派遣料金と賃金の差は、平均でいくら?厚労省の令和6年度の報告を職種別に読む
厚生労働省の「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」では、8時間換算の平均で派遣料金26,257円に対して賃金は16,735円で、差は9,522円(料金の36.3%)です。この差には社会保険料の会社負担や有給休暇、教育訓練の費用が入り、利益ではありません。同じ表から消費税を除いて計算し直すと差は7,135円で、職種別の差の割合は真ん中が33.1%でした(人まわし帳の運営者の計算、2026年10月時点)。
全体の流れと費用は派遣・警備・清掃の人材管理ガイドのページにまとめています。
要点
- 令和6年度の8時間換算の平均は、派遣料金26,257円、賃金16,735円で、差は9,522円(36.3%)です(厚労省)。
- 派遣料金は消費税込み、賃金は税を含まないため、税抜きで比べると差は7,135円(29.9%)になります(計算値)。
- 数字のある69職種の差の割合は27.6〜48.5%で、真ん中は33.1%、46職種が30〜35%に集まります。
- 実績のあった派遣事業所33,207所のうち、売上1億円未満が19,164所で57.7%を占めます。
目次
派遣料金と賃金の差は、平均でいくらですか?
令和6年度の全業務平均で、派遣料金と賃金の差は1日9,522円、派遣料金の36.3%です。出どころは、厚生労働省が2026年3月31日に公表した令和6年度の労働者派遣事業の報告の集計結果(速報)です。派遣元が毎年出す事業報告を集めた数字で、どれも派遣労働者1人1日(8時間)あたりの平均額です。
差は年度や雇用の形で少し動きますが、どれも料金の35〜37%の間に収まります。次の表の料金と賃金は同じ資料の概要と表6・表7の値で、差と割合は運営者の引き算と割り算です。
| 区分 | 派遣料金(円) | 賃金(円) | 差(円) | 料金に対する割合 |
|---|---|---|---|---|
| 全業務平均(令和6年度) | 26,257 | 16,735 | 9,522 | 36.3% |
| 全業務平均(令和5年度) | 25,337 | 16,190 | 9,147 | 36.1% |
| 無期雇用の派遣労働者(令和6年度) | 27,063 | 17,181 | 9,882 | 36.5% |
| 有期雇用の派遣労働者(令和6年度) | 22,226 | 14,407 | 7,819 | 35.2% |
前年度と比べると、派遣料金は3.6%、賃金は3.4%上がりました。差の割合はほぼ同じで、料金と賃金がそろって上がった年です。
9,522円の差には、何が含まれていますか?
9,522円の差は派遣会社の利益ではなく、消費税と、人を雇って送り出すための費用を全部含んだ額です。まず消費税があります。表6の注に「派遣料金は、消費税を含む額」とあり、賃金には税が入っていません。
標準税率10%で割り戻すと、26,257円のうち2,387円が消費税です。税抜きの料金は23,870円で、賃金との差は7,135円、割合は29.9%になります。数字はどれも運営者の計算値です。
残る7,135円の中に、社会保険料の会社負担、有給休暇の賃金、教育訓練、募集や営業・管理の費用が入ります。利益はその残りです。報告書は差の内訳までは集計していないので、何にいくら使っているかは会社ごとに違います。
職種によって、派遣料金と賃金の差はどれくらい違いますか?
職種別に計算すると、差の割合は27.6%から48.5%まで開きますが、69職種のうち46職種は30〜35%に集まります。真ん中の値は33.1%です。表6・表7には、公的な職業分類の中分類で職種ごとの値が載っています。その表の数字のある69職種で、差と割合を計算しました。
清掃従事者は料金14,922円・賃金10,272円で差4,650円(31.2%)です。一般事務従事者は差5,881円(32.5%)、情報処理・通信技術者は差13,350円(38.8%)でした。金額の差は料金の高い職種ほど大きく、割合は技術職でやや高くなります。
gap = fee - wage # 表6の料金 − 表7の賃金
rate = round(gap / fee * 100, 1) # 料金に対する割合(%)
rates = sorted(round((f - w) / f * 100, 1) for _, _, f, w in OCC) # 69職種
print(rates[0], rates[len(rates) // 2], rates[-1]) # 27.6 33.1 48.5
全業務平均の36.3%は、69職種のうち58職種より高い値です。職種の派遣料金を足して69で割っても23,342円で、全業務平均の26,257円と一致しません。全業務平均は職種の数字とは集め方が違うと考え、自社の職種は同じ職種の行と比べます。計算は scripts/figs/haken_ryokin.py で再現できます。
派遣会社の規模は、どれくらいの売上が多いのですか?
