介護施設の夜勤シフトを自動で作るには?配置基準と夜勤回数の計算

介護施設の夜勤シフトを自動作成するときは、告示で決まる毎晩の夜勤の人数と、1人あたりの夜勤回数の上限を先に数字にします。定員80人の特養なら毎晩3人以上で、月5回までなら夜勤ができる職員は18人以上要ります。架空の特養で人数を変えて実際に解き直した結果と、条件の書き出し方をまとめました。(2026年10月時点)
全体の流れと費用はシフト作成の自動化のページにまとめています。
要点
- 特養(従来型)の夜勤の職員は、入所者26〜60人で2人以上、61〜80人で3人以上と告示で決まっています。
- 毎晩3人・30日なら夜勤は月90回で、1人月5回までなら夜勤ができる職員は18人以上要る計算です。
- 架空の特養で解き直すと、17人以下では組めず、18人では全員がちょうど5回になりました。
- 夜勤ができる職員が24人いれば、公平さを目標に入れることで夜勤は1人3〜4回にそろいました。
目次
介護施設の夜勤は、毎晩何人置けばよいですか?
従来型の特別養護老人ホーム(特養)では、入所者の数に応じて毎晩の夜勤の介護職員・看護職員の最少人数が告示で決まっています。根拠は平成12年厚生省告示第29号で、夜勤の職員の勤務条件の基準を定めた告示です。
告示の式を入所者数の区分ごとに並べると、次の表のとおりです。併設の短期入所(ショートステイ)がある場合は、その利用者を入所者と合わせた数で数えます。
| 入所者数(人) | 夜勤の最少人数(人) |
|---|---|
| 25以下 | 1 |
| 26〜60 | 2 |
| 61〜80 | 3 |
| 81〜100 | 4 |
| 101〜125 | 5 |
| 126〜150 | 6 |
例外もあります。見守り機器などを使う場合は、夜間の配置の数え方が変わります。厚生労働省の通知(2024年3月15日)は、3か月以上の試行と委員会での確認を条件にしています。その場合も夜勤職員は常時1人以上、従来型で利用者などが61人以上なら常時2人以上です。
同じ通知は、人数を1日単位で満たすとしています。ユニット型の特養や老健は、この表と数え方が違います。
夜勤ができる職員は、何人いれば足りますか?
下限は「毎晩の夜勤の人数 × 日数 ÷ 1人の月の上限回数」で出せます。定員80人の特養で毎晩3人、30日の月なら夜勤は90回です。施設の決まりが1人月5回までなら、夜勤ができる職員は18人以上要ります。
ただし割り算の下限は、ほかの条件を無視した数字です。夜勤の翌日は明け、その翌日は休みという並びや、常勤の月9日の休みが重なると、下限より多くの人が要ることもあります。そこで架空の特養「あおば苑」(定員80人・職員42人)の勤務表を、夜勤ができる人の数だけを変えて解き直しました。
| 夜勤ができる人(人) | 結果 | 1人の夜勤回数(回) | 夜勤回数の標準偏差 |
|---|---|---|---|
| 16 | 解なし | — | — |
| 17 | 解なし | — | — |
| 18 | 解けた | 全員5 | 0.00 |
| 20 | 解けた | 4〜5 | 0.50 |
| 22 | 解けた | 4〜5 | 0.29 |
| 24 | 解けた | 3〜4 | 0.43 |
この例では18人で解けました。各夜にリーダー1人以上という条件でも、リーダー6人×5回=30回でちょうど足ります。一方で全員が上限の5回なので、1人が休むとその月は組めなくなります。私が条件を決めるときは、下限に2〜3人の余裕を見るようにしています。
夜勤回数の偏りは、自動作成でどこまでそろいますか?
あおば苑の例では、夜勤ができる24人の夜勤回数が1人3〜4回にそろいました。公平さを目標から外した案では1〜5回と散らばっており、標準偏差は1.13から0.43まで下がっています。
公平さは「最多の人と最少の人の差を小さくする」という目標で入れました。標準偏差を直接小さくしてはいないため、23人で0.28、24人で0.43と、人数が増えても値が下がるとは限りません。希望休は165件中160件が通り、通らなかった5件は画面に一覧で出します。
夜勤の偏りは、職員の定着にも関わります。介護労働安定センターの令和7年度の調査は、2025年10月に行われ、8,955事業所が回答しました。職場の定着に効果があった方策では「休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり」が57.9%で最多でした。同じ調査で、従業員が不足していると答えた事業所は65.8%です。
夜勤の条件は、どう書き出せば自動作成に使えますか?
