派遣・警備の勤怠と請求はどう連携する?同じ実績を写す回数を業務フロー図で数える
勤怠と請求の連携とは、現場で最初に記録した勤務の実績を、給与と取引先への請求に打ち直さずに使うことです。運営者が描いた典型の流れでは、同じ実績を警備で4回、派遣で5回写し直しています。30現場・1回10分(仮の値)で計算すると、転記だけで月20〜25時間です。現場コードと取引先別の単価表を1か所に持てば、写すのは最初の1回にできます。人まわし帳の運営者の計算です(2026年10月時点)。
全体の流れと費用は派遣・警備・清掃の人材管理ガイドのページにまとめています。
要点
- 勤務の実績は、典型の流れで警備4回・派遣5回・清掃4回、勤怠表や請求書へ写し直されています(運営者のモデル)。
- 30現場・1回10分(仮の値)で計算すると、転記の時間は警備と清掃で月20時間、派遣で月25時間です。
- 派遣料金の平均は8時間換算で26,257円(厚労省、令和6年度)。1時間の書き漏れは約3,282円の請求漏れです。
- 現場コードと取引先別の単価表を1か所に持てば、写すのは最初の1回にでき、確かめる時間だけが残ります。
目次
勤怠から請求まで、同じ勤務の実績は何回写されていますか?
運営者が描いた典型の流れでは、最初の記録のあとに、警備で4回、派遣で5回、清掃で4回、同じ実績が写し直されています。人まわし帳では、この写し直しを「転記」と呼び、1つずつ数えてから仕組みを考えます。
数えたのは、人が紙や画面を見て、別の表やソフトに打ち直す箇所です。業種ごとの最初の記録と写し先は次のとおりで、勤怠表・給与ソフト・請求書の3つは、どの業種にもあります。
| 業種(モデル) | 最初の記録 | 写し先 | 転記の回数 |
|---|---|---|---|
| 警備(交通誘導・請負) | 上下番の電話を管制が書く | 勤怠表、給与ソフト、現場別の請求明細、請求書 | 4回 |
| 派遣(登録型) | 派遣先が承認したタイムシート | 勤怠集計、給与ソフト、派遣元管理台帳、取引先別の請求明細、請求書 | 5回 |
| 清掃(ビル清掃) | 現場の紙の出勤簿 | 勤怠表、給与ソフト、現場別の集計表、追加作業の請求書 | 4回 |
写し先の数は会社によって増減します。自社の流れは、紙とファイルの名前を左から並べ、打ち直す矢印に番号を振ると数えられます。
派遣の勤務の実績は、どこから届き、どこへ写す決まりがありますか?
派遣では、勤務の実績は派遣先から届きます。派遣先は月1回以上、一定の期日を決めて、派遣元に通知する決まりです(労働者派遣法第42条第3項、施行規則第38条)。通知するのは、就業した日・始業と終業の時刻・休憩・業務の種類などです。この通知が、派遣元にとっての最初の記録になります。
派遣元は、同じ就業日と時刻を派遣元管理台帳にも書き、派遣が終わった日から3年保存します(同法第37条)。給与と請求のほかに台帳への写しが1回増えるため、派遣は転記が5回になります。通知の書式は取引先ごとに違うことがあります。紙・PDF・Excelが混ざると、勤怠集計に写す手間はさらに増えます。
警備はこの形になりません。警備業法の警備業務は、労働者派遣が禁じられています(同法第4条第1項第3号、警備業法第2条第1項各号の業務)。隊員は自社で雇って請負で現場に出し、取引先には請負の請求書を出します。警備と派遣の両方を営む会社は、同じ社内で請負と派遣の2つの請求書の形を使い分けます。
転記に、月に何時間かかっていますか?
