人手不足の調査から、シフトについて何が分かる?2026年の公開調査4本を母数から読む

2026年の公開調査4本を並べると、人手不足が重いのは介護や飲食のようにシフトで回す職場でした。2026年8月の介護サービスの有効求人倍率は3.89倍で、職業計の1.06倍を大きく上回ります。一方、介護事業所8,899か所の調査では、休みや勤務日時を変えやすくする方策を行った事業所の57.9%が「定着に効果があった」と答えています。(2026年10月時点)
全体の流れと費用はシフト作成の自動化のページにまとめています。
要点
- 2026年8月の介護サービスの有効求人倍率は3.89倍で、職業計1.06倍の約3.7倍でした(厚生労働省)。
- 帝国データバンクの1万538社の調査(2026年4月)で、非正社員の不足は飲食店59.1%、全業種28.3%でした。
- 介護事業所8,899か所の調査で、休みや勤務日時を変えやすくした事業所の57.9%が定着に効果ありと答えました。
- 4つの調査は母数も数えたものも違うので、比べる前に「誰に何を聞いたか」をそろえて読みます。
目次
2026年の人手不足は、シフトで働く職場でどれくらい重いですか?
2026年の公開調査では、介護や飲食のようにシフトで回す職種ほど人手不足が重く出ています。厚生労働省の統計で、2026年8月の介護サービスの有効求人倍率は3.89倍でした。職業計の1.06倍と比べると、仕事を探す人1人あたりの求人が約3.7倍ある計算です。
ここで読む4つの調査を並べました。発表元はどれも、シフト管理の製品を売る会社ではありません。
| 発表元 | 時期 | 母数 | 何を数えたか | 主な数字 |
|---|---|---|---|---|
| 厚生労働省(職業紹介の統計) | 2026年8月 | ハローワークの求人・求職 | 求人の数÷仕事を探す人の数 | 介護サービス3.89倍、職業計1.06倍 |
| 帝国データバンク | 2026年4月16〜30日 | 1万538社(回答率45.7%) | 従業員が不足と答えた企業 | 正社員50.6%、非正社員28.3% |
| 東京商工リサーチ | 2025年度 | 負債1,000万円以上の倒産 | 人手不足が理由の倒産 | 442件(前年度比43.0%増) |
| 介護労働安定センター | 2025年10月 | 8,955事業所(回収率53.1%) | 従業員が不足と答えた事業所 | 65.8% |
倍率は、参考統計表の求人と求職の数から計算し直しています。介護サービスは求人202,780件に対して求職52,183人で、3.886倍です。飲食物調理は2.21倍、接客・給仕は2.31倍でした。
調査によって人手不足の数字が違うのは、なぜですか?
数えている相手と単位が、調査ごとに違うからです。有効求人倍率はハローワークを通した求人と求職の比で、求人サイトや紹介会社の採用は入りません。帝国データバンクと介護労働安定センターは、会社や事業所が「足りない」と感じているかを聞いています。
割合を社数に直すと、規模が見えてきます。帝国データバンクの有効回答1万538社のうち、正社員が不足と答えたのは約5,332社です。非正社員では約2,982社になります(どちらもこのサイトの計算値)。
介護の65.8%には「やや不足」の33.8%が含まれています。「大いに不足」と「不足」だけを足すと32.0%で、受け取る印象はかなり変わります。東京商工リサーチの442件は倒産の件数で、割合とは並べられません。数え方の違う数字を1本のグラフに並べないことが、読み間違いを防ぐいちばんの手です。
シフトで働く職種の人手不足は、ほかと何が違いますか?
