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工事車両の車載在庫は、どう管理して見える化する?6台・300品目の積む一覧と、差と重複在庫の試算

工事車両の車載在庫は、どう管理して見える化する?(記事の表紙)

工事車両の車載在庫の管理は、車ごとの「積む一覧(定数)」を決め、持ち出しと戻しを読み取りで記録し、朝に一覧との差を出すと見える化できます。架空の6台・300品目の試算では、週1回5日分を積むやり方から毎朝1日分を補充するやり方に変えると、現場で足りない件数は月約16件のまま、積み荷は約170万円から約112万円に減りました。在庫てちょうの主宰が計算しました(2026年10月時点)。

全体の流れと費用は在庫管理のExcel脱却のページにまとめています。

要点

  • 車載在庫は、車ごとの積む一覧(定数)を決め、持ち出しと戻しを記録し、朝に一覧との差を出すと見える化できます。
  • 架空の6台・300品目では、毎朝差を補充すると、足りない件数は月約16件のまま積み荷が約170万円から約112万円に減りました(試算)。
  • 1台あたり月1個未満しか使わない部材を3台以上が積む重複在庫は、毎朝補充でも約24万円残りました(試算)。
  • 単価3,000円以上のまれな部材を2台だけに積むと重複は約13万円に減り、倉庫から持ち出す件数が月約22件増えます(試算)。
目次
  1. 工事車両の車載在庫は、どうすれば見える化できますか?
  2. 車ごとの積む一覧(定数)は、どう決めればよいですか?
  3. 毎朝、積む一覧との差を見ると、何が変わりますか?
  4. 同じ部材を何台もが積む重複在庫は、いくらになりますか?
  5. 持ち出しと戻しは、現場でどう記録すればよいですか?
  6. 工事現場が圏外のときは、どう記録しますか?
  7. このサイトで相談するには?
  8. よくある質問

工事車両の車載在庫は、どうすれば見える化できますか?

工事車両の車載在庫は、3つの仕組みで見える化できます。1つ目は、車ごとに「積む一覧(定数)」を決めることです。2つ目は倉庫からの持ち出しと戻しを読み取りで記録すること、3つ目は朝に一覧と記録の数の差を出すことです。定数とは、その車に常に積んでおく部材ごとの数のことです。

車載在庫が見えないと、2つのことが同時に起きがちです。1つは、現場で部材が足りずに倉庫へ取りに戻るか、近くの店で買い足すこと。もう1つは、同じ部材を何台もが多めに積み、会社全体では持ちすぎになることです。在庫管理のExcel脱却の中でも、車載在庫は倉庫の外にあるぶん、数が合わなくなりやすい場所です。

架空の設備工事会社(工事車両6台・部材300品目)で、補充のしかたを3通りに変えて1か月を計算しました。毎朝差を補充するやり方では、足りない件数を変えずに、積み荷の金額が減りました。

補充のしかた(架空データの試算) 積み荷の金額(6台) 足りない件数(月) 重複在庫
① 5日分を積み、週1回目で見て補充 約170万円 約16件 約50万円
② 1日分を積み、毎朝一覧との差を補充 約112万円 約16件 約24万円
③ ②で、単価3,000円以上のまれな部材は2台だけ 約90万円 約15件+倉庫から約22件 約13万円

車ごとの積む一覧(定数)は、どう決めればよいですか?

積む一覧は、部材ごとの使う頻度と、補充の間隔から決めます。試算では、会社全体で月2個以上使う部材を一覧に入れ、300品目のうち143品目が入りました。1台あたり143行、6台で858行です。

定数は「補充から次の補充までに、その車で使う数」で決めます。毎朝補充するなら1日分、週1回なら5日分です。試算では、使う数のばらつき(ポアソン分布)から、1日分なら99.5%、5日分なら99%の日に足りる最小の数にしました。2つの水準は、足りない件数がそろうように選んでいます。

補充の間隔が短いほど、定数は小さくて済みます。例えば1台で1日平均0.5個使う部材なら、1日分の定数は3個、5日分なら7個です。この差が6台×143行で積み上がります。

