警備の管制は、1サイクルに何時間かかりますか?毎晩の配置表づくりを6つの工程に分けて数えた
警備の管制(隊員の配置を決めて知らせ、上番・下番を受け、日報を集める仕事)は、手組みだと1サイクルが約9.2時間かかります。架空の30現場・80人の平日を数えると、翌日の配置を知らせるまでが約5.2時間、上下番の受付と日報の集計まで入れて約9.2時間でした。1件あたりの分は運営者の仮の値です。警備業法などの条文に「管制」の語はなく、仕事の範囲は会社ごとに違います。(2026年10月時点)
全体の流れと費用は派遣・警備・清掃の人材管理ガイドのページにまとめています。
要点
- 警備の管制業務は、配置を決めて知らせ、上番・下番を受け、日報を集める仕事で、条文に「管制」の語はありません。
- 架空の30現場・80人の平日を手組みすると、翌日の配置を知らせるまでの夜の4工程が約5.2時間、6工程で約9.2時間です(試算)。
- 上下番の受付が約3分の1、隊員への連絡が約2割で、合わせて全体の55%です。どちらも電話の件数で時間が決まります。
- 警備業の有効求人倍率は2025年9月に6.70倍(全職業は1.10倍)で、管制の人手を足すのは簡単ではありません。
目次
管制の仕事の範囲は、条文でどう決まっていますか?
管制は、警備会社で隊員を現場に配置し、上番・下番を受け、日報を集める仕事を指す言い方です。定義や仕事の中身は警備の管制業務とはのページに任せ、ここでは条文の扱いだけ確かめます。e-Govで警備業法・同法施行規則・警備員等の検定等に関する規則の本文を取得して調べると、「管制」の語は3つのどれにもありませんでした。仕事の範囲は会社ごとに違い、営業所の事務や給与の計算を兼ねる会社もあります。
近い定めがあるのは機械警備だけです。機械警備業務は、警備業法第2条第5項で、施設の機器が感知した事故の情報を別の施設で受信して行う警備(第1項第1号の業務)とされています。第43条は、基地局で情報を受けたときに速やかに駆けつけられるよう、必要な数の警備員と待機所を配置しておくことを求めています。第44条第1号は、待機所ごとに配置する警備員の氏名を書類に残すと定めています。
ここでは、常駐や交通誘導の会社で毎日行う配置と報告の仕事を、時間で数えます。
管制の1サイクルは、どんな工程でできていますか?
管制の1サイクルは、夜に終える4つの工程と、翌日に受ける2つの工程の6つに分けられます。
| 順 | 工程 | 中身 |
|---|---|---|
| 1 | 翌日の欠員の確認 | 現場ごとの翌日の必要人数と、隊員の休み・欠勤の連絡を見比べる |
| 2 | 資格要件の突合 | 検定合格者が要る現場に、合格者を割り当てられるか確かめる。NG関係も見る |
| 3 | 配置案 | 現場ごとの枠に、行ける人を1人ずつ当てはめる |
| 4 | 隊員への連絡 | 決めた配置を、電話と連絡文で隊員に知らせる |
| 5 | 上下番の受付 | 翌日、上番と下番の報告を受ける |
| 6 | 日報の集計 | 現場ごとの日報を、勤怠の表に書き写す |
1から4の順番は動かせません。欠員が分からないと配置は組めず、配置が決まらないと連絡ができないからです。配置案の細かい条件(通勤の距離、回数の偏り)は、近い順の手組みと比べた配置の最適化の記事にあります。
5の上下番は、報告の中身と電話が朝と夕方に集まる様子を上下番の記事で数えています。ここでは、6工程の全体で時間がどう配分されるかを見ます。
手組みだと、1サイクルに何時間かかりますか?
基準の単価で数えると、夜の4工程で約5.2時間、6工程で約9.2時間です。架空の30現場・80人の平日を、工程ごとに「件数×1件あたりの分」で試算しました。
件数は、配置の最適化の記事と同じ架空データ(乱数の種0〜9の平日の平均)から数えました。1日の枠(配置する延べ人数)は平均60.5、検定合格者が要る現場は12、NG関係は10組です。1件あたりの分は、調査ではなく運営者の仮の値です。
| 工程 | 数える単位と件数 | 1件あたり(基準/短め) | 基準の時間 |
|---|---|---|---|
| 1 欠員の確認 | 現場30+隊員80 | 現場0.5分・隊員0.5分/0.3分 | 55分 |
| 2 資格要件の突合 | 検定の現場12・NG10組 | 3分・1分/2分・0.5分 | 46分 |
| 3 配置案 | 枠60.5 | 1.5分/1分 | 91分 |
| 4 隊員への連絡 | 電話60.5件+連絡文60.5回 | 1.5分・0.5分/1分・0.3分 | 121分 |
| 5 上下番の受付 | 60.5人×上番・下番の2回 | 1.5分/1分 | 182分 |
| 6 日報の集計 | 日報30枚 | 2分/1分 | 60分 |
合計は554分で、約9.2時間です。夜の4工程は313分で、約5.2時間になります。短めの単価では、夜の4工程が約3.4時間、6工程で約5.9時間でした。単価を短めに見積もっても、約5.9時間かかります。
式は、工程の時間=件数×1件あたりの分です。上番・下番の受付だけで182分(3.0時間)あり、6工程のなかで最も長くなります。隊員への連絡の121分が次に続きます。この2つで全体の55%を占めます。
電話と書き写しは、1サイクルに何回になりますか?
