデータをQR自身が補う機能です。デンソーウェーブの説明によると、補える割合の目安は、レベルLの約7%からレベルHの約30%までです。
1セル6ピクセル・ぼけσ0.5の合成画像に、暗い汚れを足して読みました。汚れがシンボルの面積の3%なら、読めた割合はL・M・Hの順に28%・76%・91%です。6%になると、Lは0%、Hも58%にとどまりました。10%以上では、どのレベルも1割に届きません。
角の四角は、読み取り機がQRの位置と向きを見つける目印です。ここに汚れが1つ付くと、Hでも50%でした。油や粉の付く棚では、レベルを上げるより、角を手でこすらない位置に貼るほうが効きます。
色の薄さも試しました。明暗の差を元の4分の1にしても74%読めましたが、0.15倍では29%です。茶色い段ボールにじかに刷るより、白いラベルを貼るほうが確実です。
QRラベルは、部品・端材・原料のどこに貼ればよいですか?
貼れる物には品物か箱に、貼れない物には置き場所に貼ります。ねじや小さな部品は、1個ずつではなく箱や袋に1枚貼り、入出庫では箱のラベルを読んで数を入れます。同じ部品の箱が2つの棚に分かれるときは、箱ごとに同じ品目コードのラベルを貼ります。
長さや形がそろわない端材は、品物に貼るとすぐはがれます。端材置き場の棚か区画に札を付け、「どの材料の端材か」を品目コードで分けておきます。原料の袋や缶は、入荷のときに袋へ1枚貼ると、出庫のときに迷いません。
棚の札は、人が立って読む高さと向きにそろえます。汚れの実験のとおり、角の四角が隠れると読めなくなるので、ラベルの縁を手でつかむ位置は避けてください。出荷のときの検品は、在庫の記録とは別の話なので、ここでは扱いません。
このサイトで相談するには?
たとえば、メーカーのバーコードがないボルトや端材の箱に、棚ごとのQRを貼り、数える順に読める形から始められます。
コードの決め方とラベルの貼り方は、品物の種類に合わせて主宰が案を出します。決まっていなくても大丈夫で、準備は要りません。無料で相談する
よくある質問
- QRラベルを作るのに、専用のプリンターは要りますか?
- いいえ、必須ではありません。白いラベル用紙と事務所のプリンターで印刷できます。図1の目安どおり、刷ったら実際のスマホで数枚読んでから貼り始めてください。
- QRではなく、1次元のバーコードで作ってもよいですか?
- はい、読めれば構いません。ただ、QRは誤り訂正で汚れを補えるうえ、小さな正方形に収まります。部品の箱や棚の札のように、貼る面が狭い物にはQRが向きます。
- 自社のコードを13桁の数字にしてもよいですか?
- 避けたほうが無難です。JANも13桁の数字なので、読み取ったコードがメーカーの物か自社の物か、見た目で区別しにくくなります。英字を1文字入れると見分けられます。
- ラベルを貼る前に、全部の品目を登録する必要がありますか?
- いいえ。入出庫の多い品目と棚から貼り始め、残りは使いながら足せます。在庫てちょうの試作も、よく動く品目から始めます。
出典
- GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)「GS1事業者コード・GTIN(JANコード)とは」(JANコードの桁数と構成、45・49で始まる番号の貸与)(2026年10月16日確認)
- 株式会社デンソーウェーブ QRコードドットコム「QRコードのバージョン」(バージョン1の21×21セルからバージョン40の177×177セルまで)(2026年10月16日確認)
- 株式会社デンソーウェーブ QRコードドットコム「QRコードの誤り訂正機能」(レベルL 約7%・M 約15%・Q 約25%・H 約30%)(2026年10月16日確認)
- 株式会社デンソーウェーブ QRコードドットコム「QRコードの大きさ・マージン」(上下左右に4セル以上の余白)(2026年10月16日確認)
- 自分の実験:合成したQRラベルの画像を OpenCV 4.13.0 の QRCodeDetector で各条件100枚読んだ(2026年10月16日、乱数の種 20261016)(2026年10月16日確認)