車ごとの在庫一覧の画面。部材ごとに倉庫と1号車〜6号車の数と合計が並び、VVFケーブルやフレア継手を何台が積んでいるかが分かる(架空の会社のデータ)
図1 車ごとの在庫一覧(導入例(イメージ))。同じ部材を何台が積んでいるかが1行で分かります。主宰が作って操作した画面で、社名と数字は架空です。

一覧に入れなかった部材は、工事ごとに倉庫から持ち出します。まれにしか使わない部材まで全車に積むと、次の節で扱う重複在庫が増えます。

毎朝、積む一覧との差を見ると、何が変わりますか?

毎朝、積む一覧との差を見て補充すると、1日分の定数で足りるので、積み荷の金額が減ります。架空の6台・300品目の試算では、積み荷は①週1回5日分を積むやり方で約170万円でした。②毎朝差を補充するやり方では約112万円です。現場で足りない件数は、どちらも月約16件です。

6台の工事車両に積む部材の金額を3つのやり方で比べた横棒グラフ。週1回5日分は約170万円、毎朝差を補充すると約112万円、高い部材を2台に絞ると約90万円(架空データの試算)
図2 補充のしかたと、6台に積んでいる部材の金額。濃い部分が重複在庫です。在庫てちょう 主宰の試算(架空の6台・300品目・稼働20日、各200回の平均、2026年10月16日)。

計算の式と前提はこの節に書いたとおりで、同じ前提で計算すれば再現できます。前提は次のとおりで、すべて架空です。

  • 部材300品目、単価の中央値535円、会社全体で1日90個(1台15個)を使う
  • よく使う部材ほど多く使う(使う量は、よく使う順の順位に反比例)
  • 車ごとの使い方の差は0.7〜1.3倍、乱数の種は20261016で200回の平均

朝に見る行は、一覧の全部ではありません。②では、6台で858行の一覧のうち、補充の要る行は1日平均約59行でした。差のある行だけを出せば、1台あたり10行ほどを見れば済みます。

ある朝の3号車の積む一覧との差の表。一覧132行のうち、定数より少ない7行だけを並べ、部材番号・定数・いま・積む数を示す(架空データ) 朝に見るのは、積む一覧との差だけ(3号車・ある朝) 積む一覧 132行のうち、定数より少ない 7行(不足の金額の大きい順) 部材(架空の番号) 定数 いま 積む数 金額 部材 118(単価 1,910円) 1 0 +1 1,910円 部材 002(単価 1,880円) 5 4 +1 1,880円 部材 032(単価 1,670円) 1 0 +1 1,670円 部材 013(単価 720円) 2 1 +1 720円 部材 014(単価 400円) 2 1 +1 400円 部材 010(単価 140円) 2 0 +2 280円 部材 009(単価 230円) 2 1 +1 230円 架空データの試算(在庫てちょう 主宰、2026年10月16日)。一覧Bの3号車に、乱数で1日分の使用を引いた朝。fig_van_stock_sim.py
図3 ある朝の3号車の「積む一覧との差」。一覧132行のうち、定数より少ない7行だけが並びます。架空データの試算です。

ただし、この試算では、持ち出しと戻しが漏れなく記録される前提です。読み取り忘れがあると、記録の数が実物より多くなり、朝の差に出ません。

同じ部材を何台もが積む重複在庫は、いくらになりますか?

架空の6台・300品目では、毎朝補充に変えても、重複在庫が約24万円残りました。ここでの重複在庫は、1台あたり月1個未満しか使わない部材を3台以上が積んでいる分が対象です。そのうち会社全体の月の使用量を超える数に、単価をかけました。

5日分を積む①では、重複在庫は約50万円でした。定数が大きいぶん、まれな部材も多めに積むからです。

重複を減らすには、単価の高いまれな部材を、よく使う2台だけに積む方法があります。試算の③では、単価3,000円以上で1台月1個未満の部材を2台に絞りました。重複在庫は約13万円、積み荷は約90万円です。代わりに、残りの4台が倉庫から持ち出す件数が月約22件増えます。

