単価改定はいつの受注から?販売管理の適用日を受注日・出荷日・締め日で比べた

販売管理での単価改定の適用日は、受注日・出荷日・請求締め日のどれを「単価の基準日」にするかで決まり、改定日をまたぐ伝票の単価が変わります。商いの帳場が架空の受注300件(656行)で数えると、新単価になる行は受注日基準で0行、出荷日基準で147行、締め日基準で394行でした。単価マスタに適用開始日を持たせ、基準日を1つに決めて得意先に伝えるのが要点です(2026年10月時点)。
全体の流れと費用は販売管理の基礎のページにまとめています。
要点
- 単価改定の適用日は、受注日・出荷日・請求締め日のどれを基準日にするかで、改定日をまたぐ伝票の単価が変わります。
- 架空の受注300件(656行)では、新単価になる行が受注日基準0行、出荷日基準147行、締め日基準394行でした。
- 締め日基準では、改定日より前に出荷した247行まで新単価になり、納品書と請求書の単価がずれます。
- 単価マスタは上書きせず適用開始日つきで1行足し、受注明細に決めた単価と基準日を書き込んで残します。
目次
単価改定の適用日は、受注日・出荷日・締め日のどれで決めますか?
適用日は、伝票のどの日付を「単価の基準日」にするかで決まります。受注日・出荷日・請求締め日のどれを選ぶかで、改定日の前に受けて改定日のあとに出荷する注文の単価が変わります。
たとえば11月1日に単価を1,000円から1,050円へ上げるとします。10月28日に受けて11月2日に出荷し、11月20日に締める明細を考えます。受注日基準なら1,000円、出荷日基準と締め日基準なら1,050円です。
3つの基準日は、どの書類と単価が合うかで性格が分かれます。
| 基準日 | 単価が決まる時点 | 合う書類 | ずれやすい所 |
|---|---|---|---|
| 受注日 | 注文を受けたとき | 注文請書・受注の控え | 改定後の出荷でも旧単価 |
| 出荷日 | 品物を出したとき | 納品書 | 1つの注文で単価が2つになる分納 |
| 請求締め日 | 締めて請求するとき | 請求書 | 改定前に届けた品まで新単価 |
メーカー各社の価格改定の案内には、「○月○日出荷分より」と出荷日で書くものがあります。1通の中で、在庫の部材は「出荷分より」、指定色の塗装は「受注分より」と分ける書き方もあります。
基準日によって、新単価になる行と売上はどれだけ変わりますか?
架空の受注300件(656行)では、新単価になる行は受注日基準0行、出荷日基準147行、締め日基準394行でした。改定前の単価での売上3,058万493円に対して、出荷日基準は+326,071円(1.07%)、締め日基準は+847,976円(2.77%)です。
条件は、改定日を2026年11月1日、全商品+5%とし、受注日を10月15日〜30日の営業日に置いたものです。得意先は80社で、締め日は15日17社・20日30社・末日33社。出荷は受注の当日から、土日・祝日を除いて10日後までの間に置き、2行以上の受注の1割は後ろ半分を遅らせて分納にしました。
| 基準日 | 新単価の行 | 受注の数 | 売上の差 | ずれる行 |
|---|---|---|---|---|
| 受注日 | 0行 | 0件 | 0円 | 11月以後に旧単価で出荷 147行 |
| 出荷日 | 147行 | 71件 | +326,071円 | 単価が2つある受注 15件 |
| 請求締め日 | 394行 | 181件 | +847,976円 | 10月に出荷して新単価 247行 |
計算の台本はprice_revision_effective_date.pyで、要点は次の数行です。
REV = date(2026, 11, 1)
for base in ("od", "sd", "cd"): # 受注日・出荷日・請求締め日
new = [l for l in lines if l[base] >= REV]
diff = sum((l["new"] - l["old"]) * l["qty"] for l in new)
数字は架空の条件での計算です。出荷までの日数が長い会社ほど、出荷日基準と受注日基準の差は大きくなります。
どの基準日を選べばよいですか?