回数は、基準の条件で電話が約182件、書き写しが約91回です。数え方もあわせて表で示します。
| 回数の種類 | 数え方(条件) | 回数 |
|---|---|---|
| 隊員への配置の電話 | 枠60.5×1回 | 60.5件 |
| 配置を連絡文にする書き写し | 枠60.5×1回 | 60.5回 |
| 上番・下番の電話 | 60.5人×2回 | 121件 |
| 日報の書き写し | 30現場×1枚 | 30回 |
| 電話の合計 | 配置の電話+上下番の電話 | 約182件 |
電話は1人につき、配置の知らせ、上番、下番の3回だけです。つながらない人への掛け直しと、欠勤や急な変更の連絡は入れていません。実際の回数は、これより増えます。当日の欠勤に備える予備の人数は当日欠勤と予備要員の記事で計算しています。
電話の合計の約182件は、表の数字を足した値です。1件を1.5分とすると272分になり、6工程の554分のほぼ半分です。管制の時間は、電話の件数にほぼ比例して延びます。
なぜ管制の時間を数えておく必要がありますか?
管制の人手を足すのが、簡単ではないからです。警察庁の「省力化投資促進プラン ―警備業―」によると、2025年9月の有効求人倍率は警備業が6.70倍で、全職業の1.10倍を大きく上回ります。同じプランは、警備業の人手不足の背景に、過酷な労働環境と低賃金を挙げています。
プランは、上番・下番の報告を電話で受けるため、管制員等を置いている会社が多いと説明しています。報告をシステムで管理すれば電話対応が不要になり、管制員等の業務を省力化できるとしています。配置シフトの管理、労務管理、給与の計算も、省力化の対象です。
警備員を増やしにくいなら、管制が使う時間のうち、仕組みに任せられる分を知ることが先になります。6工程のどれが長いかが分かれば、手を付ける順番を決められます。
どの工程から仕組みに任せやすいですか?
任せやすいのは、件数が多く、決まりで判断できる工程です。この試算では、上下番の受付と隊員への連絡が合計303分で、いちばん大きい塊です。報告をアプリで受ければ電話を減らせ、配置を通知で送れば書き写しがなくなります。
資格要件の突合と配置案は、決まりを守る組み合わせを探す作業です。条件をデータで持てば、案を出すところまでは計算に任せられます。ただ、案を見て決めるのは管制の方です。隊員の体調や現場の事情は、データに入っていないからです。
欠員の確認と日報の集計は、報告が1か所に集まっていれば短くなります。いずれも、御社が今どの工程にどれだけ使っているかを数えてから決めるのが近道です。電話の時間は電話と転記の時間の計算機、5つの方法の比べ方は人材管理ガイドで説明しています。
この試算の限界は、架空データと仮の単価であることです。自社の件数と1件あたりの分に置き換えて、式を使ってください。式と図はscripts/figs/kansei_jikan.pyで再現できます。
この6工程を仕組みにした場合の画面と想定する変化は、警備会社Xの導入例(イメージ)に、費用の出典と確認日は人材管理システムの費用にあります。
このサイトで相談するには?
人まわし帳では、配置から上下番、日報までを仕組みにします。何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。準備は要りませんので、無料で相談するからお送りください。
よくある質問
- 管制業務は、警備業法で決まっている仕事ですか?
- いいえ。警備業法・施行規則・検定規則の本文に「管制」の語はなく、仕事の範囲は会社ごとに決めます。機械警備だけ、基地局に関する定めがあります。
- 管制は、夜にも仕事がありますか?
- あります。翌日の欠員の確認から配置案、隊員への連絡までは、夕方から夜にかけて行う会社が多い工程です。朝は上番の受付が重なります。
- 小さな警備会社でも、同じ工程がありますか?
- あります。人数が少なければ件数も減り、時間は短くなります。社長や営業所長が兼ねる場合も、工程の並びは同じです。
- 1件あたりの分は、どう決めればよいですか?
- 1週間ほど、電話と書き写しの回数を正の字で数えて平均を出します。数える前は、基準と短めの2通りで幅を見てください。
出典
- e-Gov法令検索 警備業法(第2条第1項・第5項、第43条、第44条第1号。API で本文を取得し「管制」の語がないことを確認)(2026年10月17日確認)
- e-Gov法令検索 警備業法施行規則・警備員等の検定等に関する規則(API で本文を取得し「管制」の語がないことを確認)(2026年10月17日確認)
- 警察庁「省力化投資促進プラン ―警備業―」(令和7年12月22日。2025年9月の有効求人倍率 警備業6.70倍・全職業1.10倍、p.3。上番・下番報告の電話対応と管制員等の配置、p.12)(2026年10月17日確認)
- 人まわし帳の試算(2026年10月17日、30現場・80人の架空データ、乱数の種0〜9の平日の平均)。scripts/figs/kansei_jikan.py(2026年10月17日確認)