導入前の困りごと
- 同じめっきでも、重量で出すか面積で出すか個数で出すかは社長の判断で、月約120件の見積のうち約9割を社長が出しがちです
- 小物を重量単価で出すと赤字になることがあるのに、どの品物が赤字なのかが見えません
- 最低料金や掛け数の決まりが社長の頭の中にあり、ほかの人が出すと金額がそろいません
ほかの頼み先と、何を比べたか
見積書を作る道具と、業種の型を持つ製品と比べると、どちらも「社長の計算の決まりをそのまま残す」所が足りなくなりがちです。
見積書作成ソフト(A社)
見積書は作れますが、重量・面積・個数の3つの計算と使い分けの決まりは、別のExcelか人の頭に残ります
製造業向けの見積ソフト(B社)
業種の計算の型を持ちます。めっきの面積計算に合うかは確かめていません。金額は板金の見積に当てはめた場合の例を、方式比較の総額の表に載せています(めっきには当てていません)
見積帳場
社長の使い分けの決まりを聞き取って、計算ルール約15本と品目の単価表約300行にし、3つの金額を並べる画面を作ります。一式50万円〜です
どんな仕組みを作るか
品物の材質・寸法・数量・めっきの種類を選ぶと、重量単価・面積単価・個数単価の3つの金額と差を並べます。社長が決めた使い分けの決まりで1つを提案し、面積の計算・掛け数・最低料金を根拠として見積書の控えに残します。人のアワーレートに足す労災保険料率は業種で違い、めっき業は令和8年度0.65%で、金属製品製造業・金属加工業(洋食器・刃物・手工具・一般金物・めっき業を除く)の0.9%とは別の区分です。自社の区分は、労働局か加入している事務組合で確かめます。
ここがポイント:3つの出し方を並べるので、小物の重量単価で安く出しすぎている品物に、その場で気づけます。




めっきの掛け数割りは、どんな式で計算しますか?
1掛けの料金を、1回に掛けられる数(掛け数)で割ります。東和表面処理(架空)の小物のブラケット(0.8dm²、30g)では、1個194円です。重量単価で出すと62円になり、原価の127円を割ります。
掛け数は、ラックの掛け点、面積の上限、重さの上限のうち、いちばん少ない数で決まります。このラインは、掛け点60、面積の上限120dm²、重さの上限40kgと置いた架空の設定です。ブラケットは、面積では150個、重さでは1,333個まで掛けられます。ただし掛け点が60なので、掛け数は60です。
1掛けの料金は、ラインを1回流す費用6,000円に、掛け外しの人手、地金・薬品、利益を足して決めた値で、この例では11,660円です(根拠はめっきの見積単価を比べた記事)。
掛け数 = min(掛け点, 面積の上限 ÷ 1個の面積, 重さの上限 ÷ 1個の重さ)
1個の単価 = 1掛けの料金 ÷ 掛け数
1件の金額 = max(1個の単価 × 注文数, 最低料金)| 項目 | 1,000個の注文 | 20個の注文 |
|---|---|---|
| ラインを流す回数 | 17回(60個ずつ) | 1回 |
| 積み上げた原価 | 127,300円(127.3円/個) | 8,466円(423.3円/個) |
| 重量単価(2,061円/kg) | 61,830円(原価より51%安い) | 1,237円(原価より85%安い) |
| 面積単価(197円/dm²) | 157,600円(原価より24%高い) | 3,152円(原価より63%安い) |
| 1掛けの料金÷掛け数 | 194,333円(原価より53%高い) | 3,887円(原価より54%安い) |
| 最低料金9,600円を適用 | 適用なし | 9,600円(原価より13%高い) |
1,000個では、掛け数割りが原価を53%上回ります。20個では、ラインを1回流す費用6,000円は個数に関係なくかかるので、原価は8,466円です。掛け数割りだと3,887円で、原価の半分以下です。そこで1件の最低料金(この例では9,600円)を置き、原価を割る小口の注文を止めます。
人が決める所は、1掛けの料金、最低料金、掛け数の上限の3つです。画面は、掛け数と回数の計算、3つの出し方の並べ表示、どの決まりを使ったかの控えへの記録を受け持ちます。数字はすべて架空で、実際のラインでは掛け点の数やラックの形が違うので、御社のラインの数字を聞き取って置き換えます。
最低料金の9,600円には根拠があります。ラインを1回流す費用6,000円と、受入・検査の2,000円を足した8,000円に、利益2割を掛けた額です。1回流して掛け数に満たない小口の注文でも、この額を下回らないようにする考え方で、置く位置は御社の原価で決まります。
自社に当てはめるときは、次の順に確かめます。まずラックの図で、掛け点の数と、面積・重さの上限を数えます。次に、ラインを1回流す費用を、時間あたりの費用と所要時間から出します。そのうえで、小物を5点ほど選び、掛け数割りの金額と積み上げた原価を並べます。見積帳場の計算の例では、架空の品物300点のうち、155点は掛け点、120点は面積、25点は重さで掛け数が決まりました。どの上限が効くかは品物ごとに違うので、画面は3つを毎回比べます。バレルめっきは掛け点がなく、1回に入る量が重さか面積で決まるため、別の計算になります。
この計算例で、よく聞かれること
- 面積単価と掛け数割りは、どちらを使えばよいですか?
- 1回に掛けられる数が掛け点で決まる小物は、掛け数割りが原価に近くなります。板物や大きな品物は、面積単価のほうが近くなります。画面は両方の金額を並べ、社長の使い分けの決まりで1つを提案します。決まりを書き出せていない品物は、人が選びます。
- ラックを使わないバレルめっきでも、同じ式ですか?
- 同じ式にはなりません。バレルには掛け点がなく、1回に入る量は重さや容積で決まります。バレル用の計算ルールを別に書き出し、ラックと同じ画面に並べる形になります。
- 単価表は、今のExcelから読み込めますか?
- 読み込めます。めっきの種類ごとの単価、最低料金、掛け数の表を、今の列のまま取り込みます。足りない列だけを足します。
導入の流れ
直近の見積1件で、重量・面積・個数の3つの金額を並べる試作をお見せします
社長に使い分けと最低料金の決まりを聞き取り、計算ルールに書き出します
品目の単価表を今のExcelから読み込み、PDFの見積書と差異表まで広げます
この導入例に関わるコラム
主宰のひとこと
決まりを書き出してみると、社長が「例外」と思っていた品物が、実は同じ1本のルールで出せることがよくあります。例外を減らすほど、ほかの人が出せる見積が増えます。
この導入例は「導入イメージ」です。東和表面処理(架空)は架空の会社で、数字は想定値です。主宰が操作したのは、架空のデータを入れた画面です。このサイトの書き方
社長の値決めを、御社の計算の決まりのまま画面に。
今のExcelの単価表も活かして作ります。見積1種類からでもお受けします。何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。
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