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冷凍庫の先入れ先出しが守れないと、廃棄はどれだけ増える?期限と回転日数で廃棄率を計算し、管理方法を決める

冷凍庫の先入れ先出しが守れないと、廃棄はどれだけ増える?(記事の表紙)

先入れ先出し(期限の近い物から先に出すこと)が守れず、取り出す順番が任意になると、期限切れで捨てる割合は「入荷時の賞味期限の残り÷回転日数」の比でほぼ決まります。比が3なら入荷の4.7%、2なら13.0%を捨て、期限順に出せば同じ条件で0.0%でした。在庫てちょうの主宰がシミュレーションで条件ごとに計算し、出すロットを画面で示す管理方法と合わせてまとめました(2026年10月時点)。

全体の流れと費用は在庫管理のExcel脱却のページにまとめています。

要点

  • 取り出す順番が任意だと、期限が回転日数の3倍ある品目でも入荷の4.7%、2倍なら13.0%を期限切れで捨てます(シミュレーション)。
  • 期限の近い箱から出す先入れ先出しなら同じ条件の廃棄は0.0%、新しい箱から取ると19.4%と26.9%でした(回転日数14日の計算値)。
  • 取り出し任意の廃棄率は「期限の残り÷回転日数」の比でほぼ決まり、比4で約2%、比6で0.2%まで下がります(計算値)。
  • 入荷の間隔を1日・7日・14日と変えても廃棄率は4.8〜5.7%で、効くのは出す順番と持つ日数です(期限60日・回転日数21日)。
目次
  1. 先入れ先出しが守れないと、冷凍庫の廃棄はどれだけ増えるのですか?
  2. 冷凍庫の廃棄率は、何で決まるのですか?
  3. 入荷の間隔を変えると、冷凍庫の廃棄は減りますか?
  4. 先入れ先出しを守る管理方法は、何から始めればよいですか?
  5. 冷凍庫の中で、スマホの読み取りはそのまま使えますか?
  6. シミュレーションの数字は、どこまで当てはまりますか?
  7. このサイトで相談するには?
  8. よくある質問

先入れ先出しが守れないと、冷凍庫の廃棄はどれだけ増えるのですか?

取り出す順番が任意になると、賞味期限の残りが回転日数の3倍ある品目でも、入荷した数の4.7%を期限切れで捨てます。2倍の品目では13.0%です。期限の近い箱から出す先入れ先出しなら、同じ条件で廃棄は0.0%でした。

数字は、在庫てちょうの主宰がPythonで作ったシミュレーションの値です。1つの品目を1つの冷凍庫で持ち、1日に平均20箱を使い、7日ごとに入荷します。庫には平均14日分の在庫があり、これを回転日数14日と呼びます。取り出し方は、期限順、無作為(取り出し任意)、新しい箱から(手前に積んだ新しい箱を手前から取る)の3通りです。

入荷時の期限の残り 先入れ先出し(期限順) 取り出し任意 新しい箱から
21日 0.0% 21.5% 33.0%
28日 0.0% 13.0% 26.9%
42日 0.0% 4.7% 19.4%
56日 0.0% 1.7% 15.8%
84日 0.0% 0.2% 10.0%
入荷時の賞味期限の残りと、期限切れで捨てる割合の折れ線グラフ。回転日数14日で、取り出し任意は期限28日で13.0%、42日で4.7%、先入れ先出しはどれも0.0%
図1 取り出し方ごとの、期限切れで捨てる割合。回転日数14日・入荷は7日ごと。在庫てちょう 主宰の計算値(730日のうち最初の90日を除く、各40回の平均、2026年10月16日)。

農林水産省が2026年6月30日に公表した2024年度の推計では、事業系の食品ロスは237万トンです。うち食品製造業が110万トン、外食産業が70万トンでした。自社の庫でいくら捨てているかは、期限切れで捨てた在庫の額の出し方で品目ごとに数えられます。

冷凍庫の廃棄率は、何で決まるのですか?

取り出し任意のときの廃棄率は、「入荷時の賞味期限の残り÷回転日数」の比でほぼ決まります。比が2のとき約13%、3のとき約5%、4のとき約2%、6のとき0.2%でした。回転日数を10日・20日・30日と変えても、同じ比なら差は1ポイント以内です。

回転日数は、平均の在庫数を1日の使用量で割って出します。冷凍えびを平均30箱持ち、1日2箱使うなら15日です。入荷時の期限の残りが45日なら比は3で、取り出す順番が任意だと入荷の約5%を捨てる計算になります。

