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労務費の基準と工期の禁止に、出面の記録でどう備える?単価×人工の計算例と工期の積み上げ表

労務費の基準と工期の禁止に、出面の記録でどう備える?(記事の表紙)

労務費の基準に備えるには、現場ごとの出面(人工)と作業内容を毎日記録し、見積書の労務費を「公共工事設計労務単価×人工」で示せるようにします。2025年12月12日の改正建設業法の全面施行で、材料費等記載見積書の作成が努力義務になり、受注者側の原価割れ契約と著しく短い工期の契約も禁止されました。架空の150㎡の内装改修を試算すると、労務費は131万4,514円、工程の日数は23稼働日でした(現場のまど の試算)。(2026年10月時点)

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要点

  • 2025年12月12日から、受注者も原価割れの契約と著しく短い工期の契約を結べなくなりました(建設業法第19条の3・第19条の5)。
  • 見積書には材料費・労務費などの内訳と、工程ごとの作業と準備の日数を書くよう努めます(建設業法第20条第1項)。
  • 架空の150㎡の内装改修では、大工34人工・普通作業員12人工に2026年3月の全国平均単価を掛けて、労務費131万4,514円です。
  • 過去3現場の出面から歩掛を出すと、工程の日数は23稼働日になり、15日の工期を示されたときの説明に使えます。
目次
  1. 2025年12月の全面施行で、下請の見積書と工期の何が変わった?
  2. 見積書の労務費欄は、出面の人工からどう計算する?
  3. 「著しく短い工期」と言われないために、日数の根拠はどう作る?
  4. 出面と日報に、何を書いておけば根拠になる?
  5. この計算の限界と、専門家に確かめる場面は?
  6. 現場のまどで相談するには?
  7. よくある質問

2025年12月の全面施行で、下請の見積書と工期の何が変わった?

2025年12月12日に改正建設業法が全面施行されました。受注する側の工事会社にも、原価割れの契約と著しく短い工期の契約が禁止されています。見積書には、材料費・労務費などの内訳と、工程ごとの作業と準備に必要な日数を書くよう努めることになりました。

国土交通省の通知(2025年12月10日)によると、これまで禁止されていたのは注文者の側だけでした。今回からは、下請の工事会社が自分から安く・短く引き受けることも、条文で禁止されています。原価割れの禁止は、施行日以降に結んだ契約から適用されます。

ただし第19条の3第2項には除外があり、自社が持っている安い資材を使えるなど、国土交通省令で定める正当な理由があれば当てはまりません。工期のほう(第19条の5第2項)には、こうした除外の文言はありません。

出面(でづら)は、その日に現場へ入った人数の記録です。条文と、出面で示せる根拠を並べると次のとおりです。条文はe-Gov法令検索で2026年10月16日に確かめました。

建設業法の規定 受注者に求められること 出面・日報で示せる根拠
第19条の3第2項 通常必要な原価に満たない金額で契約しない(自社が持つ安い資材を使えるなど、国土交通省令で定める正当な理由がある場合を除く) 人工×単価で出した労務費
第19条の5第2項 通常必要な期間より著しく短い工期で契約しない 工程ごとの人工と日数
第20条第1項 内訳と工程ごとの日数を書いた見積書を作るよう努める 職種ごとの人工、工程の日数
第20条第2項・第4項 著しく低い労務費で見積もらない。請求されたら契約までに交付 単価と歩掛の出どころ

見積書の労務費欄は、出面の人工からどう計算する?

労務費は「公共工事設計労務単価×人工」で出します。人工(にんく)は1人が1日働いた量で、出面の記録を工程ごとに足すと分かります。国土交通省の通知は、専門工事業者が必要な人工を把握し、労務単価と歩掛も示すことが望ましいとしています。歩掛(ぶがかり)は、施工量あたりの人工です。

単価は、国土交通省が2026年2月17日に発表した2026年3月からの公共工事設計労務単価です。全国平均で大工30,331円、普通作業員23,605円で、所定労働時間内8時間あたりの額です。架空の150㎡の内装改修で計算すると、労務費は131万4,514円になりました(計算値)。

職種 人工 単価(円/人日) 労務費(円)
大工 34 30,331 1,031,254
普通作業員 12 23,605 283,260
合計 46 ― 1,314,514
架空の150㎡の内装改修の労務費を工程別に比べた横棒グラフ。造作 大工19人工で576,289円、下地 大工15人工で454,965円、解体 普通作業員8人工で188,840円、片付け4人工で94,420円
図1 工程別の労務費(計算値)。人工は過去3現場の出面から出した値で、現場と面積は架空の例です。

計算は scripts/figs/labor_cost_records.py で再現できます。要点は次の数行です。

bugakari = man / total_area * 100            # 過去の出面から歩掛(人工/100㎡)
need = half_up(bugakari * NEW_AREA / 100)    # 次の現場の人工(0.5人工きざみで切り上げ)
cost = int(need * RATE[job])                 # 労務費 = 単価 × 人工
days = math.ceil(need / crew)                # 工程の日数 = 人工 ÷ 入れる人数

「著しく短い工期」と言われないために、日数の根拠はどう作る?

