ビル清掃の人件費は、面積と回数からどう積み上げる?人工と月額の下限を9通りで計算
ビル清掃の人件費は、延べ面積÷100×歩掛り×月の回数で必要な人工を出し、人工×8時間×時給を掛けて積み上げます。国土交通省の積算要領の事務室の床(0.024人/100㎡・1回)と、令和8年度の最低賃金の最低額1,085円で計算すると、3,000㎡を毎日清掃する現場の床清掃は月21.6人日、賃金の下限は187,488円〜です。人まわし帳の運営者が計算しました(2026年10月時点)。
全体の流れと費用は派遣・警備・清掃の人材管理ガイドのページにまとめています。
要点
- ビル清掃の必要人工は、面積÷100×歩掛り0.024人×月の回数で出せます。1人日は8時間です。
- 3,000㎡を週5回清掃する現場は月15.84人日で、最低賃金の最低額1,085円なら賃金の下限は137,491円〜です。
- 歩掛り0.024人は1人1時間あたり約521㎡に当たり、事務室の床の除塵と部分水拭きだけの値です。
- 便所の床は0.077人と3.2倍かかるため、この表の金額は契約額と比べる下限として使います。
目次
ビル清掃の人件費は、面積と回数からどう積み上げますか?
延べ面積÷100に歩掛り0.024人を掛け、月の回数を掛けると、必要な人日が出ます。人日に8時間と時給を掛ければ、人件費の下限です。国土交通省の積算要領は、労務数量を「歩掛りに清掃面積、清掃回数などの所要数量を乗じて算定する」と定めています。
人まわし帳の運営者が、面積3通りと頻度3通りの9パターンで計算しました。賃金は令和8年度の地域別最低賃金の最低額1,085円です。法定福利は会社ごとに違うため、仮に賃金の15%とした場合を右の列に置きました。
| 延べ面積 | 清掃頻度(月の回数) | 月の人日 | 賃金の下限 | 法定福利を仮に15%足した場合 |
|---|---|---|---|---|
| 1,000㎡ | 週3回(13回) | 3.12 | 27,082円〜 | 31,144円〜 |
| 1,000㎡ | 週5回(22回) | 5.28 | 45,830円〜 | 52,705円〜 |
| 1,000㎡ | 毎日(30回) | 7.20 | 62,496円〜 | 71,870円〜 |
| 3,000㎡ | 週3回(13回) | 9.36 | 81,245円〜 | 93,432円〜 |
| 3,000㎡ | 週5回(22回) | 15.84 | 137,491円〜 | 158,115円〜 |
| 3,000㎡ | 毎日(30回) | 21.60 | 187,488円〜 | 215,611円〜 |
| 8,000㎡ | 週3回(13回) | 24.96 | 216,653円〜 | 249,151円〜 |
| 8,000㎡ | 週5回(22回) | 42.24 | 366,643円〜 | 421,640円〜 |
| 8,000㎡ | 毎日(30回) | 57.60 | 499,968円〜 | 574,963円〜 |
月の回数は、週の回数×52÷12を四捨五入した値です(毎日は365÷12)。
歩掛りの0.024人は、どの資料で確かめた値ですか?
国土交通省(官庁営繕部)が公表している、建築保全の積算要領の4.2.1(床の日常清掃)にある、事務室・会議室の弾性床の値です。作業は除塵と部分水拭きで、周期は毎日、単位は「100㎡・1回あたり0.024人」と書かれています。清掃面積が1,000㎡以下から10,000㎡以下までの4区分で、清掃員A・B・Cの歩掛りを足すと、どの区分も0.024人です。
1人は日割基礎単価の1日(8時間)です。0.024×8時間は0.192時間なので、100㎡を11.5分で掃除する計算になり、1人1時間あたり約521㎡に当たります。繊維床の事務室は0.031人で、約1.3倍かかります。
私が開いて確かめたのは平成25年版です。要領は官庁の事務所建物を原則の対象にしており、清掃面積10,000㎡を超える建物は見積りによると書いています。改定版で値が変わっている場合があるため、自社の見積りには最新版を確かめてください。
面積と頻度で、必要な人工はどれだけ変わりますか?
