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交通誘導の熱中症対策は、何から決めればよい?WBGTの記録と交替表で考える

交通誘導の熱中症対策は、2025年6月1日施行の労働安全衛生規則第612条の2で、熱中症の報告体制と作業を外れる手順を前もって決めて伝えることが義務になりました。対象はWBGT28度以上か気温31度以上で、1時間以上続くか1日4時間を超える作業です。人まわし帳の運営者が環境省の2025年の記録を数えると、東京など4都市の日中に28以上が続いた日は、6〜9月の122日のうち80〜87日でした。(2026年10月時点)

全体の流れと費用は派遣・警備・清掃の人材管理ガイドのページにまとめています。

要点

  • 2025年6月1日から、WBGT28度以上か気温31度以上で続く作業には、熱中症の報告体制と手順を前もって決めて伝える義務があります。
  • 環境省の2025年の記録では、4都市とも8〜17時にWBGT28以上が続いた日が6〜9月の122日のうち80〜87日ありました(運営者の集計)。
  • 2025年7〜8月の10〜16時は73〜92%の日で28以上でしたが、21時以降は0〜2%でした(東京・名古屋・大阪・福岡)。
  • 東京都水道局の工事では、熱中症対策の交代要員を交通誘導警備員3名につき1名まで費用に計上できます(2026年6月の案内)。
目次
  1. 交通誘導の熱中症対策で、2025年6月から何が義務になりましたか?
  2. 交通誘導の現場は、夏に何日くらい義務の条件に当たりますか?
  3. 1日のうち、WBGT28以上になりやすいのは何時ですか?
  4. 交替の間隔は、配置表にどう組み込めばよいですか?
  5. 熱中症の報告体制は、上下番の連絡でどう回せますか?
  6. このサイトで相談するには?
  7. よくある質問

交通誘導の熱中症対策で、2025年6月から何が義務になりましたか?

熱中症の報告体制と、症状が出たときに作業を外れる手順を、前もって決めて隊員に伝えることが義務になりました。根拠は安衛則(労働安全衛生法の省令)の第612条の2で、施行は2025年6月1日です。対象は、厚生労働省の通達(基発0520第6号、2025年5月20日)で決まっています。「WBGT28度以上か気温31度以上の場所」で、1時間以上続くか1日4時間を超える見込みの作業です。

通達は、移動して複数の場所で働く場合も対象に含めています。交通誘導は屋外に立ち続ける仕事なので、夏の日中の現場はほぼこの条件に当たります。義務の中身を、条文と通達から次の表にまとめました。

義務 条文と通達の中身 交通誘導での決め方の例
報告体制(第1項) 報告を受ける人の連絡先と連絡方法を決めて示し、作業中いつでも報告を受けられるようにする 現場の責任者と管制の電話番号を、配置表と一緒に渡す
手順(第2項) 作業を外れる、体を冷やす、必要なら医師の診察を受けさせる、などの手順を作業場ごとに決める 車内か日陰へ移す、誰が付き添うか、救急を呼ぶ基準
周知(第1・2項) 掲示、メール、文書、朝礼などで確実に伝える 朝礼に出ない隊員には、上番の連絡で伝える

通達は、早く見つける方法も挙げています。責任者の巡視、2人以上で互いの様子を見るバディ制、ウェアラブル機器、双方向の定期連絡です。体制は作業日の作業開始までに整える必要があります。

交通誘導の現場は、夏に何日くらい義務の条件に当たりますか?