在庫から出す品は出荷日基準、受けてから仕入れたり作ったりする品は受注日基準が、得意先に説明しやすい選び方です。請求締め日基準は、改定日より前に届けた品まで新単価になるので、商いの帳場では選ばない前提で設計します。
架空の300件の締め日基準では、10月に出荷した247行が新単価になりました。10月中に届いた納品書は1,000円なのに、11月20日の請求書は1,050円という食い違いが起きます。得意先の検収と合わず、問い合わせが増えやすい形です。
締め日の種類も効きます。末日締めの得意先の249行では、新単価になる行が出荷日基準と締め日基準のどちらも48行でした。15日締めの135行は30行と129行に、20日締めの272行は69行と217行に分かれます(出荷日基準と締め日基準の順)。改定日を月の1日にすれば、末日締めの得意先では2つの基準の差が消えます。
単価マスタに適用開始日を持たせるには、どう設計しますか?
単価マスタの行を書き換えず、改定のたびに「適用開始日」をつけた行を1行足します。受注画面は、基準日以前に始まった行のうち、いちばん新しい行の単価を引きます。
-- 基準日(:d)以前に始まった行のうち、いちばん新しい単価
select price from price_master
where customer = :c and product = :p and valid_from <= :d
order by valid_from desc limit 1;
受注明細には、引いた単価と単価の基準日、引いたマスタの行を書き込んで残します。あとでマスタを直しても、出した伝票の単価は動きません。
出荷日基準にするなら、受注のときに仮の単価を入れ、出荷を確定する画面で引き直します。分納は出荷の単位で単価を決めるので、受注残の持ち方は分納と受注残の設計とそろえます。得意先別単価を掛け率で持つ場合は、得意先別単価の持ち方3通りのとおり、掛け率と特値の両方に適用開始日をつけます。
単価改定を得意先に伝えるとき、何を書けばよいですか?
案内には、改定日と基準日をひとまとめに「11月1日出荷分より」のように書きます。「11月1日より」だけでは、10月に受けた注文の扱いが得意先ごとの受け取り方に任されてしまいます。
案内に入れておきたいのは、次の4つです。
- 改定日と基準日(「受注分より」か「出荷分より」か)
- 改定日の前に受けて、あとで出荷する注文の単価
- 分納の残りの単価
- 有効期限の中にある見積書の扱い
文例にすると「11月1日出荷分より、別紙の単価に改めます。10月31日までにお受けしたご注文でも、11月1日以後の出荷分は新しい単価となります」のようになります。2と3を書いておくと、10月中に急ぎの注文が集まったときも、どちらの単価で出すかで迷いません。
見積の単価の決め方は見積帳場の分野で扱っています。値上げの交渉そのもの(仕入値の上昇をどう示すか)は、この記事では扱いません。
適用開始日つきの単価を、御社の帳票のまま作る
商いの帳場では、適用開始日つきの単価マスタと、決めた基準日で単価を引く受注画面を、いまお使いの帳票と同じ形で作ります。
何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。準備は要りません。無料で相談するからお送りください。
よくある質問
- 得意先ごとに基準日を変えてもよいですか?
- 変えられます。得意先マスタに基準日の区分を持たせれば、受注画面が得意先ごとに単価を引き分けます。ただし確認の手間が増えるので、例外の得意先だけにします。
- 改定日より前に受けた注文を、新単価で出荷してよいですか?
- 得意先が了承していれば出せます。受注のときに伝えた単価で決まったと受け取られやすいので、出荷日基準にするなら案内に「出荷分より」と書いて先に伝えます。
出典
- 商いの帳場の計算(2026年10月16日実行、架空の受注300件・656行、乱数の種 20261016。/sales-management-app/scripts/price_revision_effective_date.py、Python 3.14.2)(2026年10月16日確認)
- メーカー各社の価格改定の案内(例。改定日を「出荷分より」「受注分より」のように書き分けている)。本文の数字は自作の架空例のみ(2026年10月16日確認)