人日は面積と回数のどちらにも比例します。8,000㎡を毎日清掃する現場は月57.60人日で、1,000㎡を週3回清掃する現場の3.12人日の約18倍です。
頻度を週3回から毎日に増やすと、人日は2.3倍(30回÷13回)になります。頻度の増やしやすさは、契約額の交渉で先に確かめたい点です。同じ面積でも、週3回の契約と毎日の契約では、必要な人日が2倍以上違います。
場所によっても歩掛りは変わります。同じ要領の表では、廊下が0.022人、食堂が0.048人、階段が0.060人、湯沸室が0.104人です。見積りの面積に便所や湯沸室が多く含まれる建物は、事務室だけの建物より人日が増えます。現場の平面図から、場所ごとの面積を分けて拾うと、積算が実態に近づきます。
最低賃金に法定福利を足すと、月額の下限はいくらですか?
3,000㎡を週5回清掃する現場なら、賃金の下限は137,491円〜、法定福利を仮に15%足すと158,115円〜です。賃金の下限は、15.84人日×8時間×1,085円で出しました。
時給を自社の実際の額に置き換えれば、同じ式で自社の下限になります。パートの時給が最低賃金を上回る会社は、その時給を入れて計算します。
令和8年度の地域別最低賃金は、最低が1,085円、最高が1,280円で、全国加重平均は1,177円です(厚生労働省、2026年9月3日公表)。最高額の地域は最低額の1.18倍なので、同じ3,000㎡の毎日清掃なら187,488円〜が221,184円〜になります。
法定福利の15%は、運営者の仮の値です。社会保険の加入には週20時間などの要件があり、加入の対象かどうかで会社の負担は変わります。登録スタッフの加入の判定は、社会保険の記事で計算しています。
この下限は、現場の採算にどう使えますか?
契約額が賃金の下限に法定福利を足した額に近い現場は、採算が厳しいと見られます。この計算に入っているのは、事務室相当の床の日常清掃だけだからです。同じ要領で、便所・洗面所の床は100㎡・1回で0.077人と、事務室の3.2倍です。ごみの回収、窓、定期清掃、現場間の移動、管理の費用は入っていません。
計算の中身は数行です。scripts/figs/seisou_sekisan.py で再現できます。
ninku = area / 100 * 0.024 * kaisuu # 月の人日
wage = ninku * 8 * 1085 # 賃金の下限(円)
with_fukuri = wage * 1.15 # 法定福利を仮に15%
積算は「現場に何人日が要るか」を、公開されている歩掛りから出す計算です。かけ持ちのスタッフの打刻を現場ごとに分ける配賦は、別の話です。実績の分け方は、かけ持ちの人件費を現場別に分ける記事で計算しています。積算で出した人日と、打刻で集めた実績の人日を並べると、見積りの前提が現場に合っているかが分かります。
私が仕組みを作るときは、現場マスタに延べ面積と清掃頻度を持たせ、この式で毎月の必要人日を出します。人材オペレーション管理の全体はガイドにまとめています。介護の訪問の配置は、訪問介護のヘルパー配置の記事でも計算しています。
人件費の下限と実際の勤務時間を現場別に合わせる仕組みの想定は清掃会社Zの導入例(イメージ)に、電話や転記の時間は電話と転記の時間の計算機に、費用の出典と確認日は人材管理システムの費用にあります。
このサイトで相談するには?
何をどう頼むか決まっていなくても大丈夫です。人まわし帳では、今の見積りの出し方をうかがい、御社のやり方に合わせて、進め方を一緒に考えます。
準備は要りません。無料で相談するからどうぞ。返信は最短当日です。
よくある質問
- 1人が1時間に掃除できる床の面積は、何㎡ですか?
- 国土交通省の積算要領の事務室・弾性床の歩掛り(0.024人/100㎡・1回)から計算すると、約521㎡です。除塵と部分水拭きだけの値で、現場の実績とは別に確かめます。
- 時給が最低賃金より高いと、月額はどう変わりますか?
- 人日に8時間と時給を掛けるだけなので、時給に比例します。最高額の1,280円は最低額の1.18倍で、3,000㎡を毎日清掃する現場なら187,488円〜が221,184円〜になります。
- トイレやごみの回収は、この計算に入っていますか?
- いいえ。入っているのは事務室相当の床の日常清掃だけです。便所・洗面所の床は同じ100㎡・1回で0.077人かかり、事務室の3.2倍です。
- 契約額が賃金の下限を下回っていたら、どうなりますか?
- 法定福利や管理の費用、移動を足す前に赤字になる計算です。面積か回数の前提が合っているかを先に確かめ、合っていれば作業範囲か契約額の見直しを考えます。
出典
- 国土交通省 大臣官房官庁営繕部「建築保全業務積算要領(平成25年版)」第2編第4章 清掃 4.2.1 床の日常清掃、第1編 2.1 労務数量・日割基礎単価(2026年10月17日確認)
- 厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 全国一覧」(2026年9月3日公表)(2026年10月17日確認)