30現場・1現場1回10分で計算すると、転記は警備と清掃で月20時間、派遣で月25時間です。10分は運営者が置いた仮の値で、統計ではありません。式は計算機と同じで、計算は scripts/figs/kintai_seikyu.py で再現できます。
# 月の転記の時間(時間)
def hours(S, f, tm=10, k=1):
# S:現場数 f:転記の回数 tm:1現場・1回の分数 k:月の締め回数
return S * f * tm * k / 60
hours(30, 5) # 派遣の例 → 25.0
現場の数を変えると、時間は比例して増えます。写すのを最初の1回にした後も、出力を見て確かめる1回分は残るとしています。
| 業種 | 10現場(時間/月) | 30現場(時間/月) | 60現場(時間/月) | 最初の1回にした後・30現場(時間/月) |
|---|---|---|---|---|
| 警備 | 6.7 | 20.0 | 40.0 | 5.0 |
| 派遣 | 8.3 | 25.0 | 50.0 | 5.0 |
| 清掃 | 6.7 | 20.0 | 40.0 | 5.0 |
取引先の締め日が20日と末日に分かれていれば、請求の側の転記は月2回になります。1回の分数も、手書きの量や現場の人数で変わります。
請求書の写し間違いは、どこで起きやすいですか?
請求の側で間違いやすいのは、取引先ごとに違う単価と締め日を、写すたびに人が当てはめる所です。勤怠表の時間は合っていても、残業の単価や交通費の扱いを取り違えると請求額がずれます。
厚生労働省の令和6年度の集計では、派遣料金の平均は8時間換算で26,257円(消費税込み)でした。8で割ると1時間あたり約3,282円で、1時間分の書き漏れがこの額の請求漏れに当たります(運営者の割り算)。取引先別の単価表には、少なくとも次の項目を持たせます。
| 単価表の項目 | 写すときに起きやすいずれ |
|---|---|
| 基本の単価 | 現場の取り違えで、別の取引先の単価を使う |
| 残業の単価 | 何時間からを残業とするかを取り違える |
| 深夜・休日の単価 | 日をまたぐ勤務で日付を取り違える |
| 交通費の扱い | 実費か単価込みかを取り違える |
| 締め日 | 締め日をまたいだ勤務を前後の月に二重に載せる |
給与の側の割増や控除の計算は、この記事では扱いません。
写すのを最初の1回にするには、何を1か所に持てばよいですか?
勤務の実績に現場コードを付け、現場マスタと取引先別の単価表を同じ所に持てば、写すのは最初の1回にできます。現場コードから取引先と単価を引き当てられるので、給与のCSVと請求書は、どちらも実績から出力できます。
1か所といっても、大きなシステムである必要はありません。共有のスプレッドシートでも、勤務の実績を1人1日1行で持ち、どの行にも現場コードが入っていれば足ります。逆に、現場名を手で書く欄が残っていると、表記のゆれで単価を引き当てられません。その分は人が直すことになります。
私が仕組みを作るときは、まず現場コードの一覧と単価表を今のExcelから作ります。そのうえで、最初の記録をスマホの上下番や打刻に替えます。給与ソフトと会計ソフトはそのまま使い、読み込める形のCSVを出します。警備だけ、派遣だけで、既製品の帳票と流れに合わせられる会社は、B社・S社のような既製品のほうが早く始められます。
かけ持ちのスタッフの時間を現場ごとに分ける計算はビル清掃の現場別の人件費の記事、最初の記録になる上下番の報告は上下番の記事にあります。
このサイトで相談するには?
何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。人まわし帳では、今の勤怠と請求の流れをうかがい、御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。
準備は要りません。無料で相談するからどうぞ。返信は最短当日です。
よくある質問
- 今の給与ソフトや会計ソフトは替えないといけませんか?
- いいえ。1か所に持った実績から、今の給与ソフトや請求ソフトが読み込める形のCSVを出せば、ソフトはそのまま使えます。
- 取引先ごとに締め日が違っても、1か所にまとめられますか?
- はい。取引先別の単価表に締め日を持たせ、締め日ごとに実績を切り出して請求書を作ります。同じ実績を締め日ごとに写し直す必要はありません。
- 警備の請求も、派遣と同じ仕組みで扱えますか?
- データの持ち方は同じです。ただし警備業務は派遣できない(労働者派遣法第4条第1項第3号)ため、警備は請負の請求書になり、派遣元管理台帳はありません。
- 自社の転記の時間は、どう計算すればよいですか?
- 現場数×転記の回数×1現場・1回の分数×締め回数で出します。電話と転記の時間の計算機に自社の数字を入れると、月の時間が出ます。