中小企業のAI導入支援|カスハラ対応の記録と報告の仕組みづくりから

カスハラ報告ライン中小企業のAI導入支援|カスハラ対応の記録と報告の仕組みづくりからカスハラ対応の記録と報告の仕組みづくり 専門

コラムやり方

カスハラ対応マニュアルのひな形は?厚労省マニュアルの章立てと、報告・記録の仕組みとの対応

カスハラ対応マニュアルは、厚生労働省の企業マニュアル(令和8年度改訂版)の4章にある義務の10節を章立てにすると、指針の措置10項目と1対1でそろいます。カスハラ報告ラインが事案の台帳の14項目と対応させると、台帳で記録が残るのは10節のうち6節、付録のチェックシートでは企業向け21項目のうち10項目でした。残りは方針の文書・掲示・研修の記録で示します。(2026年10月時点)

全体の流れと費用はカスハラ対策の義務化ガイドのページにまとめています。

要点

  • 厚労省の企業マニュアル(令和8年度改訂版)の4.2.1〜4.6.2の10節は、指針の措置10項目と1対1で並んでいます。
  • 社内のマニュアルはこの10節を章にすると、指針のどの措置をどこに書いたかを説明しやすくなります。
  • 事案の台帳の14項目と対応させると、記録が残るのは10節のうち6節で、残る4節は文書・研修・閲覧の記録で示します(運営者の分類)。
  • 付録のチェックシートの企業向け21項目のうち、台帳と通知の記録で示しやすいのは10項目でした(運営者の分類)。
目次
  1. カスハラ対応マニュアルは、どんな章立てにすればよいですか?
  2. マニュアルの章と事案の台帳の項目の対応
  3. 厚労省のチェックシートのうち、記録で示せるのはどれですか?
  4. 東京都の奨励金の要件に合わせたマニュアルづくり
  5. 下書きの作り手と確かめる人
  6. このサイトで相談するには?
  7. よくある質問

カスハラ対応マニュアルは、どんな章立てにすればよいですか?

厚生労働省の企業マニュアル(令和8年度改訂版)の4章にある、義務の10節を章にするのが分かりやすい形です。4.2.1から4.6.2までの10節は、指針4⑴イから⑸ロの措置10項目と1対1で並んでいます。社内のマニュアルをこの順にすると、指針のどの措置をどこに書いたかを説明しやすくなります。

企業マニュアルは全業種向けの説明書で、そのまま配っても自社の窓口や連絡先は入りません。章立てを借りて、自社の決めごとを書き込みます。

章(企業マニュアルの節・紙面のページ) 指針 社内のマニュアルに書くこと
1 方針(4.2.1・p.20) 4⑴イ 毅然と対応し従業員を守る方針。トップの署名、周知した日と方法
2 カスハラの内容と対処(4.2.2・p.22) 4⑴ロ 判断の目安(内容4類型・態様5類型)、初期対応、電話を切る・退店を求める時間、本部との連携
3 相談窓口(4.3.1・p.35) 4⑵イ 窓口の担当者、連絡先、受ける時間帯と、その時間の外の受け手
4 担当者の対応(4.3.2・p.36) 4⑵ロ 相談を受けるときの留意点、研修
5 事実の確認(4.4.1・p.37) 4⑶イ 確かめる手順、聞き取り、録音・録画の確認、記録の項目
6 被害者への配慮(4.4.2・p.39) 4⑶ロ 担当の変更、複数での対応、メンタルヘルスの相談
7 再発防止(4.4.3・p.41) 4⑶ハ 事案の共有、方針の再周知、手順の見直し
8 悪質な事案への対処(4.5.1・p.43) 4⑷ 警察への通報、警告文、出入りの制限、弁護士への相談
9 プライバシー(4.6.1・p.44) 4⑸イ 記録を見られる人、共有のしかた
10 不利益な取扱いの禁止(4.6.2・p.44) 4⑸ロ 相談や協力を理由に不利益に扱わないこと