2025年の記録では、東京・名古屋・大阪・福岡の4都市とも、6〜9月の122日のうち80〜87日が当たりました。人まわし帳の運営者が、環境省の熱中症予防情報サイトの実況実測値を数えた結果です。数えたのは8〜17時の毎正時の値で、WBGT28以上が2回続けて出た日です。毎正時の値しかないため、2回続いた日を「1時間以上続いた」とみなしました。

月ごとに見ると、7月と8月は4都市とも27〜30日で、ほぼ毎日です。6月も9〜12日あり、9月は14〜22日でした。最初の日は4都市とも6月13〜16日で、最後の日は9月18〜26日です。夏の配置は、6月半ばから9月下旬まで、暑さを見込んで組むことになります。

日中にWBGT28以上が続いた日の数(2025年、月別)8〜17時に28以上が2回続けて出た日。6〜9月の122日のうち80〜87日0日10日20日30日12911106月(30日)272929277月(31日)272930288月(31日)141616229月(30日)東京(計80日)名古屋(計83日)大阪(計86日)福岡(計87日)環境省 熱中症予防情報サイトの実況実測値(2025年、毎正時、確定値)から運営者が集計(2026年10月)。観測は気象台の露場などで、道路の上の値ではない
図1 日中にWBGT28以上が続いた日の数(2025年、月別)。合計は東京80日、名古屋83日、大阪86日、福岡87日です。

この数には気温31度以上の条件が入っていません。取得したデータに気温の列がないためで、実際に条件に当たる日はこれより多いこともあります。

1日のうち、WBGT28以上になりやすいのは何時ですか?

10時から16時です。2025年7〜8月の62日で見ると、4都市とも10〜16時の毎正時の値は73〜92%の日で28以上でした。21時以降は0〜2%の日しか28以上になっていません。夜間の工事の誘導は、日中より暑さの条件に当たる日が少ないことになります。

WBGT28以上になった日の割合(2025年7〜8月の62日、時刻別)4都市とも10時〜16時は7〜9割の日で28以上。21時以降はどの都市でも0〜2%6時7時8時9時10時11時12時13時14時15時16時17時18時19時20時21時東京047616679828182827773426320名古屋0236176818990908785816324522大阪001173929292898990843210322福岡085877828989858787817758820マスの数字は、その時刻の値が28以上だった日の割合(%)。8〜17時の帯が日中の交通誘導の時間帯0%25%50%75%100%環境省 熱中症予防情報サイトの実況実測値(2025年、毎正時、確定値)から運営者が集計(2026年10月)。観測は気象台の露場などで、道路の上の値ではない
図2 WBGT28以上になった日の割合(2025年7〜8月、時刻別)。朝の上がり方は都市で違い、7時の時点で東京は47%、大阪は0%でした。

集計は scripts/figs/koutsuu_wbgt.py で再現できます。環境省のAPIから4地点の5〜9月の値を1回だけ取り、ファイルに保存してから数えます。

def run2(vals, th=28):  # 8〜17時の値を時刻順に並べ、28以上が2回続いたか
    return any(a >= th and b >= th for a, b in zip(vals, vals[1:]))

限界もあります。環境省の実測値は、気象台の観測露場などに置いた黒球温度計の値です。照り返しのある道路の上とは条件が違うので、図は時間帯をつかむ目安に使い、現場ではWBGT計で測ります。

交替の間隔は、配置表にどう組み込めばよいですか?

WBGT28以上になりやすい10〜16時は、交替要員を1人足して、1人ずつ外れる枠を配置表に入れます。下の図は運営者が作った架空の例で、持ち場3か所に隊員4人を置きます。暑い時間帯は1時間ごとに1人が休み、その持ち場に交替の隊員が入ります。

交替表の例:持ち場3か所に4人を置き、暑い時間帯は1時間ずつ外れる架空の現場の8〜17時。休む人の持ち場には隊員D(交替)が入る。12時台の回し方は省略8時9時10時11時12時13時14時15時16時隊員A持場1持場1休憩持場1昼休持場1持場1休憩持場1隊員B持場2持場2持場2休憩昼休持場2持場2持場2休憩隊員C持場3持場3持場3持場3昼休休憩持場3持場3持場3隊員D(交替)待機待機持場1持場2昼休持場3休憩持場1持場210〜16時台:2025年7〜8月に4都市で7〜9割の日がWBGT28以上だった時間帯濃い色は暑い時間帯の持ち場、白は休憩。1人あたり暑い時間帯6時間のうち1〜2時間を日陰や車内で休む計算運営者が作った架空の例(2026年10月)。交替の間隔は、現場のWBGT計の値と発注者との取り決めで決める
図3 交替表の例(架空の現場)。昼休みを除く暑い時間帯6時間のうち、1人あたり1〜2時間を日陰や車内で休みます。