パートやアルバイトといった非正社員の不足が目立ちます。帝国データバンクの2026年4月の調査で、非正社員が不足と答えた企業は全業種で28.3%でした。業種別では飲食店が59.1%、飲食料品小売が50.0%、旅館・ホテルが38.5%です。
飲食店の不足は2024年4月の74.8%から下がっていますが、それでも全業種の約2倍です。東京商工リサーチの集計でも、2025年度の人手不足倒産のうち飲食業は64件で、前年度比178.2%増でした。医療・福祉事業は53件(同76.6%増)です。
私が勤務表を作る立場で見ると、短い時間で働く人が多い職場ほど、1人が抜けたときに埋める組み合わせが一気に減ります。数字が大きいのは、採用の難しさと勤務表の組みにくさが重なるからだと考えています。調査で確かめられた因果ではなく、あくまで私の見方です。
介護の調査で、職員の定着に効いた方策は何ですか?
最も多く「効果があった」と答えられたのは、休みの取得や勤務日時の変更をしやすくする方策でした。介護労働安定センターの事業所調査(n=8,899)では、75.4%の事業所がこれを行っていました。そのうち57.9%が、職場定着に効果があったと答えています。社数に直すと、約6,710事業所が行い、約3,885事業所が効果を感じた計算です。
本人の希望に配慮した配置・異動は51.6%、時間外労働の削減は44.1%でした。働く側の調査(20,675人が回答)では、仕事の満足度で「人員配置体制」が▲18.5ポイントでした。賃金水準の▲12.3ポイントより低い値です。
ただし、効果は事業所の自己評価です。休みを取りやすくしたから辞める人が減った、とまでは言えません。
人手不足の調査を自分の職場に当てはめるとき、何に気をつければよいですか?
業界の数字は、自分の職場の数字の代わりにはなりません。調査は「どの業種が苦しいか」を教えてくれますが、自分の職場で何が足りないかは、勤務表の記録から数えるほうが確かです。
私が最初に数えてもらうのは、次の4つです。
- 1か月に出た希望休の件数と、そのうち通った件数
- 確定後に勤務日時の変更を頼まれた件数と、応じられた件数
- 欠員を埋めるために、誰かに追加で入ってもらった回数
- 勤務表を作るのにかかった時間
このサイトで架空の介護施設(42人×30日)の勤務表を自動で作った実験では、希望休165件のうち160件が通りました。実在の施設の数字ではありませんが、こうした割合は自分の職場でも毎月数えられます。仕組みと実験の詳細はシフト作成の自動化のガイドにまとめています。
このサイトで相談するには?
上の4つの数字がそろっていなくても構いません。人数と勤務の決まりをうかがえば、自動化でどこまで変えられるかの目安をお答えします。無料で相談するからどうぞ。勤務表の氏名は記号に置き換えたままで大丈夫です。
よくある質問
- 介護の有効求人倍率3.89倍は、どう読めばよいですか?
- ハローワークで、仕事を探す人1人に対して介護の求人が約3.9件あるという意味です。求人サイトや紹介会社を通した採用は含みません。
- 人手不足の数字は、どの調査を使えばよいですか?
- 自分の職場と同じ業種・同じ雇用形態の数字を選び、母数と時期を添えて使います。介護なら介護労働実態調査、飲食なら帝国データバンクの業種別の値が近いです。
- シフトを自動で作れば、人手不足は解消しますか?
- いいえ。働く人の数は増えません。変わるのは勤務表を作る時間と、希望休や勤務日時の変更を通せる余地です。
出典
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)について」参考統計表7-1(2026年10月2日公表、常用・パート含む)(2026年10月16日確認)
- 厚生労働省 一般職業紹介状況(令和8年8月分)参考統計表(PDF)(2026年10月16日確認)
- 帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」(PR TIMES、2026年5月19日、有効回答1万538社)(2026年10月16日確認)
- 東京商工リサーチ「2025年度の『人手不足』倒産 過去最多の442件」(2026年4月8日、負債1,000万円以上)(2026年10月16日確認)
- 公益財団法人介護労働安定センター「令和7年度『介護労働実態調査』結果の概要」(2026年7月29日、事業所調査8,955か所・労働者調査20,675人が回答)(2026年10月16日確認)