賞味期限の残り(30・60・90・180日)と回転日数(7・14・30・60日)の組み合わせごとに、取り出し任意と先入れ先出しで期限切れで捨てる割合を並べた表。期限が回転日数の3倍以下のマスで、取り出し任意の廃棄が数%から数十%になる 捨てる割合は、期限と回転日数の比で決まる 上の段:取り出し任意/下の段:先入れ先出し(期限順)。入荷は7日ごと。色が濃いほど取り出し任意で捨てる割合が大きい 回転日数(入ってから使われるまでの平均の日数) 7日 14日 30日 60日 期限の残り 30日 任意 1.0% 期限順 0.0% 任意 10.4% 期限順 0.0% 任意 33.4% 期限順 9.9% 任意 57.2% 期限順 50.9% 期限の残り 60日 任意 0.0% 期限順 0.0% 任意 1.3% 期限順 0.0% 任意 13.0% 期限順 0.0% 任意 35.4% 期限順 6.0% 期限の残り 90日 任意 0.0% 期限順 0.0% 任意 0.1% 期限順 0.0% 任意 4.8% 期限順 0.0% 任意 21.3% 期限順 0.0% 期限の残り 180日 任意 0.0% 期限順 0.0% 任意 0.0% 期限順 0.0% 任意 0.2% 期限順 0.0% 任意 4.6% 期限順 0.0% 計算値:在庫てちょう 主宰、2026年10月16日。1日の使用量 平均20個、730日のうち最初の90日を除く、各40回の平均、乱数の種 20261016。 廃棄の割合は入荷した個数に対する値。fig_freezer_fifo_sim.py
図2 期限の残りと回転日数の組み合わせごとの廃棄率。上の段が取り出し任意、下の段が先入れ先出し。在庫てちょう 主宰の計算値(入荷は7日ごと、2026年10月16日)。

無作為に取ると、箱が庫に残る日数は、平均が回転日数の指数分布に近くなります。そのため廃棄率は、e^(−比)の値とほぼ同じです。比3なら理論値5.0%に対し、計算値は4.7%でした。

冷凍品で期限が長くても安心はできません。期限の残り180日でも、回転日数60日の品目は取り出し任意で4.6%を捨てます。

期限順に出しても捨てる条件もあります。期限30日・回転日数30日で9.9%、回転日数60日では50.9%でした。期限より長く持っている品目は、出す順番では救えないので、発注の量を減らします。

入荷の間隔を変えると、冷凍庫の廃棄は減りますか?

入荷の間隔を変えても、廃棄率はほとんど変わりません。期限の残り60日・回転日数21日で、取り出し任意の廃棄率は、毎日の入荷で5.7%、7日ごとで5.5%、14日ごとで4.8%でした。期限順なら3つとも0.0%です。

効くのは、出す順番と持つ日数の2つです。同じ品目を少しずつこまめに入れても、庫の中で古い箱と新しい箱が混ざれば、古い箱が奥に残ります。逆に、持つ日数を半分にすれば比が2倍になり、取り出し任意でも廃棄は大きく下がります。

先に手を付ける品目は、比の小さいものです。品目ごとに期限の残りと回転日数を並べ、比が3を切る品目から期限順の出庫を徹底すると、少ない手間で廃棄が減ります。月に数回しか使わない原料は回転日数が長く、比が小さくなりがちです。

先入れ先出しを守る管理方法は、何から始めればよいですか?

置き場所の決まりを足すより、出庫のときに「どのロットを出すか」を画面で示すことから始めます。新しい箱を奥に入れる、入荷日ごとに色シールを貼る、といった決まりは、出す人が守ったときにしか効きません。図1の「新しい箱から」の線は、手前に積んだ箱を手前から取ったときの値で、期限42日でも19.4%を捨てます。

冷凍庫は奥行きがあり、寒い庫内で箱の印字を読み比べるのは手間です。出す人が迷わないように、次の4つを画面に任せます。

  1. 入荷のときに、ロット番号と賞味期限をスマホで記録し、置いた棚を選ぶ
  2. 出庫の画面に、同じ品目のロットを期限の近い順に並べ、棚と取る数を示す
  3. 指示と違うロットを読み取ったら、その場で知らせる
  4. 期限の30日前を過ぎた箱へ印を付け、使い切る段取りを先に組む
出庫の指示の画面。冷凍えび1kgを10箱出すとき、賞味期限2026年11月8日のロットから6箱、2027年1月20日のロットから4箱を取る棚が順に並ぶ
図3 期限の近い箱から出す出庫の指示。在庫てちょう 主宰が作った試作の画面で、社名・品目・ロットはすべて架空です。

この画面は、食品加工の導入例(イメージ)のために作った試作です。入荷のときに期限をどう記録するかは、賞味期限とロットをスマホで記録し始めるにはで手数を比べています。

冷凍庫の中で、スマホの読み取りはそのまま使えますか?