企業マニュアルのp.21には、トップの署名を付けた方針の例も載っています。章2の判断の目安は、カスハラと正当なクレームの線引きの記事で、指針の類型を流れ図にしています。

マニュアルの章と事案の台帳の項目の対応

台帳の14項目のどれかで記録が残るのは、10章のうち6章です。カスハラ報告ラインが、記録の項目の記事で決めた14項目と、上の10章を対応させました。分け方は運営者の設計で、措置を満たしたかどうかの判断ではありません。

章 対応する台帳の項目 台帳の外で残す記録
1 方針 なし 方針の文書、周知した日と方法
2 カスハラの内容と対処 5 要望の内容、6 言動、7 きっかけと経緯、8 回数と続いた時間、10 対応の結果 判断の目安と手順の文書
3 相談窓口 3 対応した従業員、9 現場監督者の指示 窓口の担当者と時間帯の表
4 担当者の対応 なし 研修を受けた人と日
5 事実の確認 1 日時、2 場所と手段、3 対応した従業員、4 顧客等の情報、11 録音・録画・目撃者、12 本人の受け止め —
6 被害者への配慮 13 被害者への配慮 —
7 再発防止 14 再発防止と共有先 再周知した日
8 悪質な事案への対処 10 対応の結果(通報・警告・出入りの制限) 対処の方針の文書
9 プライバシー なし 台帳を見られる人と、誰がいつ見たかの記録
10 不利益な取扱いの禁止 なし 就業規則などの規程と周知の記録

台帳で記録が残るのは章2・3・5・6・7・8の6章です。章1・4・9・10の4章は、文書・研修・閲覧の記録で示します。マニュアルの言葉と台帳の選択肢をそろえておくと、周知した手順のとおりに対応したかを、台帳の行で確かめられます。たとえば章2で「膠着してから30分で電話を切る」と決めたなら、台帳の項目8に続いた時間が残ります。

厚労省のチェックシートのうち、記録で示せるのはどれですか?

企業マニュアルの付録1にある企業向けのチェックシート21項目のうち、事案の台帳と通知の記録で「している」と示しやすいのは10項目でした。残る11項目は、方針の文書・掲示・研修の記録で示します。数えたのはカスハラ報告ラインで、分け方は運営者の読みです。

厚労省マニュアルのチェックシート(企業向け21項目)を、事案の台帳と通知の記録で示しやすい10項目と、文書・掲示・研修の記録で示す11項目に分けた横棒グラフ。③事案発生時の対応は6項目すべてが台帳で示しやすく、④悪質事案への備えは3項目すべてが文書で示すチェックシートの企業向け21項目は、台帳で示せるか(運営者の分類)厚労省 企業マニュアル(令和8年度改訂版)付録1。1目盛り=1項目。措置を満たしたかの判断ではない①方針の明確化と周知・啓発1/6②相談体制の整備2/4③事案発生時の対応6/6④悪質事案への備え0/3⑤プライバシー・不利益取扱い1/2台帳と通知の記録で示しやすい 計10文書・掲示・研修の記録で示す 計11
図1 チェックシートの企業向け21項目の分け方(運営者の分類)。濃い色が台帳と通知の記録で示しやすい項目です。
チェックシートの区分 項目数 台帳・通知で示しやすい 文書・掲示・研修で示す
①方針の明確化と周知・啓発 6 1(発生しやすい例の周知) 5
②相談体制の整備 4 2(関係部門との連携、微妙な場合も相談の対象) 2
③事案発生時の対応 6 6 0
④悪質事案への備え 3 0 3
⑤プライバシーの保護・不利益取扱いの禁止 2 1(プライバシー) 1
計 21 10 11

③の6項目は、事実の確認・聞き取りと録音の確認・個人情報の扱い・被害者への措置・配置転換などの支援・再発防止の見直しです。どれも、事案ごとに「何をしたか」が残っていないと示せません。①の「発生しやすい例の周知」を台帳の側に入れたのは、店舗別・類型別の件数があれば、周知する例を自社の事案から選べるからです。