減る金額と、増える持ち出しの手間のどちらを取るかは、会社によって変わります。私が一覧を作るときは、倉庫と現場が近い会社なら③、遠い会社なら②から始めます。

海外にも、同じ問いを扱った研究があります。Gorman・Ahireの論文(Interfaces、2006年)は、大手家電メーカーの保証修理を調べました。1,300台を超えるサービス車が、中央の在庫7万品目のうち約400品目を積んでいました。車に積む部材の決め方を見直し、初回の訪問で直る割合が86%から90%に上がる見込みだと報告しています。

持ち出しと戻しは、現場でどう記録すればよいですか?

倉庫の棚と部材にQRラベルを貼り、持ち出すときと戻すときにスマホで読み取ります。読み取ったら「どの車へ」を選ぶだけにして、職人が書く欄を作りません。

車載在庫アプリの朝の確認画面。6台の車ごとに、積む一覧と比べて足りない部材と数だけが並ぶ(導入例(イメージ)、架空の会社のデータ)
図4 朝の確認画面(導入例(イメージ))。車ごとの「積む一覧」と比べて、足りない部材だけが並びます。主宰が作って操作した画面で、社名と数字は架空です。

在庫てちょうでは、この記録と朝の差の表示だけを持つ、自社専用の在庫管理アプリを作ります。導入例(イメージ)の設備工事の車載在庫は、6台・約300品目・入力するのは8人で、一式30万円〜です。

バーコードのない部材や端材には、自社のQRラベルを貼れば同じ手順で読めます。最初から全部の部材へ貼らなくても大丈夫です。よく持ち出す部材から貼ると、職人が読み取りに慣れるのも早くなります。

記録が漏れると、倉庫の帳簿と実物も合わなくなります。ずれの原因の切り分けは在庫が帳簿と合わないのはなぜ?にまとめました。

工事現場が圏外のときは、どう記録しますか?

読み取りの記録をスマホの中にいったん溜め、電波が戻ったら送る作りにします。地下の機械室や新築の現場、山あいの現場には、電波の届かない所があります。圏外のたびに記録を後回しにすると、その日の使った分が抜け、朝の差に出なくなります。

試作でも、記録の画面は圏外のままで使えるようにします。送り終えていない件数を画面の隅に出し、事務所や車に戻って電波が入ったところで送ります。電波が切れかけて同じ記録を2回送っても、記録ごとの番号で見分けるので、在庫の数が二重に減ることはありません。

ただし、圏外で記録しているあいだ、ほかの人の画面にはその分が出ません。朝の差は、前日の記録を全部送り終えてから見る決まりにします。

このサイトで相談するには?

たとえば、車6台の積み込みが担当者の記憶に頼っているなら、朝の積み込みの一覧を車ごとに作るところから始められます。

積む一覧の作り方は、車の台数に合わせて、こちらが先に画面の案を示します。決まっていなくても大丈夫で、準備は要りません。無料で相談する

よくある質問

積む一覧には、何品目くらい入れればよいですか?
決まった数はありません。架空の300品目の試算では、会社全体で月2個以上使う143品目を入れました。まずは、よく持ち出す部材から始めます。
定数は、一度決めたら変えなくてよいですか?
いいえ。季節や工事の種類で使う部材が変わるので、月ごとの使った数を見て、3か月に1回ほど見直します。
持ち出しを読み取り忘れたら、どうなりますか?
その車の数が実際より多く記録され、朝の差に出なくなります。週1回、1台ずつ数えて記録と合わせると、ずれが積み上がりません。
Excelで車ごとのシートを作るのでは、だめですか?
台数が少なければ使えます。ただ、持ち出しと戻しを書く手間が増え、書き忘れると数が合わなくなります。

出典

  1. Gorman, M. F. & Ahire, S. L.「A Major Appliance Manufacturer Rethinks Its Inventory Policies for Service Vehicles」Interfaces 36(5), 2006年, 407-419ページ(書誌と要旨)(2026年10月16日確認)