職人の手待ち1日は、いくらの損失になるのか?公共工事設計労務単価14年の推移から計算した

職人の手待ちとは、手配の行き違いや段取りの遅れで、現場に来た職人が作業できずに待つことです。計算式は「1日の単価×人数×日数」で、単価は自社で払っている日当に入れ替えられます。目安として2026年3月から適用の公共工事設計労務単価を使うと、1人1日の損失は全職種の加重平均で25,834円、主な職種では普通作業員の23,605円から型わく工の31,671円までです。単価は平成24年度の13,072円から1.98倍になり、手配の空振り1回の重みもほぼ倍になりました。(2026年10月時点)
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要点
- 職人1人の手待ち1日の損失は、目安として2026年3月の公共工事設計労務単価を使うと、全職種の加重平均で25,834円です。単価は自社の日当に入れ替えて計算できます。
- 全職種の加重平均は25,834円で、平成24年度の13,072円の1.98倍になりました(国土交通省、計算値)。
- 3人の班が月に2回手待ちになると、1年で約186万円になります(全職種の加重平均で計算)。
- 民間の常用の日当は労務単価より低いこともあり、請負の協力会社なら手待ちを元請が直接負担しないこともあるので、金額は目安です。
目次
職人の手待ち1日は、いくらの損失になりますか?
計算式は「1日の単価×人数×日数」です。単価には、常用で払っている自社の日当を入れるのがいちばん確かです。日当が手元にないときの目安として、国土交通省が2026年3月から適用している公共工事設計労務単価を1日の損失とみなすと、職人1人の手待ち1日は全職種の加重平均で25,834円です。主な職種では、型わく工の31,671円が高く、普通作業員の23,605円が低い側です。
公共工事設計労務単価は、公共工事の予定価格を積算するときに使う、職種ごとの職人の賃金の単価です。農林水産省と国土交通省が、施工中の工事10,031件で働く技能者85,670人の賃金台帳を調べて決めています(2025年10月調査)。1日は所定労働時間内の8時間です。
| 職種 | 単価(円/日) | 1人が1日待った損失(円) | 3人が1日待った損失(円) |
|---|---|---|---|
| 型わく工 | 31,671 | 31,671 | 95,013 |
| 鉄筋工 | 31,267 | 31,267 | 93,801 |
| とび工 | 30,780 | 30,780 | 92,340 |
| 大工 | 30,331 | 30,331 | 90,993 |
| 普通作業員 | 23,605 | 23,605 | 70,815 |
| 全職種の加重平均 | 25,834 | 25,834 | 77,502 |
鉄筋や型わくの班が3人で空振りすると、1日で9万円を超えます。
公共工事設計労務単価は、14年でどれだけ上がりましたか?
全職種の加重平均は、平成24年度の13,072円から令和8年3月の25,834円まで、1.98倍になりました。国土交通省の資料2の数字から計算した値で、差は1日12,762円です。平成25年度の改定から14年続けて上がっています。
国土交通省が公表している伸び率は単純平均で、平成24年度比+94.1%です。加重平均の倍率と少しずれるのは、平均の取り方が違うためです。平成25年度には、法定福利費に当たる額を単価に加える算出方法の変更があり、この年だけ+15.1%と大きく上がりました。
手待ちの損失で見ると、同じ1日の空振りが、平成24年度の単価なら13,072円、今の単価なら25,834円です。段取りのやり方が10年前と同じでも、行き違い1回あたりの金額は倍に近づいています。
手待ちが月に何回かあると、1年でいくらになりますか?