過去の似た現場の出面から自社の歩掛を出し、次の現場の人工を入れる人数で割って、工程ごとの日数を積み上げます。建設業法第20条第1項が見積書に求める「工程ごとの作業及びその準備に必要な日数」は、この積み上げで書けます。

架空の内装改修3現場(80㎡・100㎡・120㎡)の出面から計算すると、150㎡の現場は合計23稼働日です。週休2日で数えると暦日で31日です。注文者から15日の工期を示されたら、8日足りない理由を工程ごとに説明できます。

工程 職種 過去3現場の歩掛(人工/100㎡) 150㎡の人工 人数 日数
解体・撤去 普通作業員 5.0〜5.6 8 3 3
下地 大工 9.4〜10.5 15 2 8
造作 大工 12.5〜13.0 19 2 10
片付け・清掃 普通作業員 2.5〜3.0 4 2 2
架空の150㎡の内装改修の工程を積み上げた横棒の工程図。解体3日・下地8日・造作10日・片付け2日の合計23稼働日で、示された工期15日を8日上回る
図2 過去の出面から積み上げた工程の日数(計算値)。天候や材料の納期の余裕は入れていません。

国土交通省の通知は、工期を決めるときに週休2日などの休日や猛暑日の不稼働を考慮するよう求めています。積み上げた稼働日に、休日と雨の日の余裕を足して工期の案にします。

出面と日報に、何を書いておけば根拠になる?

日付と現場名、職種ごとの人数、その日の作業内容(工程名)、施工した量の4つです。この4つがそろうと、見積書の職種ごとの人工、労務費、歩掛、工程ごとの日数がすべて記録から出せます。

出面と日報の4項目と見積書で示す根拠の対応図。職種ごとの人数から人工・労務費・歩掛へ、日付と作業内容から工程ごとの日数へ、施工した量から歩掛へ矢印がつながる
図3 現場で残す記録と、見積書で示す根拠の対応。建設業法第20条第1項と国土交通省の通知(2025年12月10日)をもとに作成しました。

多くの出面表は、人数は残っていても作業内容と施工量が抜けています。人数だけでは、どの工程に何人工かかったか分かりません。職人が日報で工程名と量を選ぶだけにしておけば、書く手間は増えません。

見積書のほうにも保存の決まりがあります。国土交通省の通知によると、内訳を書いた当初と最終の見積書は、目的物の引渡しから10年間の保存が義務になりました。見積書の内容の打合せ記録も、10年間保存します。

この計算の限界と、専門家に確かめる場面は?

ここでの計算は、全国平均の単価と架空の現場で仕組みを示したものです。実際の見積書では、現場のある都道府県の単価を使います。設計労務単価には、法定福利費の事業主負担分や時間外の割増賃金が含まれていないので、別の欄に書きます。

自社の歩掛にも注意が要ります。国土交通省の通知によると、不当に効率の良い歩掛で労務費を見積もると、建設業法第20条第2項の違反になりえます。腕のいい班が担当した速い現場だけで歩掛を出さず、複数の現場の合計から出します。

次の場面では、専門家や役所に確かめてください。

  1. 見積書の様式や法定福利費の書き方は、専門工事業団体の標準見積書と、国土交通省の書き方ガイド(運用編、2026年3月26日公表)で確かめる
  2. 示された金額や工期が違反にあたるかは、建設業の許可行政庁か、国土交通省の駆け込みホットラインに相談する
  3. 契約書の条項の読み方は、顧問の弁護士か行政書士に確かめる

現場のまどで相談するには?

出面と日報の記録を、見積書の人工と日数へそのまま使える形にしたい、という段階のご相談でも構いません。

何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。準備は要りません。御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。現場のまどの無料で相談するからお送りください。

よくある質問

元請から労務費の内訳を求められたら、出さないといけませんか?
はい。注文者から請求があれば、契約が成立するまでに材料費等記載見積書を交付しなければなりません(建設業法第20条第4項)。
公共工事設計労務単価は、民間工事の見積にも使ってよいのですか?
はい。国土交通省は、公共・民間を問わず、適正な労務費を計算する基礎の水準として位置づけています。都道府県別の値を使います。
見積書はいつまで保存しますか?
目的物の引渡しから10年間です。国土交通省の通知は、当初見積書と最終見積書、内容の打合せ記録の保存を求めています。
法定福利費は、労務費に含めて書けばよいですか?
いいえ。設計労務単価に事業主負担分の法定福利費は含まれていないので、見積書では別の欄に書きます。

出典

  1. 国土交通省「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律の全面施行について(通知)」(2025-12-10、国不建第128号ほか)(2026年10月16日確認)
  2. e-Gov 法令検索「建設業法」第19条の3・第19条の5・第20条(2025-12-12 施行の版)(2026年10月16日確認)
  3. 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」(2026-02-17 発表、大工 30,331円・普通作業員 23,605円ほか全国平均値)(2026年10月16日確認)
  4. 国土交通省「建設工事の見積書様式例 徹底 書き方ガイド(運用編)」の公表(2026-03-26 発表)(2026年10月16日確認)
  5. 現場のまど 労務費と工程の日数の計算と図のスクリプト(scripts/figs/labor_cost_records.py、過去3現場と150㎡の現場は架空の例)、2026-10-16(2026年10月16日確認)