予測と積み上げの金額に差が出たとき、何を見ますか?
北斗精機(架空)のSUS304の部品1件で、積み上げは1,722円/個、過去の見積から学んだ予測は1,380円/個でした。差は342円(積み上げの約2割)で「要確認」が付き、差の理由は段取りの時間でした。
積み上げは、人のアワーレート2,713円/時と設備のアワーレート938円/時を足した時間単価3,651円/時で計算します(アワーレートの計算機の入力例と同じ値)。材料は0.35kgを800円/kgで、ロス率15%を見て322円。加工は1個14分、段取りは90分をロット10個で割った9分/個です。
予測は、過去3年分の見積約1,200件から学んだ金額です。差が積み上げの15%を超えたら「要確認」を付けます。15%は、この例の設定で、社長と工場長が決める値です。この部品は差が19.9%だったので、印が付きました。
| 項目 | 積み上げ(段取り90分) | 段取りを40分に置き換え |
|---|---|---|
| 材料費(0.35kg × 800円/kg × 1.15) | 322 | 322 |
| 加工(14分 × 3,651円/時) | 852 | 852 |
| 段取り(ロット10個で割る) | 548(9分/個) | 243(4分/個) |
| 合計 | 1,722 | 1,417 |
| 予測の金額 | 1,380 | 1,380 |
段取りを40分に置き換えると1,417円になり、予測の1,380円に近づきます。差の大部分は、この部品の段取りを、過去の似た見積より長く置いたことでした。ここで工場長に確かめます。公差が厳しく90分かかるなら、積み上げが正しく、過去の見積が安すぎた可能性があります。40分で足りるなら、単価表の段取りの時間を直します。
予測は、金額を決めるためではなく、積み上げの見落としに気づくために使います。値決めは人です。出した見積は、月1回の差異表で実際の段取りの時間と比べ、90分と40分のどちらが当たっていたかを確かめます。予測の誤差の大きさは、過去の見積からAIで単価を予測した実験では、300件で平均9.2%でした。
印を付ける差の大きさは、予測そのもののずれより大きく置きます。予測には誤差があります。見積帳場の実験では、架空の過去見積300件で学んだ予測の平均の誤差は9.2%でした。15%を下回る値にすると、問題のない見積にも印が付き、確かめる手間が増えます。逆に大きすぎると、積み上げの見落としを拾えません。最初は15%から始め、月1回の差異表で、印が役に立ったかを見て直します。
予測を使えるようにする準備は、過去の見積の整理です。材質、寸法、穴数、公差、ロットを列にそろえ、同じ品物をロット違いで出した行は、1つの条件として見えるようにします。単価が古い見積は、そのまま学ばせると予測が古い値に引っ張られるため、日付の列を持たせて新しい見積を重く見る形にします。過去の見積が少ないうちは、積み上げの金額だけで始め、件数がそろってから予測を足します。
この計算例で、よく聞かれること
- 予測は、どれくらい当たりますか?
- 架空の過去見積300件で測ると、平均の誤差は9.2%でした。実際の見積はもっとばらつくので、この値より大きくなると見ています。予測は金額を決めるために使わず、積み上げの見落としを探すのに使います。
- 過去の見積が数十件しかなくても使えますか?
- 積み上げの金額だけなら、件数に関係なく使えます。予測は、件数が少ないと誤差が大きくなります。架空の実験では、50件で平均17.9%、300件で9.2%でした。件数がそろってから足すかを一緒に決めます。
- 図面から材質や寸法を読み取れますか?
- この導入例には入れていません。図面を読み取る範囲は別の話で、必要な場合は別にご相談ください。画面では、材質・サイズ・穴数・公差・数量を選んで入れます。
- 「要確認」の見積は、必ず直しますか?
- 直すとは限りません。印は、積み上げと予測の差が大きいという合図で、どちらが正しいかは人が確かめます。この例のように、段取りの時間が理由なら、工場長が現場の実際の時間で判断します。
導入前の困りごと
- 見積を出せるのは社長と工場長の2人だけで、2人が不在だと回答が止まりがちです
- 過去の見積のExcelが約1,200件あるのに、似た品物を探すのに時間がかかります
- 見積の工数と実際にかかった工数の差を見る仕組みがなく、同じ単価で赤字を繰り返すおそれがあります
ほかの頼み先と、何を比べたか
見積書を作る道具と、業種の型を持つ製品と比べると、どちらも「社長の計算の決まりをそのまま残す」所が足りなくなりがちです。
製造業向けの見積ソフト(B社)
金額は公開情報だけでは、精密切削の見積に当てはまるかを確かめられていません。計算の型は持ちますが、御社の過去の見積から学ぶ予測は別の話になりがちです
AI見積システム(S社)
料金は公開されていません。予測の中身が見えないと、社長が金額を信じて任せにくいことがあります
見積帳場
アワーレートの積み上げと、過去の見積からの予測を並べ、差が大きいときだけ人が見る形を作ります。予測と差異表まで含めて一式80万円〜です
どんな仕組みを作るか
材質・サイズ・穴数・公差・数量を選ぶと、人と設備のアワーレートと段取りの按分で積み上げた金額と、過去の見積から学んだ予測の金額を並べます。差が大きいときは「要確認」にし、工程ごとの見積の工数と実際の工数の差異表から、単価表を直す候補を出します。
ここがポイント:予測は金額を決めるためではなく、積み上げの見落としに気づくために使います。値決めは人です。




導入の流れ
過去の見積の一部で、積み上げと予測を並べる試作をお見せします
人と設備のアワーレートと、段取りの按分の決まりを社長・工場長と決めます
過去3年分の見積を整えて予測を作り、工程ごとの差異表までつなぎます
この導入例に関わるコラム
主宰のひとこと
図面の読み取りは入れていません。図面から材質や公差を読むところまで自動にしたい場合は、図面の読み取りの範囲として別にご相談ください。
この導入例は「導入イメージ」です。北斗精機(架空)は架空の会社で、数字は想定値です。主宰が操作したのは、架空のデータを入れた画面です。このサイトの書き方
社長の値決めを、御社の計算の決まりのまま画面に。
今のExcelの単価表も活かして作ります。見積1種類からでもお受けします。何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。
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