3人の班で月2回の手待ちが起きると、全職種の加重平均で1年に約186万円です。式は「単価 × 人数 × 月の回数 × 12か月」で、25,834円 × 3人 × 2回 × 12か月 = 1,860,048円になります。平成24年度の単価13,072円で同じ計算をすると941,184円でした。
図と表は、scripts/figs/idle_loss.py で作りました。要点は次の数行です。
def loss(unit, people=1, days=1):
"""単価 × 人数 × 日数。必要経費分・割増賃金・工期の遅れは含まない"""
return unit * people * days
loss(25834, 3, 2 * 12) # 3人 × 月2回 × 12か月 → 1,860,048円
月の回数と人数は、私が置いた仮の条件です。手待ちが何回起きているかを数えた公的な統計は、見つかりませんでした。自社の回数を当てはめれば、同じ式で1年分が出ます。
丸1日でなくても損失は出ます。単価を8時間で割ると、全職種の加重平均で1時間3,229円です(計算値)。朝の段取り待ちで5人が1時間止まれば、それだけで約1万6千円になります。
労務単価で計算した手待ちの損失は、どこまで当てになりますか?
この計算は目安です。常用で払っている日当で置き換えて計算してください。民間工事の常用の日当は、労務単価より低いこともあります。協力会社と請負(出来高)で契約しているなら、手待ちの日の費用を元請が直接払わず、協力会社の側がかぶっていることもあります。その場合、元請の損失は日当ではなく、工期の遅れや次の手配の組み直しとして出ます。
一方で、単価に入っていないものもあります。事業主が負担すべき必要経費分は、公共工事設計労務単価に含まれません。国土交通省の資料が、単価に含まれないものとして挙げている主なものは、次のとおりです。
- 法定福利費の事業主負担分
- 研修訓練の費用
- 現場管理費・一般管理費などの諸経費
- 時間外・休日・深夜の割増賃金
もう1つ入っていないのが、工期への響きです。手待ちの1日で作業が後ろへずれると、次の工程の職人や重機の手配も組み直しになります。その分の損失は現場ごとに違うので、この記事では金額にしていません。
払う側の決まりも確かめておきます。自社で雇う職人を、会社の手配ミスで休ませた場合は、労働基準法第26条により平均賃金の60%以上の休業手当が要ります。協力会社への支払いは、請負契約の取り決めによります。手待ちの扱いを契約に書くときは、顧問の社会保険労務士や弁護士に確かめてください。
手配の空振りを減らすには、何から記録すればよいですか?
まず、手待ちが起きた日・人数・時間・理由を4週間記録します。数がわかれば、上の式で自社の1年分の損失が出せます。理由は「前日の連絡の行き違い」「材料の未着」「前の工程の遅れ」「天候」くらいに分けると、手の打ちどころが見えます。
連絡の行き違いが多い会社は、手配の情報が電話とホワイトボードに分かれていることが多いです。私が現場の仕組みを作るときは、職人の割り振りと前日の連絡を1つの画面にまとめます。協力会社はアカウントを作らず、リンクから確認する形です。移し方はホワイトボードの職人手配をアプリに移す手順で説明しています。
手待ちの記録そのものも、職人がリンクから日報で入れられます。アカウントなしで日報を出せる仕組みで、入力の流れを説明しています。
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現場のまどで相談するには?
手待ちの損失を自社の数字で出してみたい段階でも構いません。何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。
準備は要りません。無料で相談するからお声がけください。
よくある質問
- 手待ちが半日で済んだ場合の損失は、どう計算しますか?
- 単価を8で割って時間をかけます。全職種の加重平均25,834円なら1時間3,229円(計算値)で、4時間の手待ちは約1万3千円です。
- 自社で雇う職人を、手配ミスで帰らせたら給料は要りますか?
- 会社の責任による休業なら、労働基準法第26条で平均賃金の60%以上の休業手当が要ります。個別の判断は社会保険労務士に確かめてください。
- 民間工事でも、公共工事設計労務単価で計算してよいですか?
- 目安としては使えます。中央建設業審議会の「労務費に関する基準」で、この単価は民間工事も含めた適正な労務費の計算の基礎とされています(国土交通省の資料)。
- 自社の職人の日当で計算し直してもよいですか?
- はい。単価の欄を自社の日当に変えるだけで、同じ式で計算できます。日当に社会保険料などの会社負担を足すと実際に近づきます。