「必ず守る条件」と「できるだけ守る目標」に分けて、紙1枚に書き出します。あおば苑の例では、次の7つを必ず守る条件にしました。
- 毎晩の夜勤は3人、うちリーダー1人以上(告示の人数に施設の上乗せを足す)
- 夜勤の翌日は明け、その翌日は休み
- 夜勤は夜勤ができる人だけ、1人月5回まで
- 常勤の休みは月9日、パートは契約の日数どおり
- 連続の勤務は5日まで
- 遅番の翌日に早番を入れない
- パートは勤務できる時間帯の中だけ
休日は労働基準法35条により、毎週1回か4週間で4日以上が要ります。厚生労働省のシフト制の留意事項は、労働条件通知書にこの基準を満たす休日の考え方を書くよう求めています。希望休と夜勤回数のそろい具合は、目標として点数をつけて入れます。
# 毎晩3人、リーダー1人以上(solve.py の care_model から抜粋。月末の処理は省略)
for d in range(D):
m.Add(sum(x[s, d, '夜'] for s in staff) == 3)
m.Add(sum(x[s, d, '夜'] for s in leaders) >= 1)
for s in staff: # 夜勤の翌日は明け、その翌日は休み
m.Add(x[s, d + 1, '明'] == x[s, d, '夜'])
m.AddImplication(x[s, d, '夜'], x[s, d + 2, '休'])
計算は scripts/figs/fig_nursing_care_night_shift_roster.py で再現でき、1回あたり3〜13秒でした。限界は3つあります。データは架空で、前の月の最終日の夜勤は持ち越さず、加算の要件は条件に入れていません。届出や加算に当たるかどうかは、指定権者である都道府県や市に確かめてください。
組めない月や急な欠勤のときは、どうしますか?
組めない月は、どの条件がぶつかっているかを示し、どれを緩めるかを主任が決めます。あおば苑の例で夜勤ができる人を12人に減らすと、約1秒で「解なし」と返りました。12人×月5回は60回で、毎晩3人の90回に届かないためです。
このとき自動作成の側で、勝手に夜勤の人数を2人に減らすことはしません。夜勤を月6回まで認めるか、夜勤ができる職員を育てるか、派遣で補うかは施設の判断だからです。私が仕組みを作るときは、緩めてよい条件の順番を先に決めておいてもらいます。
月の途中で職員が休んだときは、決まった日の勤務を固定し、残りの日だけを解き直します。全部を作り直すと、ほかの職員の予定まで動いてしまうためです。確定したシフトを変えるのは労働条件の変更に当たるので、本人との合意の手順も別に決めておきます。
このサイトで相談するには?
介護施設の夜勤の人数と回数を、どこまで自動作成に任せられるか、無料で相談するからご相談いただけます。勤務表をお見せいただかなくても、職員数と施設の決まりをうかがえば目安をお答えします。手組みゼロのシフト作成の自動化は、一式30万円〜です。
よくある質問
- ユニット型の特養やグループホームも同じ人数ですか?
- いいえ。早見表は従来型の特養の式です。ユニット型や老健などは数え方が違うので、指定権者の資料で確かめてください。
- 見守り機器を入れると、夜勤の人数を減らせますか?
- 条件を満たせば基準の数え方が変わります。3か月以上の試行や委員会の開催などが要件で、常時1人以上(従来型で61人以上なら2人以上)は残ります。
- 夜勤の上限回数は法律で決まっていますか?
- 特養の夜勤の回数そのものの上限は、告示には書かれていません。月5回などは施設の決まりとして条件に入れます。
- 自動で作った勤務表をExcelで直せますか?
- はい。今のExcelと同じ形で書き出すので、主任が手で直せます。直した後に条件を満たしているかも数え直せます。
出典
- 厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準(平成12年厚生省告示第29号、制定時の告示文。福祉医療機構 WAM NET 掲載)(2026年10月16日確認)
- 厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1220「テクノロジーを導入する場合の夜間の人員配置基準における留意点について」(2024年3月15日)(2026年10月16日確認)
- 介護労働安定センター「令和7年度 介護労働実態調査 結果の概要」(2025年10月調査、事業所調査 回収8,955事業所)(2026年10月16日確認)
- 厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」(2026年10月16日確認)
- Google OR-Tools「Employee Scheduling」(CP-SAT ソルバーによる看護師の勤務の割り当ての例)(2026年10月16日確認)