労働者派遣の実績があった33,207所のうち、年間売上1億円未満の事業所は19,164所で57.7%です。表5の売上高ランク別の事業所数のうち、1億円未満の3つの帯を運営者が足しました。最も多いのは「1億円以上5億円未満」の9,669所(29.1%)と、「1,000万円以上5,000万円未満」の9,630所(29.0%)です。
実績のあった1事業所あたりの登録者は226.7人、派遣先は26.0件でした。数百人の登録者と数十の派遣先を、売上1億円に届かない事業所が回している姿が平均から見えます。
平均の売上だけを見ると、規模を見誤ります。年間売上高の合計9兆9,005億円を実績のあった事業所数で割ると、1所あたり約2億9,814万円です(計算値)。ところが半分以上の事業所は1億円未満なので、平均を押し上げているのは10億円以上の1,985所(6.0%)のような大きな事業所です。
自社のマージン率は、どうやって出して公開するのですか?
派遣元は、事業所ごとのマージン率を前の事業年度の数字で計算し、インターネットなどで公開します。根拠は労働者派遣法第23条第5項です。
計算の仕方は施行規則第18条の2にあります。1人1日あたりの料金の平均額から賃金の平均額を引き、料金の平均額で割ります。割合は小数点以下1けたに四捨五入し、料金と賃金の平均額も一緒に出します。
報告書の表12では、令和6年度に情報を出した方法はインターネットが33,942所で、提出事業所の77.5%でした。書類の備え付けは20,405所(46.6%)です。
計算そのものは割り算1回です。ただ、料金と賃金の平均額を出すには、派遣先への請求と派遣労働者への支払いを1人1日の単位でそろえる必要があります。勤怠・給与・請求が別のExcelにあると、ここで集計に手間がかかります。
人まわし帳で私が仕組みを作るときは、勤怠の1行に派遣先・職種・請求単価・時給を持たせます。そうすると、職種別の差と事業所のマージン率が、月次の締めと同じデータから出せます。勤怠の1行を給与と請求の両方に使う形は勤怠から請求までの転記の記事、派遣元が備える台帳は派遣元管理台帳の記事にまとめています。
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よくある質問
- 派遣料金と賃金の差は、派遣会社のもうけですか?
- いいえ。差9,522円には社会保険料の会社負担、有給休暇の賃金、教育訓練、営業や管理の費用が入り、利益はその残りです。
- マージン率の平均は何%ですか?
- 厚労省の令和6年度の全業務平均で計算すると36.3%です。ただし消費税込みの料金で割った値で、税抜きにすると29.9%です。
- マージン率は公開しなければいけないのですか?
- はい。労働者派遣法第23条第5項で、派遣元は事業所ごとのマージン率などの情報を提供します。方法はインターネットなどです。
- 職種別の派遣料金と賃金は、どこに載っていますか?
- 厚労省の事業報告書の集計結果の表6(派遣料金)と表7(賃金)です。どちらも1人1日8時間あたりの平均額です。
出典
- 厚生労働省 職業安定局 需給調整事業課「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(令和8年3月31日公表、表5・表6・表7・表12)(2026年10月16日確認)
- 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第23条第5項(e-Gov 法令検索)(2026年10月16日確認)
- 労働者派遣法施行規則 第18条の2(e-Gov 法令検索)(2026年10月16日確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.6101 消費税の基本的なしくみ(令和8年4月1日現在法令等)(2026年10月16日確認)