庫内で長く使う前提にはしないほうが安全です。冷凍庫の作業には、事務所にはない4つの壁があります。

  • 低温では電池が早く減ります。AppleはiPhoneを周辺温度0〜35℃で使うように設計しているとしています。それより寒い所では、電池の減りが一時的に早まり、電源が切れることもあるそうです。−18℃以下の庫内へは長く持ち込みません。読み取りは庫の入口で行い、スマホは上着の内ポケットで温めておきます。
  • 結露でレンズが曇ります。冷えたスマホを暖かい作業場へ出すと、表面やカメラのレンズに水滴が付きます。曇ったまま読むと読み取りに失敗しやすいので、庫内と庫外を何度も行き来する担当者は、庫外に置いた端末で読む形にします。
  • 手袋のままでは押せません。厚い防寒手袋をはめると、画面のタップはほとんど効きません。読み取りのあとに押すボタンを大きく1つにし、数の入力は「箱の数を選ぶ」だけにします。画面を押せる手袋も売られていますが、合うかどうかは現場で試します。
  • ラベルの霜で読めなくなります。箱のラベルに霜が付くと、バーコードやQRが読めなくなります。入荷のときに読み取って棚を決めておけば、出庫では棚のQRを読むだけで済み、霜の付いた箱のラベルを読まずに済みます。

庫内は電波も届きにくい場所です。読み取りの記録は、圏外でもいったんスマホの中に溜め、電波が戻ったら送る作りにします。送り終えていない件数を画面の隅に出しておけば、送り忘れにも気づけます。

1日に読み取る回数が多い庫や、庫内で読むしかない現場では、低温で使える仕様のハンディの読み取り機を勧めます。私は、読み取りが1日中続く庫や、手袋を外せない現場では、試作の段階からハンディの読み取り機で確かめるようにしています。

シミュレーションの数字は、どこまで当てはまりますか?

比が小さいほど廃棄が増えるという傾向は当てはまりますが、数字そのものは前提つきです。現場では、無作為よりも手前の箱を取りやすくなります。実際の廃棄率は、取り出し任意と新しい箱からの間に入ると考えられます。

ほかの前提も書いておきます。使用量は1日平均20箱で、季節の波はなく、入荷時の期限の残りは毎回同じです。発注は「期限内の在庫と入荷で一定の日数分になるまで」補うため、欠品は出ていません。冷凍焼けや破損など、期限前の廃棄は入れていません。

計算の中心は、毎日の使用の後に、期限に達した箱を捨てる処理です。

if policy == 'random':   # 取り出し任意:庫の箱から無作為に
    got = rng.multivariate_hypergeometric(qs, take)
else:                    # 期限順は古いロットから、新しい箱からは逆順
    order = lots if policy == 'fifo' else lots[::-1]
# 入荷から L 日たった箱は、その日の終わりに捨てる

計算の式と前提はこの節に書いたとおりで、同じ前提で計算すれば再現できます。乱数の種は20261016に固定し、条件ごとに730日を40回くり返した平均です。自社の品目で試すときは、期限の残りと回転日数を入れ替えて動かします。

このサイトで相談するには?

たとえば、冷凍庫が3つあって奥の箱が出しにくいなら、庫と棚の今の呼び名のまま、期限の近い順に出す一覧を作れます。

期限順の指示を入れる品目は、庫と棚の呼び名に合わせて、主宰が案を出します。決まっていなくても大丈夫で、準備は要りません。無料で相談する

よくある質問

回転日数は、どうやって出しますか?
平均の在庫数を1日の使用量で割ります。冷凍えびを平均30箱持ち、1日2箱使うなら15日です。入荷時の期限の残りが45日なら、比は3です。
冷凍品は期限が長いので、先入れ先出しは要りませんか?
いいえ。廃棄は比で決まるので、期限の残りが180日でも回転日数が60日なら、取り出し任意で4.6%を捨てます(シミュレーション)。
先入れ先出しを守っているのに期限切れが出るのはなぜですか?
持つ日数が期限に対して長すぎるからです。期限30日・回転日数30日では、期限順に出しても9.9%を捨てました。発注の量を見直します。
先入れ先出しと、決算の先入先出法は同じものですか?
別のものです。先入先出法は法人税法施行令第28条にある在庫の評価の方法で、実際にどの箱を出したかとは関係なく計算します。

出典

  1. 農林水産省「事業系食品ロス量(2024年度推計値)を公表」2026年6月30日(食品ロス量461万トン、事業系237万トン、うち食品製造業110万トン・外食産業70万トン)(2026年10月16日確認)
  2. 法人税法施行令(昭和40年政令第97号)第28条(棚卸資産の評価の方法)、e-Gov 法令検索(2026年10月16日確認)
  3. Apple サポート「iPhone と iPad を許容動作温度内で使う」(2026年10月16日確認)