3人に1人という比は、発注者の決まりとも重なります。東京都水道局の2026年6月の案内では、熱中症予防のために増やした交代要員を設計変更で計上できます。上限は交通誘導警備員3名につき1名で、事前の協議が条件です。発注者ごとに扱いが違うので、見積もりの前に確かめます。

交替の間隔は、現場のWBGT計の値で決めます。図の1時間は例で、値が高い日は現場で間隔を詰めます。私が仕組みを作るときは、現場ごとに「交替要員の要否」を持たせます。6〜9月の日中の配置で交替の枠が空いていれば、管制の画面に出します。

熱中症の報告体制は、上下番の連絡でどう回せますか?

上番・下番の連絡に、体調の確認と報告先の再確認を足す形が回しやすい方法です。通達は報告体制の例として、責任者と作業者の双方向の定期連絡を挙げています。上下番の連絡は毎日決まった時刻にするので、ここに乗せれば新しい連絡を増やさずに済みます。

人まわし帳で組むなら、次の4つを配置のデータに持たせます。

  1. 現場ごとの報告先(責任者と管制の電話番号)と連絡方法
  2. その日の現場がWBGT28以上になりやすい時間帯と、交替の枠
  3. 上番の連絡で、報告先を伝えたかの記録
  4. 日中の定期連絡と、返事がないときの折り返し

通達は、周知した記録の保存までは法令で求めていないとしています。ただ、伝えたことを後から確かめるには、上番の連絡と同じ画面に残すのが手軽です。交替の枠を足した配置を計算で組む方法は警備員の配置の最適化の実験、急に休む人に備える人数は当日欠勤と予備要員の記事で計算しています。

このサイトで相談するには?

人まわし帳では、交替の枠や報告先の伝え方を、配置表と合わせて仕組みにします。何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫で、準備は要りません。

今の配置の組み方をうかがって、進め方を一緒に考えます。作り方は御社のやり方に合わせます。無料で相談するからどうぞ。

よくある質問

交通誘導は、熱中症対策の義務の対象になりますか?
はい、夏の日中はほぼ対象になります。WBGT28度以上か気温31度以上の場所で、1時間以上続くか1日4時間を超える見込みの作業が対象で、移動しながら複数の場所で働く場合も含まれます。
環境省のWBGTの値を、そのまま現場の値として使ってよいですか?
いいえ。環境省の実測値は気象台の観測露場などに置いた黒球温度計の値です。道路の上は条件が違うので、目安に使い、現場ではWBGT計で測ります。
交替要員の費用は、発注者に請求できますか?
発注者によります。東京都水道局の工事では、熱中症予防のために増やした交代要員を交通誘導警備員3名につき1名まで、設計変更で計上できます。事前の協議が条件です。
報告体制を決めたことは、記録に残す必要がありますか?
周知した結果の記録の保存までは、法令で求められていません。ただし厚生労働省の通達は、労働基準監督署の確認に事業者として適切に対応することを求めています。

出典

  1. 労働安全衛生規則 第612条の2(熱中症を生ずるおそれのある作業、令和7年6月1日施行、e-Gov 法令検索)(2026年10月16日確認)
  2. 厚生労働省労働基準局長通達「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」(基発0520第6号、令和7年5月20日、京都労働局の掲載)(2026年10月16日確認)
  3. 京都労働局「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について(職場における熱中症対策の強化)」(2026年10月16日確認)
  4. 環境省 熱中症予防情報サイト「暑さ指数の実況値・予測値ダウンロード」と API 仕様書 第1.1版(令和8年6月24日)。2025年の実況実測値(令和8年5月14日に確定値)を取得(2026年10月16日確認)
  5. 東京都水道局「水道局発注の工事における熱中症対策」(令和8年6月)(2026年10月16日確認)