逆に、マニュアルの文書だけで③を示すことはできません。手順を書いても、実際の事案でその手順を踏んだかは、記録がなければ分からないからです。

東京都の奨励金の要件に合わせたマニュアルづくり

東京都の企業向け奨励金(第2回、40万円)は、カスハラ対策のマニュアルの作成または改定を必須としています。特設サイトの支給要件では、募集要項の必須項目をすべて含むこと、章立てだけのものは認めないこと、東京都の条例に触れることが求められています。

あわせて、録音・録画の環境、AIを使ったシステム、外部人材のいずれか1つを入れます。申請の受付(事前エントリー)は2026年10月23日〜11月6日で、取組の期限も11月6日です。

審査があり、件数を超えると抽選になるため、使える前提で費用を組まないでください。都内の常時雇用300人以下の中小企業等が対象です。条例と法律の違いは東京都の条例と法改正の違いの記事にまとめています。

下書きの作り手と確かめる人

私がマニュアルの下書きを作るときは、上の10章のひな形に、御社の窓口・連絡先・時間帯・対処の時間を入れたものをAIで用意します。中身を決めるのは御社です。不利益取扱いの禁止の書き方は社会保険労務士に、出入りの制限や警告文は弁護士に確かめてから周知してください。

章ごとに、見出しの横へ指針の番号(4⑴イなど)を書いておくと、労働局から報告を求められたときに、どの措置をどこに書いたかをすぐ示せます(法第45条第1項)。東京都の事業者は、都が公開している各団体共通マニュアルのひな形(Word)を土台にする方法もあります(東京都の条例Q&A)。

下書きの段階では、実際の事案の中身は要りません。架空の事案で台帳の項目と言葉をそろえ、周知した手順と台帳の選択肢が同じ言葉になっているかを確かめます。

このサイトで相談するには?

マニュアルの章立てと、報告フォーム・事案の台帳の項目をそろえる作業は、カスハラ報告ラインの相談で一緒に進められます(無料で相談する)。何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。準備は要りません。

よくある質問

カスハラ対応マニュアルは、作らないといけませんか?
法律はマニュアルという名前の文書を求めてはいません。指針の措置として、方針と対処の内容を定めて周知することが要り、それを1冊にまとめたものがマニュアルです。
厚労省のマニュアルをそのまま社内に配ってもよいですか?
全業種向けの説明なので、そのままでは自社の窓口・連絡先・対応時間が入りません。章立てを借り、自社の決めごとを書き込む形にします。
マニュアルを作ったら、措置義務を満たせますか?
マニュアルだけでは示せない措置があります。事実の確認・被害者への配慮・再発防止は、事案ごとの記録で示します。満たしたかの判断は御社と専門家が行います。
AIでマニュアルの下書きを作ってもよいですか?
下書きには使えます。自社の窓口・時間・連絡先を入れ、社会保険労務士や弁護士の確認を通してから周知してください。事案の中身を無料版のAIに貼らないでください。

出典と数字の作り方

  1. 厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」(2026-09-08 更新)目次・4章・付録1(2026年10月16日確認)
  2. 厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和8年厚生労働省告示第51号)4⑴〜⑸(2026年10月16日確認)
  3. 東京都 令和8年度 カスタマーハラスメント防止対策推進事業 企業向け奨励金 第2回募集(2026-09-08)(2026年10月16日確認)
  4. 東京都 産業労働局「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例 Q&A」(2025-03-28)(2026年10月16日確認)
  5. 東京しごと財団 カスタマーハラスメント防止対策推進事業 企業向け奨励金 支給要件(2026年10月16日確認)
  6. カスハラ報告ラインの分類(2026年10月16日。マニュアルの10節と台帳の14項目、チェックシート21項目を対応させた。分け方は本文の表のとおり)(2026年10月16日確認)